タイトル:「平成13年度女性雇用管理基本調査」結果概要

     改正男女雇用機会均等法施行後の事業所における女性の雇用管理状況

     大卒で男性の方が女性より昇進昇格が早い事業所割合は30.5%

     男女差が出る時期は「入社後6〜10年目まで」の事業所が約3割



発  表:平成14年5月24日(金)

担  当:厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課

                  電 話 03-5253-1111(内線7837,7834)

                      03-3595-3271(夜間直通)

I 調査の概要



 1 女性雇用管理基本調査は、主要産業における女性労働者の雇用管理の実態等を

  総合的に把握するために毎年実施しているものであるが、平成13年度は、特に平

  成11年4月の改正男女雇用機会均等法施行後の女性の雇用管理状況等について事

  業所単位で把握することを目的として、都道府県労働局を通じた事業所への郵送

  調査の方法により、平成13年10月現在で行ったものである。



 2 男女雇用機会均等法の改正においては、これまで事業主の努力義務であった募

  集・採用、配置・昇進についての女性に対する差別が禁止され、新たにポジティ

  ブ・アクションの促進、セクシュアルハラスメント防止への対応等が盛り込まれ

  た。同時に改正された労働基準法においては、女性労働者に対する時間外・休日

  労働、深夜業の規制が解消された。

   平成12年度においては、改正法施行後の企業の女性雇用管理に関する制度の有

  無、方針等を把握することを目的として企業単位で調査を行ったが、平成13年度

  においては、事業所における制度の運用状況等、雇用管理の実態を把握すること

  を目的として調査を行った。

   また、男女間の賃金格差の要因の一つとして指摘されている家族手当や住宅手

  当の支給状況についても併せて調査を行った。



 3 調査対象は、常用労働者30人以上を雇用している民営事業所のうちから産業・

  規模別に層化して抽出した約9,000事業所であり、そのうち6,719事業所から有効

  回答を得(74.7%)、集計した。





【最近の調査テーマ】



  平成12年度 改正男女雇用機会均等法施行後1年余経過後の企業の女性活用状況



  平成11年度 育児休業制度及び介護休業制度等の実施状況



  平成10年度 改正男女雇用機会均等法の全面施行前の企業の女性活用状況



  平成9年度 母性保護等実施状況

II 調査結果の概要



〈 骨子 〉



1 事業所及び労働者の状況

  −女性の有配偶者割合は40.5%、末子が小学生以下の女性労働者割合は8.8%−



 (1) 常用労働者に占める1事業所当たり平均女性割合は37.8%、一般労働者(常

  用労働者のうちパート・アルバイト等以外の正規の社員・従業員の者)に占める

  1事業所当たり平均女性割合は28.6%となっている。3年前と比べた事業所の労

  働者の増減状況をみると、一般労働者が減少した事業所でも、パート・アルバイ

  ト、派遣労働者などの非正規労働者が増加している割合は29.9%である。

  (第1表第2表)



