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−「平成13年度女性雇用管理基本調査」結果概要−
1 事業所及び労働者の状況
(1)事業所の状況
本調査における事業所の産業別構成比をみると、製造業が24.5%、卸売・小売
業,飲食店が27.8%等となっている(第1図)。規模別には常用労働者500人以
上の事業所が1.5%、300〜499人規模が2.0%、100〜299人規模が15.4%、30〜99
人規模が81.2%となっている。
コース別雇用管理制度(※1)の導入状況をみると、導入している事業所割合
(※2)は14.8%となっている。
(※1)この調査でいうコース別雇用管理制度とは、企画的業務や定型的業務等
の業務内容や、転居を伴う転勤の有無等によっていくつかのコースを設定
して、コースごとに異なる配置・昇進、教育訓練等の雇用管理を行うシス
テムのことをいう。
(※2)平成12年度調査では企業を対象にコース別雇用管理制度の導入状況を調
査したが、7.1%であった。今回は事業所を対象としたため、同一企業か
ら複数事業所が抽出される場合があり、数値に差が出たものと考えられる。
(2)労働者の状況
(1)事業所の女性割合
常用労働者(※3)のうち、平均女性割合は37.8%となっている。産業別に
みると、女性割合が高い順に、卸売・小売業,飲食店、サービス業、金融・保
険業となっている。また、一般労働者(※4)の平均女性割合は28.6%となっ
ている。産業別にみると、女性割合が高い順にサービス業、金融・保険業とな
っており、コース別雇用管理制度の導入状況別にみると、導入している事業所
は25.2%、導入していない事業所は29.3%となっている(第1表)。
(※3)常用労働者とは、(1)〜(4)のいずれかに該当する者をいう。(1)期間
を定めずに、又は1か月を超える期間を定めて雇われている者(2)臨時
又は日雇い労働者で、調査日前2か月の各月にそれぞれ18日以上雇われ
た者(3)取締役、理事などの役員のうちで常時勤務して、一般労働者と
同じ給与規則又は同じ基準で毎月給与の支払いを受けている者(4)事業
主の家族であって、その事業所に常時勤務して給与の支払いを受けてい
る者
(※4)一般労働者とは、常用労働者のうちパート・アルバイト等以外の正規
の社員・従業員の者をいう。
(2)3年前と比べた労働者数の変化
一般労働者数の増減状況別に、女性一般労働者、男性一般労働者、パート・
アルバイト、派遣労働者(以下、パート等)の増減状況をみると、一般労働者
数が増えた事業所では、女性が増えた事業所は85.4%、パート等が増えた事業
所は56.9%となっている。一般労働者数が変わらない事業所では18.6%、一般
労働者数が減った事業所では29.9%がパート等が増えたとしている(第2表)。
(3)平均年齢、平均勤続年数
(1)平均年齢
一般労働者の1事業所当たり平均年齢は、女性が36.2歳、男性が40.4歳であ
った(付表1)。女性については平均年齢30〜35歳未満の事業所割合が21.0%
と最も高く、次に25〜30歳未満が20.3%、35〜40歳未満が19.1%となっている。
(2)平均勤続年数
一般労働者の1事業所当たり平均勤続年数は、女性が9.8年、男性が13.9年
であった(付表1)。女性については平均勤続年数5〜10年未満の事業所割合
が40.3%と最も高く、次いで5年未満の26.2%であり、10年以上とする事業所
割合は31.2%にとどまっている。一方、男性については、10年以上とする事業
所割合は54.9%となっている。
(4)配偶関係、末子の状況
(1)配偶関係
一般労働者の配偶関係を把握している事業所について、一般労働者に占める
有配偶者割合をみると、女性が40.5%、男性が62.8%となっている。女性につ
いて産業別にみると、有配偶者割合が比較的高い産業は製造業、鉱業、サービ
ス業、電気・ガス・熱供給・水道業であり、低い産業は、不動産業等となって
いる。事業所規模別にみると、規模が小さくなるほど女性の有配偶者割合が高
くなっている。コース別雇用管理制度の導入状況別にみると、導入している事
業所が33.6%、導入していない事業所が41.7%と、導入している事業所の方が
8.1%ポイント低い(第2図)。
(2)末子の状況
一般労働者の配偶関係及び末子の状況を把握している事業所の状況をみると、
女性一般労働者のうち末子が小学校入学前の労働者割合は4.8%、末子が小学
生の労働者割合は4.0%となっている。産業別にみると、金融・保険業におい
て末子が小学生の労働者が6.2%、末子が小学校入学前の労働者割合が6.3%と、
