タイトル:平成10年転職者総合実態調査結果速報

     加齢とともに採用予定事業所の割合は低下	

     今の会社に転職して総合的に『満足』とする者は約6割

発  表:平成11年7月27日(火)

担  当:労働大臣官房政策調査部

              電 話 03-3593-1211(内線5237,5672)

                  03-3502-6728(夜間直通)



I 調査の概要





1 この調査は、事業所においては転職者に関する採用・処遇の状況、労働者にお

 いては転職時の状況、前の会社と今の会社の就業状況の比較及び今後の転職意識

 等の実態を把握し、雇用対策の基礎資料とすることを目的として実施した。



2 調査対象事業所は、日本標準産業分類に基づく9大産業〔鉱業、建設業、製造

 業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・

 保険業、不動産業、サービス業(家事サービス業、教育、外国公務を除く)〕

 に属する常用労働者5人以上を雇用する民営事業所のうちから無作為に抽出した

 約13,000事業所(有効回答率78.7%)及び対象事業所に就業している

 一般正社員の転職者約10,000人を対象に平成10年10月1日現在の状況

 について調査を行った。



3 調査の方法は、職業安定機関を通じた統計調査員による実地自計方式である。



4 この調査でいう転職者とは、次の(イ)と(ロ)の両方にあてはまる者をいう。

 (イ)平成9年10月1日から平成10年9月30日の間に調査対象事業所に勤め

 ることになった者。(ロ)調査対象事業所に勤める前の1年間に他企業に雇われた

 経験のある者(移籍出向者を含む)。ただし、事業所調査1(1)、(2)以外では一

 般正社員の転職者をいう。

  また、一般正社員とは雇用している労働者のうち、特に雇用期間を定めていな

 い常用労働者をいう(パートタイマー等は除く)。





 (注)統計表中の「−」はサンプルの無いもの、「*」はサンプル数が10未満

 のもの、「M.A.」は複数回答を示す。 



II 調査結果の概要





  【骨子】

   [事業所調査]



1 転職者の雇用状況

  -転職による入職1年以内の一般正社員の割合は4.5%、うち約4割は若年

  層-



 (1) 全事業所のうち、転職による入職1年以内の常用労働者がいる事業所は

    41.6%、同様の一般正社員がいる事業所は34.1%となっている(第1表)。	



 (2) 全常用労働者に占める転職による入職1年以内の労働者の割合は6.0%、

    うち一般正社員の転職による入職1年以内の労働者(以下「転職者」とい

    う。)の割合は4.5%となっている(第2表)。



 (3) 転職者の割合を主な産業でみると、サービス業(6.5%)の割合が高く、企

    業規模別でみると小規模企業ほど転職者の割合が高い。職業別では、生産

    工程・労務作業の仕事(22.4%)の割合が高くなっている(第2表第3表)。



 (4) 転職者の割合を年齢階級別にみると、29歳以下が43.9%で若年層が約4割

    となっている(第1図)。	





2 転職者の採用状況

  -処遇については「これまでの経験」を考慮が約6割、賃金の格付けは「おお

  むね同程度」が約5割-



 (1) 「経営戦略を意識して積極的に採用した」事業所の割合は51.0%、そのう

    ち主に意識した経営戦略は「既存事業の拡大・強化」(51.0%)が最も高い

    (第4表)。



 (2) 転職者を採用した事業所の採用理由を職業別にみると、専門的・技術的、

    管理的な仕事では「経験を活かし即戦力になるから」(64.7%)、事務、販

    売、サービスの仕事と保安、運輸・通信、生産工程・労務作業の仕事は

    「退・転職者の補充のため」(それぞれ59.7%、56.0%)が最も高くなって

    いる(第2図第5表)。



 (3) 転職者の募集方法は、公共職業安定所等公的機関の利用(69.9%)が最も

    高い(第3図第6表)。	



 (4) 転職者の処遇(賃金、役職等)を決定する際、何を考慮したかをみると、

    「これまでの経験」(60.4%)が最も高く、次いで「年齢」(48.7%)の割

    合が高い(第4図第7表)。



 (5) 転職者の賃金の格付けを同一年齢、同一職種で以前から勤めている者と比

    べてみると「おおむね同程度」が最も高く49.9%となっている(第8表)。





3 転職者の教育訓練

  -教育訓練(研修)『実施』は約6割- 

	

    転職者の教育訓練(研修)を「全員に実施している」(32.8%)、「一部に実施

    している」(27.5%)で教育訓練を 『実施』している事業所の割合は約6割で、

    企業規模別にみると、100人以上の規模では全員に実施している事業所の割

    合が高い(第8図)。	





4 転職者の採用予定

  -25〜29歳をピークに加齢とともに採用予定事業所の割合が大きく低下-



 (1) 今後3年間の転職者の採用予定は「未定である」51.5%となっており、「積

    極的に転職者を採用したい」14.1%、「できれば新規学卒者より転職者を採

    用したい」8.1%を合わせて転職者を採用したいとする事業所の割合は22.2%、

    「新規学卒者を中心に採用したい」11.8%で、新規学卒者よりも転職者を採

    用したいとする事業所の割合が高い(第9表)。



 (2) 採用予定の年齢は「25〜29歳」(60.1%)が採用予定事業所の割合が最も高く、

    年齢が高くなるに従って、採用予定事業所の割合が大きく下がっていく

    (第9図)。



 (3) 採用予定の職業は「専門的・技術的な仕事」(44.9%)、「販売の仕事」

    (34.4%)等の割合が高い(第10表)。



 (4) 採用予定の役職は「一般職」(63.0%)、「専門職」(47.6%)の割合が

    高い(第11表)。







   [個人調査]



