I 働く女性の状況 2 労働市場の状況 平成12年の女性の入職者数(一般及びパートタイム労働者計)は304万900人 (前年差17万1,000人増)、離職者数は328万7,500人(同19万6,600人増)であっ た。 これを就業形態別にみると、一般労働者は、入職者数156万9,100人(前年比 10.7%増)、離職者数183万4,800人(同5.4%増)と、前年に比べ入職者数、離 職者数とも増加した。他方、パートタイム労働者でも入職者数147万1,800人(前 年比1.3%増)、離職者数145万2,600人(同7.5%増)と、前年に比べ入職者数、 離職者数とも増加した。前年においては、パートタイム労働者への入職者数が初 めて一般労働者への入職者数を上回ったが、再び一般労働者への入職者数がパー トタイム労働者への入職者数を上回る結果となった。 3 学卒労働市場の状況 今春の高校及び大学卒業予定者の就職内定状況をみると、高校新卒者では、13 年11月末現在、前年同期比で5.5%ポイント減の63.4%(男性:6.1%ポイント減 の68.4%、女性:4.8%ポイント減の58.1%)となっており、過去最低であった 一昨年を大幅に下回る厳しい状況となっている。 文部科学省「学校基本調査」により、高校卒業後の進路別割合をみると、「進 学や正規に就職をしていない、いわゆる無業者*1」が増加しつつあり、女性では 高校卒業者の1割以上を占めるようになってきている(第1−9図)。 大卒者においても卒業後の進路は、無業者*2の割合が、近年増加しており、平 成13年には若干低下したものの、卒業者全体の2割強を占めている。さらに、一 時的な仕事に就いた者を含めると女性では3割近くになり、男性では2.5割を超 えるなど、大卒者においても求人倍率が下がる中、こうした安定した職に就けな かった者の割合が増加している(第1−10図)。 学校卒業後の就業形態をみると、高卒者に該当する19歳以下の入職者(学卒未 就業者)の就業形態は、一般労働者とパートタイム労働者の構成比からみると、 特に女性でパートタイム労働者の割合が大きく増加しており、平成12年には43.8 %にまでなっている(第1−11図)。 学校卒業後の就職状況が厳しい中、学校卒業後、就職せずに求職活動を行って いる者(学卒未就職による失業者)の数は増加している。さらに、15〜24歳の失 業者に占める学卒失業者の割合も2割強と高まっており、若年層の失業の大きな 要因となっている(第1−12図)。 *1 一時的な仕事に就いた者を含む。 *2 一時的な仕事に就いた者は含まれない。家事手伝い、研究生として学校 に残っている者、専門学校等へ入学した者を含む。 4 労働条件等の状況 平成12年6月のパートタイム労働者を除く女性一般労働者のきまって支給する 現金給与額は、23万5,100円(前年比1.9%増)、うち所定内給与額は22万600円 (同1.4%増)であり、ともに前年より増加した。 男性一般労働者のきまって支給する現金給与額は、37万300円(前年比0.8増)、 うち所定内給与額は33万6,800円(同1.4%増)であり、ともに前年より増加した (第1−3表)。 男女間の賃金格差(男性=100.0として算出)は、きまって支給する現金給与 額でも所定内給与額でも引き続き緩やかな改善傾向が続いており、平成12年には、 所定内給与額で65.5となっている(第1−13図)。 第1−3表 一般労働者の賃金実態
平均年齢 (歳) |
平均勤続 年数 (年) |
きまって支給する 現金給与額 (千円) |
所定内給与額 (千円) |
年間賞与その他の 特別給与額 (千円) |
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総数 | 39.8 | 12.0 | 330.0 | 302.2 | 1017.7 |
女性 | 37.6 | 8.8 | 235.1 | 220.6 | 677.0 |
男性 | 40.8 | 13.3 | 370.3 | 336.8 | 1162.4 |
資料出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(平成12年) 平成12年の常用労働者(事業所規模5人以上)の1人平均月間総実労働時間及 び所定内、所定外労働時間についてみると、女性の常用労働者1人平均月間総実 労働時間は136.4時間(前年差0.5時間増)、うち所定内労働時間は131.5時間 (同0.3時間増)、所定外労働時間は4.9時間(同0.2時間増)となった。 5 パートタイム労働者の状況 平成13年における女性の短時間雇用者(非農林業で週間就業時間が35時間未満 の雇用者)は829万人、前年比75万人増となった。女性の非農林業雇用者2,112万 人(休業者を除く)に占める短時間雇用者の割合は39.3%(前年比3.2%ポイン ト上昇)となった(第1−14図)。 女性パートタイム労働者の賃金をみると、1時間当たりの所定内給与額は889 円で、前年に比べ2円とわずかな増加(対前年比0.1%増)にとどまった。 なお、女性パートタイム労働者と女性一般労働者との賃金格差についてみると、 平成12年は、一般労働者の所定内給与額を時給換算したものを100.0とした場合、 パートタイム労働者は66.9となった(第1−15図)。 厚生労働省「パートタイム労働研究会中間とりまとめ」では、格差拡大の一因 として、「職種構成の変化」をあげている。職種別にみると、パートタイム労働 者は賃金水準の低い職種でそのウェイトを増しており、これが全体の賃金格差拡 大に影響していると考えられる。そこで、パートタイム労働者の職種構成を正社 員にそろえ、同じ職種における女性パートタイム労働者と正社員との賃金格差を 推計すると、格差は正社員の約8割の水準となり、職種構成の違いを加味しない 場合に比べて10%以上縮小する(第1−16図)。