他の産業と比べて高くなっている。小学生以下の末子がいる労働者の割合は、
コース別雇用管理制度を導入している事業所が7.7%、導入していない事業所
が8.9%と、導入している事業所の方が1.2%ポイント低い(第3図)。
2 主要な業務への男女の配置について
事業所の主要部門における管理職以外の男女の配置状況をみると、「新入社員が
1〜2年で習熟する業務」においては、男女ともに就いている事業所が72.1%、男性
のみ就いている事業所が14.3%、女性のみ就いている事業所が3.2%となっている。
「新入社員が3〜5年で習熟する業務」においては、男女ともに就いている事業所が
62.0%、男性のみ就いている事業所が18.8%、女性のみ就いている事業所が2.0%
となっている。「新入社員が6年以上で習熟する業務」においては、男女ともに就
いている事業所が55.7%、男性のみ就いている事業所が20.4%、女性のみ就いてい
る事業所が1.8%となっている。習熟度が高くなるほど、男女とも就いている事業
所割合及び女性のみ就いている事業所割合が低下し、男性のみ就いている事業所割
合が上昇する傾向がある(第4図)。コース別雇用管理制度を導入している事業所
では、男性のみ就いている事業所割合が習熟度の順に18.1%、25.2%、24.3%とな
っており、導入していない事業所は同様に13.6%、17.6%、19.7%と、導入してい
る事業所の方が男性のみ就いている割合が高い。
3 昇進・昇格の状況について
(1)管理職等に占める女性の割合
事業所の管理職等(※5)に占める女性の割合をみると、7.8%となっている。
これを年齢階級別にみると、30歳未満では21.3%と管理職全体の5分の1を占め
るまでになっているが、30歳以上になると、その割合は7〜8%と低く、特にコ
ース別雇用管理制度を導入している事業所では、年齢が上昇するに従い管理職等
の割合が低下していく(第5図)。
(※5)この調査でいう「管理職等」とは、係長相当職・課長相当職・部長相当職
のことをいい、事業所の組織系列において、配下の係員を指揮・監督する役
職のほか、専任職・スタッフ管理職等と呼ばれている役職を含む。
(2)役職別管理職等に占める女性の割合
役職別に管理職等に占める女性の割合をみると、係長相当職では11.9%、課長
相当職では5.5%、部長相当職では3.2%を占めている。これを年齢階級別にみる
と、30歳未満では係長相当職・課長相当職のうち2割を女性が占めているものの、
30〜39歳では割合が大きく低下し、一番高い係長相当職でも8.6%となっている。
それ以降の年齢層では係長相当職の割合は上昇するが、課長相当職の割合は30〜
39歳層から50〜59歳層に至るまでおおむね横ばいであり、部長相当職の割合は低
下している(第6図)。
(3)一般労働者に占める管理職等の割合
管理職への昇進時期は男女で大きく異なっており、例えば男性は30〜39歳層で
20.6%が係長相当職になっているのに対し、女性は5.9%となっている。さらに、
男性は40〜49歳層で24.5%が課長相当職になっているのに対し、女性は4.1%に
とどまっている。(第7図)。
(4)大卒標準労働者の昇級・昇格状況
(1)昇級・昇格時期の差
大卒標準労働者(※5)が入社してから昇級・昇格していく時に男女差があ
るかどうかをみると、「男女ともかわらない」が58.2%、「男性の方が女性よ
りはやく昇級・昇格する者が多い」が30.5%となっている(第8図)。産業別
にみると、「男性の方が女性よりはやく昇級・昇格する者が多い」とした事業
所の割合は建設業が51.3%、卸売・小売業、飲食店が35.5%、不動産業が34.5
%等となっている。
(※5)大学卒業後、直ちに企業に入社し、同一企業に継続勤務している労働者
(2)昇級・昇格の差がつく時期
男性の方が女性よりはやく昇級・昇格する者が多いと回答した事業所につい
て、差がつく時期をみると、「入社してから6〜10年目まで」が32.9%と最も
高く、次いで「入社してから5年目まで」が24.3%となっている(第3表)。
(3)昇級・昇格の差がつく理由
男性の方が女性よりはやく昇級・昇格する者が多いと回答した事業所につい
て、その理由をみると、最も割合が高いのは「女性と男性では、おおむね就い
ている職種が異なるから」が54.1%と、男女の業務の違いが大きく影響してい
る。このほか、「女性の勤続年数が短いので昇級・昇格の要件に該当する者が
いない」が33.9%、「昇級・昇格に見合う能力や業績を持った女性がいない」
が28.4%となっている(第9図)。
4 配置転換の状況について