 (2) 一般労働者の1事業所当たり平均年齢は、女性が36.2歳、男性が40.4歳とな

  った(付表1)。



 (3) 一般労働者の1事業所当たり平均勤続年数は、女性が9.8年、男性が13.9年と

  なった(付表1)。



 (4) 一般労働者に占める有配偶者割合は、女性が40.5%、男性が62.8%となって

  いるが、産業別にみると、女性は製造業が高く、不動産業、卸売・小売業,飲食

  店、金融・保険業が低い(第2図)。女性一般労働者のうち、小学校入学前の末

  子がいる労働者の割合が4.8%、小学生の末子がいる労働者の割合が4.0%となっ

  ており、仕事と子育てとの両立の問題を抱えていると思われる女性は8.8%、一

  般労働者の約1割に上っている(第3図)。



2 配置、昇進・昇格の状況について

−男女の配置や配置転換に偏りが存在、昇進・昇格やキャリア形成の機会にも格差−



  男女の配置状況をみると、業務の習熟度が高くなるほど「男性のみ就いている」

 とする事業所割合が多い。また、大卒標準労働者でみると「男性の方が昇進・昇格

 が早い」とする事業所が3割を超えているが、その理由として「女性と男性ではお

 おむね就いている職種が異なるから」をあげる事業所が過半数を占めるなど、男女

 間で就いている業務が異なることが、昇進・昇格の男女差を生んでいることが伺わ

 れる。

  こうした状況を解消するためには女性に対しても配置転換等によりキャリア形成

 を図ることが重要であるが、現実には、女性の事業所間配転は男性の約半分に留ま

 っており、女性のキャリア形成の機会は制限されたものとなっている。



 (1) 主要な業務への配置 −習熟度が高い業務ほど「男性のみ就いている」−



   事業所の主要部門における男女の配置状況をみると、業務の習熟度が高くなる

  ほど、男女とも就いている事業所割合及び女性のみ就いている事業所割合が低下

  し、男性のみ就いている事業所割合が上昇する傾向がある(第4図)。



 (2) 昇進・昇格の状況 −大卒で男性の方が昇進昇格が早い事業所割合は30.5%、

        男女差が出る時期は「入社後6〜10年目まで」の事業所が約3割−



   管理職等に占める女性の割合は7.8%であり、役職別にみると係長相当職では1

  1.9%、課長相当職では5.5%、部長相当職では3.2%となっている

  (第5図第6図)。

   管理職への昇進時期は男女で大きく異なっており、例えば男性は30〜39歳層で

  20.6%が係長相当職になっているのに対し、女性は5.9%となっている。さらに、

  男性は40〜49歳層で24.5%が課長相当職になっているのに対し、女性は4.1%に

  とどまっている(第7図)。

   大卒標準労働者が入社してから昇級・昇格していく際の男女差の状況をみると、

  「男女ともかわらない」事業所割合が58.2%、「男性の方が女性よりはやく昇級・

  昇格する者が多い」が30.5%となっている(第8図)。産業別にみると、「男性

  の方が女性よりはやく昇級・昇格する者が多い」とした事業所の割合は、建設業

  が51.3%、卸売・小売業、飲食店が35.5%、不動産業が34.5%等となっている。

  差がつく時期をみると、「入社してから6〜10年目まで」が32.9%と最も高く、

  次いで「入社してから5年目まで」が24.3%となっている。

   差がつく理由は「女性と男性ではおおむね就いている職種が異なるから」が

  54.1%と、男女の業務の違いが大きな影響を与えていることがわかる

  (第3表第9図)。



 (3) 配置転換の状況 −女性は男性と比べて事業所間配置転換が約半分−



   男女一般労働者について過去1年間の配置転換の状況をみると、事業所内配置

  転換をした女性割合は9.2%、男性は9.6%と差はほとんどない。一方、他の事業

  所から転入した女性は4.2%、男性は8.6%であり、他の事業所へ転出した女性は

  4.6%、男性は9.7%となっている(第10図)。



3 コース別雇用管理制度導入の有無による雇用管理の状況

      −コース別雇用管理制度導入事業所の方が、女性管理職の割合が低い−



 (1) 女性一般労働者に占める有配偶者の割合は、コース別雇用管理制度を導入し

  ている事業所が33.6%、導入していない事業所が41.7%と、導入している事業所

  の方が8.1%ポイント低い(第2図)。



 (2) 女性一般労働者のうち、小学生以下の末子がいる労働者の割合は、コース別

