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3.男女間の賃金格差を解消する賃金・処遇制度のあり方



 (2)雇用管理(賃金制度以外)に関連する問題と企業の対応の方向



   a 昇進・昇格における男女間格差の解消



     男女間賃金格差の発生原因は多面的、複合的であるが、最大の要因は、企

    業内での女性の職階や社内資格が低いことである(図表14図表16、注)。

    職場における女性の職階が男性並みとなるならば、現行の雇用管理の下でも、

    男性の平均賃金水準を100.0としたときに女性のそれは77.2(2001年)まで

    縮小する(前掲図表14参照)。

     第2の要因は女性の勤続年数が男性と比べて短いことである。女性の勤続

    年数が男性並みに延長されるならば、現行の雇用管理の下でも男性の平均賃

    金水準を100.0としたときに女性のそれは71.4(2001年)まで縮小する(前

    掲図表14参照)。

     男女間でみられる職階格差や社内資格格差が存在する背景には、職場にお

    ける日頃の業務の与え方の積み重ねや評価制度の内容・運用も影響している

    と考えられる。そうした点を踏まえて、女性が男性と同じように賃金の高い

    職階や社内資格に進むことのできるような体制作りを企業内外で進めること

    が最も大切である。その前提として、女性が長く働き続けられるようにする

    ための取り組みや、女性の職務遂行能力の向上やそのための機会が十分与え

    られることも必要である。同時に、企業には女性管理職を増やすためのポジ

    ティブ・アクション等を通じて、女性の能力を積極的に活用する努力が必要

    であると考えられる。







    (注)職階とは、ここでは部長、課長、係長などの職位のことを意味してい

      る。また社内資格とは、たとえば職能資格制度を採用している企業の場

      合であれば職能資格のことを指す。



    (注)ポジティブ・アクションとは、固定的な性別による役割分担意識や過

      去の経緯から、男女労働者の間に事実上生じている差があるとき、それ

      を解消しようと、企業が行う自主的かつ積極的な取組みをいう。





  

   b 配置・配置転換における男女間格差の解消



     企業内の配置や配置転換には依然としてかなりの男女差が存在する。

    (図表22)。この配置や配置転換の男女差は、長期的には男女間の昇進・昇

    格の格差をもたらすこととなる。

     広がりつつある成果主義に基づく雇用管理の下では、男女間で分け隔ての

    ない配置や配置転換はますます重要である。したがって、配置や配置転換の

    男女差を縮小することは、長期的にみると男女間賃金格差の縮小に確実に寄

    与する。

     配置や配置転換において男女差がもたらされる背景としては、女性の能力

    発揮に対する企業の意欲が低いことを指摘できる。そして、女性への業務の

    与え方や人事評価についても課題がある(本研究会が実施した企業ヒアリン

    グ結果及びアンケート調査結果による。)。企業は配置や配置転換における

    男女差の解消を積極的に行うことが重要である。

     女性の配置が遅れている職務分野に女性の配置を推進するためにも、企業

    はポジティブ・アクションを積極的に取り入れた雇用管理を推進するべきで

    ある。

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