(1)配置転換の実施状況別事業所割合
過去1年間の配置転換の実施状況をみると、事業所内配置転換を実施した事業
所のうち女性の配置転換実績のある事業所割合は33.6%、男性は64.9%となって
いる。配置転換により他の事業所から転入した女性労働者のいる事業所割合は
16.6%、男性は71.4%であり、配置転換により他の事業所へ転出した女性労働者
のいる事業所割合は21.7%、男性は78.1%となっている。事業所間の配置転換に
おいては、男女の差が大きくなっている(第4表)。
(2)配置転換のあった労働者の割合
過去1年間に、一般労働者に占める配置転換のあった労働者の割合を男女別に
みると、事業所内配置転換は女性が9.2%、男性が9.6%となっている。配置転換
により他の事業所から転入した女性労働者の割合は4.2%、男性は8.6%となって
いる。配置転換により他の事業所へ転出した女性労働者の割合は4.6%、男性は
9.7%となっている(第10図)。コース別雇用管理制度の導入状況別にみると、
導入している事業所における女性の転入者割合は4.5%、男性は9.7%、女性の転
出者割合は4.9%、男性は11.9%であり、導入していない事業所における女性の
転入者割合は4.1%、男性は8.2%、女性の転出者割合は4.4%、男性は8.9%であ
った。
5 諸手当について
(1)家族手当
(1)家族手当の支給決定方法等
全事業所のうち、家族手当のある事業所割合は77.5%である。それらの事業
所の支給決定方法をみると、「配偶者に対する金額を特定して、その他は扶養
順位により支給している」が73.8%、「配偶者に関わらず扶養順位により支給
している」が15.2%となっている(第5表)。
(2)事業所の家族手当額
配偶者に対する金額を特定している事業所の平均家族手当額は配偶者への手
当が12,490円、第1子が4,500円、第2子が3,960円、第3子が3,530円となっ
ている。
一方、配偶者に関わらず扶養順位により家族手当を支給している事業所では、
第一扶養者への平均手当額が12,670円、第二扶養者が4,920円、第三扶養者が
4,530円、第四扶養者が4,210円となっている(第6表)。
(3)配偶者に対する家族手当の支給制限及び上限金額
配偶者の収入金額による家族手当の支給制限がある事業所割合は58.3%であ
り、年間収入上限額をみると、103万円(所得税の非課税限度額)が75.7%、
130万円(社会保険の被扶養者となりうる限度額)が19.0%と、この二つで事
業所の9割以上を占めている。
(4)配偶者の収入金額以外の家族手当の支給制限
家族手当制度のある事業所のうち配偶者の収入金額以外の支給要件がある事
業所割合は81.4%であり、その内容をみると、「支給対象者が税控除の対象と
なる扶養家族であること」が66.8%、「主たる生計者であること」が55.6%、
「世帯主であること」が46.9%となっている(第11図)。
(5)家族手当の支給状況
一般労働者のうち事業所が家族手当を支給した労働者の割合は41.1%で、う
ち女性は4.4%、男性は95.6%と、男女差が大きい(第12図)。女性一般労働
者に占める家族手当支給労働者割合は6.4%、男性一般労働者に占める割合は5
4.8%となっている。また、有配偶女性に占める支給者割合は15.6%、有配偶
男性に占める割合は82.4%となっている(第13図)。
(2)住宅手当
(1)住宅手当の支給要件等
全事業所のうち、住宅手当のある事業所割合は50.9%であり、そのうち支給
要件のある事業所割合は74.7%となっている。それらの事業所の支給要件をみ
ると、「世帯主であること」が63.6%、「主たる生計者であること」が44.5%
となっている(第14図)。
(2)住宅手当の支給状況
一般労働者のうち事業所が住宅手当を支給した労働者の割合は51.5%で、男
女別にみると女性は19.2%、男性は80.8%であった(第15図)。
女性一般労働者に占める支給者割合は33.9%、男性一般労働者に占める割合
は58.8%となっている(第16図)。
6 セクシュアルハラスメント防止対策状況について
(1)セクシュアルハラスメント防止のための取組内容
平成11年4月以降調査時点までのセクシュアルハラスメント防止に係る事業主
の取組内容をみると、「就業規則、労働協約等の書面でセクシュアルハラスメン
ト防止についての方針を明確化し、周知した」が36.8%と最も高く、次いで「ミ
ーティング時などを利用してセクシュアルハラスメント防止の周知を行った」が
31.3%となり、取組が進んできている一方、「特になし」が35.6%と、取組が遅
れている事業所もみられる(第17図)。
