タイトル:能力・業績・成果は今後ますます賃金に反映

     女性の深夜業従事者がいる企業は大規模で15.6%

     社外講座等の参加に支援制度がある企業が3年間で倍増



発  表:平成12年9月18日(月)

担  当:労働大臣官房政策調査部産業労働調査課

            電 話 03-(3593)-1211(内線 5248)

                03-(3502)-6729(夜間直通)






        −平成11年賃金労働時間制度等総合調査結果速報−



I 調査の概要

 1 この調査は、我が国の賃金制度、労働時間制度等の実態を明らかにするため

  毎年実施しているもので、平成11年は、労働時間制度、賃金制度、資産形成制度、

  職場外活動への支援制度について調査を実施した。



 2 調査の対象は、日本標準産業分類に基づく鉱業、建設業、製造業、電気・ガス

  ・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動

  産業及びサービス業の9産業に属し、本社の常用労働者が30人以上の民営企業の

  うちから産業、企業規模別に層化して無作為に抽出した5,297社(有効回答率

  92.9%)である。



 3 調査は、平成11年12月末日現在(ただし、年間については平成11年1年間(又

  は平成10会計年度))の状況について行ったものである。

  (注) 調査結果は、期間を定めずに雇われている常用労働者(パートタイム労

     働者を除く。)についてのものである。







II 調査結果の概要

 【骨子】

 1 労働時間制度

  (1) 週所定労働時間

     1企業平均週所定労働時間は39時間14分で、前年に比べ9分短縮した

    (第1図第2表)。



  (2) 週休2日制

     「何らかの週休2日制」を採用している企業の割合は 91.3%で、前年に比

    べ 0.8ポイント上昇した。「完全週休2日制」を採用している企業の割合は

    33.4%で、前年に比べ1.8ポイント低下した(第2図第4表)。



  (3) 年次有給休暇

     年次有給休暇の付与日数(繰越日数は除く。)は、労働者1人平均17.8日、

    取得日数は9.0日となっている。取得率(付与日数に対する取得日数の割合)