1 前の会社及び今の会社の状況

  -転職により賃金が「増加した」者は約3割「減少した」者は約4割-



 (1) 転職者の割合を前の会社の雇用形態別にみると、一般正社員83.3%、パー

    ト6.3%、契約社員4.0%、臨時・日雇2.9%、派遣労働者1.2%となっている

    (第10図第12表)。	



 (2) 転職による賃金の変化は、「減少した」者41.2%、「増加した」者30.5%、

    「変わらない」とした者28.3%となっている。特に45歳以上では、賃金が

    「減少した」者の割合が高くなっている(第13表)。



 (3) 転職による労働時間の変化は「変わらない」者40.0%、「増加した」者

    31.5%、「減少した」者28.5%となっている(第11図)。



 (4) 産業間の移動は同一産業間の移動の割合が高く、「サービス産業」間の移

    動の割合が最も高い(第14表)。



 (5) 職業間移動は同一職業への移動の割合が高く、「事務の仕事」から「事務

    の仕事」へ、「生産工程・労務作業の仕事」から「生産工程・労務作業の仕

    事」への移動の割合が高い(第15表)。



 (6) 企業規模間移動は小規模企業への移動の割合が高い(第16表)。





2 転職時の状況

  -転職活動を始めてから離職するまでの期間は各年齢層とも「3ヵ月未満」

  が6割を超え、今の会社に勤めるまでの離職期間も「2ヵ月未満」が5割を

  超えている-



 (1) 前の会社を離職した主な理由は、「自己都合」(78.6%)の割合が最も高

    く、次いで「倒産、整理解雇」(11.3%)となっている。年齢が高くなるに

    従って、「自己都合」の割合が低下し、特に50歳代では「倒産、整理解雇」

    (21.2%)、「希望退職」(16.5%)の割合が高くなっている(第17表)。	



 (2) 自己都合で離職した具体的理由は「満足のいく仕事内容でなかったから」

    (15.3%)、「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」(14.2%)、「会社の将

    来に不安を感じたから」(12.1%)の割合が高い(第18表)。



 (3) 転職回数は今の会社への転職を含めた1回(35.6%)の割合が最も高い。一般

    正社員、契約社員は1回、パート、臨時・日雇は2回、派遣労働者は3回の割

    合が高い(第12図)。



 (4) 具体的な転職活動をした者は77.3%、転職活動を始めてから離職するまで

    の期間は「1ヵ月未満」34.2%、「1〜3ヵ月未満」35.6%で、3ヵ月未満の割合

    が69.8%となっている。各年齢層とも3ヵ月未満の割合が6割を超えている

    (第20表)。

     離職してから今の会社に勤めるまでの離職期間は「1ヵ月未満」34.1% の割

    合が最も高く、各年齢層とも2カ月未満の者が5割を超えている(第21表)。



 (5) 雇用保険の失業手当を受給した者は23.2%、受給しなかった者は76.8%と

    なっている。受給期間は「90〜120日未満」(30.1%)の割合が最も高い(第22表)。



 (6) 求職活動の手段としては、「公共職業安定所等公共機関」(40.4%)、「縁故

    (知人、友人等)」(35.0%)の割合が高い(第13図第23表)。





3 今の会社の状況

  -今の会社に転職して総合的に『満足』とする者は約6割-

 (1) 今の会社を選んだ理由は「仕事の内容・職種が満足がいくから」(23.3%)、

    「自分の技術・能力が活かせるから」(19.7%)、「転勤が少ない、通勤が便

    利だから」(14.7%)の割合が高い(第24表)。



 (2) 今の会社の総合的満足度は「やや満足」(35.1%)と「満足」(24.4%)を合わ

    せた『満足』が約6割となっている(第25表)。

    「通勤の便」、「仕事の内容・職種」で『満足』の割合が高く、「賃金」、

    「労働時間・休日」で『不満』の割合が高くなっている(第14図)。



 (3) 就業経験の活用状況では「ある程度活用されている」(37.9%)、「かなり

    活用されている」(18.8%)を合わせて『活用されている』割合は約6割と

    なっている(第15図)。





4 今後の状況

  -35歳以上で「転職したくない」者4割以上、理由として45歳以上では

  「年齢で制約があるから」が3割を超える-



 (1) 今後の転職希望は「わからない」51.8%、「転職したくない」37.3%、

    「転職したい」10.9%となっている。35歳以上では「転職したくない」の

    割合が4割以上となっている(第26表)。



 (2) 転職したい理由では「今の職場に不満があるから」(37.2%)の割合が最

    も高い(第27表)。



 (3) 転職したくない理由では「今の職場に満足しているから」(53.6%)の割

    合が最も高い。45歳以上では「年齢で制約があるから」が3割を超えている

    (第28表)。



 (4) 転職支援については「求人情報提供の拡充」(34.5%)が最も高く、男性

    は「企業年金・退職金が不利にならないような制度の改善」(32.7%)、女

    性は「求人情報提供の拡充」(41.0%)が最も高くなっている (第29表)。



   



III 調査結果


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