(2)セクシュアルハラスメント防止のための相談・苦情対応窓口設置内容
セクシュアルハラスメントに係る相談・苦情の対応窓口を明確にするよう義務
づけられているが、その設置状況をみると、「人事担当者や職場の管理職を相談
担当者に決めている」が42.8%と最も多い。一方、「設置していない」事業所も
44.0%に上っている(第18図)。
(3)セクシュアルハラスメントに関する相談・苦情の有無とその後の対応
セクシュアルハラスメントに関する相談・苦情があった事業所割合は、6.3%
となっており、その後の対応をみると、複数回答で「相談者から事実確認のため
事情を聴取した」が80.3%、「加害者に対し雇用管理上の措置(配置転換)や注
意喚起を行った」が66.7%、「就業規則に基づき、加害者への制裁(けん責・出
勤停止・懲戒解雇等)を行った」が20.3%となるなど、相談・苦情を受けた場合
には9割以上の事業所が何らかの対応を講じている(第19図、付表5)。
7 深夜業について
(1)深夜労働(所定内労働)に従事する労働者の状況等
所定内労働で深夜(午後10:00〜午前5:00)労働のある者がいる事業所割合は
34.3%である。一般労働者のうち、深夜労働に従事する者の割合は15.6%であり、
3.6%が女性である。交替制勤務者以外で深夜労働のある労働者のうち女性割合
は14.6%、交替制勤務者で深夜労働のある労働者のうち女性割合は26.0%となっ
ている(第7表)。
一般労働者に占める深夜業従事者割合をみると、女性は12.7%、男性は16.7%
となっている。産業別にみると、女性で最も割合が高い産業はサービス業、次い
で運輸・通信業となっている(第20図)。
(2)深夜労働に従事する一般労働者の増減状況
平成11年4月1日から労働基準法上の女性の深夜業に係る規制が解消されてい
るが、その前後で深夜業従事者の増減状況をみると、男女とも「変わらない」の
割合が高いが、交替制勤務者以外で深夜労働のある者がいる事業所においては、
女性では「増加した」が24.5%、男性では16.0%となっており、「減少した」は
女性では22.2%、男性では27.3%となっている。
交替制勤務者で深夜労働のある者がいる事業所においては、女性では「増加し
た」が34.0%と、男性の18.2%を大きく上回っている。また、男性では「減少し
た」が26.9%を占め、女性の12.0%を大きく上回っており、法改正の影響が伺え
る(第21図)。
8 女性一般労働者の妊娠・出産について
(1)女性一般労働者の出産者割合等
女性一般労働者の出産者があった事業所割合は24.5%となっている。女性一般
労働者に占める出産者の割合は2.7%であった。産業別にみると、電気・ガス・
熱供給・水道業で4.2%と高くなっている(第22図)。
(2)女性一般労働者の妊娠・出産による退職状況
女性一般労働者に占める、妊娠・出産を理由に退職した者の割合は0.8%であ
る。退職の時期をみると出産前に退職した者の割合は78.8%、出産後に退職した
者の割合は21.2%となっている(付表6)。
(3)女性一般労働者の妊娠・出産、産前産後休業取得に伴う配置転換の方針
女性一般労働者が妊娠・出産、産前産後休業を取得することを契機とする配置
転換の方針をみると、いずれも原則として配置転換は行わないとする事業所割合
が6割と高い。一方、本人の希望を考慮し会社が決定するとする事業所も約3分
の1ある(第8表)。
(参考)均等指数の試算結果
事業所の男女均等取扱状況を客観的に数値で把握するための材料として、参考まで
に本調査への回答内容により、産業別平均均等指数を試算した。
具体的には、1〜4を合計して算出している。
1 主要部門への一般労働者の配置状況(新入社員が1〜2年で習熟する業務に男
女ともおおむね同じ割合(一方の性が3〜7割)で配置されている=1点、同様
に3〜5年で習熟する業務=2点、6年以上で習熟する業務=3点)
2 昇進・昇格の状況(係長相当職の女性が1人以上いる=1点、同様に課長相当
職=2点、部長相当職=3点)
3 大卒標準労働者の昇級・昇格の男女差状況(男女とも変わらない又は女性のほ
うが男性より早く昇級・昇格する者が多い=3点)、
4 配置転換の状況(事業所内配置転換を行った女性労働者数が1人以上=3点)
満点が18点で、平均は5.2点となったが、均等指数が最も高い産業はサービス業の
7.9点、次に金融・保険業の7.0点となった。逆に均等指数が低い産業は鉱業、運輸・
通信業、建設業等であった(参考図)。
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