    は50.5%で、前年に比べ1.3ポイント低下した(第3図第7表)。



  (4) 変形労働時間制

     変形労働時間制を採用している企業の割合は 53.0%で、その種類(複数回

    答)をみると、「1年単位の変形労働時間制」は33.3%で、小規模で割合が

    高く、一方「1カ月の変形労働時間制」(16.6%)や「フレックスタイム制」

    ( 5.7%)は、規模が大きくなるほど割合が高い。特に「フレックスタイム

    制」は、1,000人以上規模で35.7%となっている(第4図第8表)。



  (5) 所定内深夜労働

     深夜(午後10:00〜午前5:00)の所定内労働がある企業の割合は25.2%で、

    女性の所定内深夜労働者がいる企業の割合は4.3%となっている。1,000人以

    上規模では15.6%となっている(第5図第12表)。





 2 賃金制度

  (1) 諸手当

        「通勤手当(86.6%、前回8年89.9%)」、「役付手当(85.2%、同86.7

    %)」、「家族・扶養手当(77.3%、同79.8%)」などを支給した企業の割

    合が高い。前回8年と比べ割合が低下した手当が多くなっている(第15表)。



  (2) 賃金制度の改定状況

     過去3年間に賃金制度の改定を行った企業の割合は53.0%で、その内容

    (複数回答)をみると、「昇給幅の縮小」が30.1%と最も高く、いずれの規

    模においても割合が高い。次いで「職務遂行能力に対応する賃金部分の拡大」

    の15.8%、「業績・成果に対応する賃金部分の拡大」の15.5%で、大規模で

    の割合が高い(第8図第17表)。

     今後3年間に賃金制度の改定を予定している企業の割合は 39.7%で、その

    内容(複数回答)をみると、「業績・成果に対応する賃金部分の拡大」が

    22.3%と最も高く、次いで、「職務遂行能力に対応する賃金部分の拡大」の

    20.8%などとなっている(第8図第18表)。





 3 資産形成

  (1) 貯蓄制度

     貯蓄制度がある企業の割合は65.2%で、前回(8年調査)に比べ3.9ポイン

    ト低下した。貯蓄内容(複数回答)をみると、「財形貯蓄」は61.8%(前回

    66.5%)、「社内預金」は7.4%(同8.6%)で、いずれも前回を下回った

    (第9図第10図第20表)。 



  (2) 住宅資金融資制度

     住宅資金融資制度がある企業の割合は12.6%で、前回(6年調査)に比べ

    5.8ポイント低下した(第9図第21表)。



  (3)  社内保険援助制度

     社内保険援助制度がある企業の割合は45.4%で、前回(8年調査)に比べ

    6.1ポイント低下した(第9図第23表)。



  (4) 持株援助制度

     会社組織が株式会社である企業のうち、 持株援助制度がある企業の割合は

    13.1%で、前回(8年調査)に比べ0.9ポイント上昇した

    (第11図第22表)。

    また、ストックオプション制度がある企業の割合は0.6%となっている

    (第22表)。





 4 職場外活動に対する支援・援助制度

   職場外活動に対する支援・援助制度がある企業の割合は41.8%となっている。

  活動別にみると、「自己啓発のための社外講座や研修への参加」は35.9%(前回

  8年 16.4%)、「リフレッシュ活動」は14.2%(同7.7%)でいずれも前回より

  大幅に上昇した。また、「ボランティア活動」は 4.2%となっている。

  (第12図第24表)。

   活動別に支援・援助内容(複数回答)をみると、「自己啓発のための社外講座

  や研修への参加」では、「金銭的支援」は79.8%、「リフレッシュ活動」及び

  「ボランティア活動」では、「休暇制度がある」がそれぞれ79.3%、53.0%と最

  も高くなっている(第25表26表27表)。





主な用語の説明



「所定労働時間」

  就業規則等で定められた始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を差し引

 いた労働時間をいう。

  なお、労働者によって所定労働時間が異なる場合は、最も多くの労働者に適用さ

 れるものをその企業の所定労働時間とし、また、変形労働時間を採用している場合

 は、変形期間内で平均したものをその企業の所定労働時間とした。

「変形労働時間制」

  業務の繁閑や特殊性に応じて所定労働時間の配分等を工夫できる制度で、「1年

 単位の変形労働時間制」、「1カ月単位の変形労働時間制」、「フレックスタイム

 制」等がある。

「所定内深夜労働」

  所定労働時間が一部でも深夜の時間帯(午後10時から午前 5時まで)を含んでい

 る場合、その深夜にかかる部分をいう。なお、残業時間は、所定労働時間ではない

 ので深夜となる部分があっても対象とならない。

「持株援助制度」

  企業が従業員に自社株式の保有を奨励するための何らかの経済的援助を与えてい

 る制度をいう。ただし、この調査では、管理職など一部の者のみを対象としている

 場合は除いている。

「ストックオプション制度」

  会社役員や従業員に対し、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で自社株

 式を購入できる権利を与える制度をいう。(株価が権利行使価格を上回れば、その

 差額が利益となり、下回った場合は、権利を行使しないでよい。)

「社内保険援助制度」

  企業が従業員の福利厚生の一環として取扱っている保険制度であって、企業が従

 業員を被保険者とする保険の保険料の一部又は全部を負担している場合のみをいう。

 退職金、年金制度(中小企業退職金共済制度、適格年金)などに関するものは含ま

 ない。



統計表等に用いてある符号は、次のとおりである。

 「 M.A.」は、複数回答であることを示すもので、構成比の合計は100.0を超え

る場合がある。

 「−」印は、該当数値が得られないものを示す。

 「...」印は、調査を行っていいないため、数値を計上できないものを示す。

 

III 調査結果


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