  雇用管理制度を導入している事業所が7.7%、導入していない事業所が8.9%と、

  導入している事業所の方が1.2%ポイント低い(第3図)。



 (3) 管理職等に占める女性の割合は、コース別雇用管理制度を導入している事業

  所が4.6%、導入していない事業所が8.7%と、導入している事業所の方が4.1%

  ポイント低い(第5図)。



4 諸手当について −家族手当支給労働者のうち、女性は約4%−



  一般労働者のうち事業所が家族手当を支給した労働者の割合は41.1%であり、支

 給者のうち女性割合は4.4%にとどまっている(第12図)。一般労働者に占める家

 族手当支給労働者の割合は、女性が6.4%、男性が54.8%となっており、有配偶者

 に占める割合は女性が15.6%、男性が82.4%である(第13図)。



5 セクシュアルハラスメント防止対策について

     −相談窓口の設置状況に遅れ、相談・苦情のあった事業所割合は6.3%−



 (1) セクシュアルハラスメント防止に係る事業主の取組内容をみると、「就業規

  則、労働協約等の書面でセクシュアルハラスメント防止についての方針を明確化

  し、周知した」が36.8%と最も高く、次いで「ミーティング時などを利用してセ

  クシュアルハラスメント防止の周知を行った」が31.3%となり、取組が進んでき

  ている一方、「特になし」が35.6%と、取組が遅れている事業所もみられる

  (第17図)。



 (2) セクシュアルハラスメントに係る相談・苦情の対応窓口設置状況については、

  「人事担当者や職場の管理職を相談担当者に決めている」が42.8%と最も多い。

  一方、「設置していない」とする事業所が44.0%に上っている(第18図)。



 (3) セクシュアルハラスメントに関する相談・苦情があった事業所割合は、6.3%

  となっており、その後の事業主の対応をみると、「相談者から事実確認のため事

  情を聴取した」が80.3%、「加害者に対し雇用管理上の措置(配置転換)や注意

  喚起を行った」が66.7%、「就業規則に基づき、加害者への制裁(けん責・出勤

  停止・懲戒解雇等)を行った」が20.3%となるなど、相談・苦情を受けた場合に

  は9割以上の事業所が何らかの対応を講じている(第19図付表5)。



6 深夜業について −女性一般労働者の深夜業従事者は増加、約8人に1人に−



  女性一般労働者に占める深夜業従事者割合は12.7%(男性は16.7%)となってい

 るが、産業別にみるとサービス業が26.7%と最も高く、次いで運輸・通信業の9.5

 %となった(第20図)。平成11年4月1日から

 労働基準法上の女性の深夜業に係る規制が解消されているが、その前後で深夜業従

 事者の増減状況をみると、男女とも「変わらない」の割合が高いが、交替制勤務者

 以外で深夜労働のある者がいる事業所においては、女性では「増加した」が24.5%、

 男性では16.0%、交替制勤務者で深夜労働のある事業所ではそれぞれ34.0%、18.2

 %となっており、法改正の影響が伺える(第21図)。



 (参考) 均等指数の試算結果 −均等指数が最も高い産業はサービス業−



   本調査への回答内容を用いて産業別平均均等指数を試算したところ、満点が18

  点で、平均は5.2点となった。その中で均等指数が最も高い産業はサービス業の

  7.9点、次に金融・保険業の7.0点となった。逆に均等指数が低い産業は鉱業、運

  輸・通信業、建設業等であった(参考図)。



  

−「平成13年度女性雇用管理基本調査」結果概要−

〔 付属統計表 〕



○ 統計表利用上の注意



 1 該当する事項が0の場合「−」で表示した。



 2 「0.0」の欄は集計した数値が表章単位に満たないものである。

  付表1)一般労働者の1事業所当たり平均年齢及び平均勤続年数



(付表2)一般労働者の平均年齢の男女差別事業所割合及び

    1事業所あたり平均男女差

  付表3)一般労働者の平均勤続年数の男女差別事業所割合及び

    1事業所あたり平均男女差



(付表4)男女別深夜労働に従事する労働者割合

  付表5)セクシュアルハラスメントに関する相談・苦情の有無及び

    対応内容別事業所割合(M.A.)



(付表6)女性一般労働者の妊娠・出産による退職時期別退職者割合

  付表7)女性一般労働者の妊娠・出産、産前産後休業に伴う

    配置転換の方針別事業所

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