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平成9年外国人雇用状況報告結果


1.報告を行った事業所及び外国人労働者の概要

(1)総数(表1)
 今回の結果は、平成9年6月1日現在で、外国人労働者を直接に雇用している(以下「直接雇用」という。)か、又は外国人労働者が請負などにより事業所内で就労している(以下「間接雇用」という。)事業所からの報告書を集計した結果であり、報告をした事業所は全体で17,859所、外国人労働者の延べ人数(直接雇用と間接雇用の合計。以下同じ。)は 185,214人であった。前回の報告結果(全事業所数15,757所、外国人労働者の延べ人数 154,783人)と比べると、事業所数は2,102所(13.3%)、外国人労働者数は30,431人(19.7%)増加した。

(2)直接雇用表2表3表11表13
 直接雇用の事業所は15,702所、直接雇用の外国人労働者数は113,961人と、いずれも過去最高となった。前回の報告結果(事業所数14,053所、外国人労働者数103,044人)と比べると、事業所数は1,649所(11.7%)、外国人労働者数は10,917人(10.6%)増加した。

1)産業分類別
 産業分類別にみると、事業所数、外国人労働者数ともに「製造業」が最も多く8,136所(51.8%)、71,151人(62.4%)、次いで「サービス業」が3,752所(23.9%)、24,499人(21.5%)、「卸売・小売業、飲食店」が2,018所(12.9%)、8,615人(7.6%)であり、これら上位3分類で全体の約9割を占めている(図1)。このうち「製造業」では、「輸送用機械器具製造業」(993所 (12.2%) 、20,572人(28.9%) )「電気機械器具製造業」(1,253所(15.4%)、12,427人(17.5%))「食料品、飲料等製造業」(883所(10.9%) 、9,268人(13.0%) )などの事業所からの報告が多く、「サービス業」では「教育」(767所 (20.4%) 、8,690人 (35.5%) )の事業所からの報告が最も多い。
 前回と比べると、事業所数、外国人労働者数ともに、「漁業」を除くすべての産業で増加し、「製造業」(事業所数818所増、11.2%増、外国人労働者数6,277人増、9.7%増)、「サービス業」(事業所数515所増、15.9%増、2,388人増、10.8%増)の増加数が大きい。
 また、過去5年間の推移をみると、「製造業」についてはここ最近の伸び率が大きく、「サービス業」については堅調に伸びてきている(図2)。

2)事業所規模別
 事業所規模別にみると、「100人〜299人」規模が4,738所(30.2%) 、39,190人(34.4%)、「50人〜99人」規模が 3,934所(25.1%)、20,209人(17.7%) で、これらの規模で全体の過半数を占めている(図3)。
 前回と比べると、事業所数は「1人〜4人」規模で横這い、外国人労働者数は「1人〜4人」(53人減、21.0%減)及び「1,000人以上」(532人減、4.4%減)規模で減少したが、これら以外の規模ではいずれも事業所数、外国人労働者数ともに増加している。事業所数は「50人〜499人」規模(449所増、12.9%増)の増加数が最も大きく、外国人労働者数は「300人〜499人」規模(4,910人増、41.9%増)の増加数が最も大きい。
 また、過去5年間の推移をみると、外国人労働者数は、「30人〜99人」規模で増加し続けている(図4)。

3)1事業所当たり外国人労働者数
 外国人労働者数を事業所数で除した1事業所当たりの外国人労働者数は7.3人であり、前回と同様であった。

(3)間接雇用(表4表11表12
 間接雇用については3,529事業所 (これには直接雇用と間接雇用の双方の形態を有する事業所と間接雇用のみの事業所が含まれる。) から報告を受け、間接雇用の外国人労働者数は71,253人であった。前回(事業所数2,918所、外国人労働者数51,739人) と比べると、事業所数は611所(20.9%)、外国人労働者数は19,514人(37.7%)増加した。
 間接雇用に係る報告を設けた平成6年からの推移をみると、事業所数、外国人労働者数のいずれも増加率は過去最高であった。また、いずれの年も間接雇用に係る増加率が直接雇用に係る増加率を上回っているが、本年の直接・間接雇用間の増加率の差は過去最高であった。その結果、直接・間接雇用の構成比をみると、間接雇用の比率が毎年大きくなってきており、本年は外国人労働者数の直接・間接雇用の構成比が6:4となった(図5)。

1)産業分類別
 産業分類別にみると、事業所数では「製造業」2,797所(79.3%)、「サービス業」381所(10.8%)の順で、外国人労働者数では「製造業」64,350人(90.3 %)、「運輸・通信業」2,825人(4.0%)の順で多く、いずれも上位2産業で全体の9割以上を占める(図6)。

2)事業所規模別
 事業所規模別にみると、事業所数では「100人〜299人」及び「50人〜99人」規模の事業所が中心で、合わせて2,138所(60.6%) である(図7)。外国人労働者数では「100人〜299人」規模(25,044人、35.1%)が中心であるが、これ以上の規模で雇用される外国人労働者数もあわせて10,000人を超えている。
 前回と比べると、事業所数、外国人労働者ともにすべての規模において増加しており、中でも「100人〜299人」(事業所数178所増、17.0増、外国人労働者数11,001人増、78.3%増)規模の増加数が最も大きい。

3)1事業所当たりの外国人労働者数
 外国人労働者数を事業所数で除した1事業所当たりの外国人労働者数は、20.2人と前回(17.7人) と比べて増加した。


2.直接雇用の外国人労働者の属性表5表14

(1)男女別
 男女別には、男性73,586人(64.6%)、女性40,375人(35.4%)となっている。男女別構成比は前回(男性67,114人、65.1%、女性35,930人、34.9%)と比べ、わずかに女性の比率が上昇した。

(2)職種別
 職種別にみると「生産工程作業員」が71,747人(63.0%)と最も多く、次いで「専門・技術・管理職」が20,684人(18.2%)、「販売・調理・給仕・接客員」が6,421人(5.6%) となっている(図8)。
 前回と比べ、「生産工程作業員」(8,032人増、12.6%増)、「専門・技術・管理職」(1,257人増、6.5%増) などが増加している一方で、「運搬労務作業員」(274人減、 15.6%減) などが減少している。

(3)出身地域別
 出身地域別にみると、「中南米」が65,264人(57.3%)と最も多く、次いで「東アジア」が23,824人(20.9%)、「東南アジア」が8,934人(7.8%)の順となっている(図9)。このうち「中南米」については、ブラジル、ペルー出身の日系人が数多く含まれているものと考えられる。
 前回と比べ、全体的に増加傾向にあり、増加数は「東アジア」(4,586人増、23.8%増)、「中南米」(3,606人増、5.8%増)の順に多いが、増加率は「東南アジア」(2,206人増、32.8%増)が最も高い。また、過去5年間の推移をみると、「東アジア」地域は前年を常に上回っている(図10)。

(4)活動別
 活動別にみると、「一般労働者」が103,414人(90.7%)と約9割を占めている。これ以外では「留学生・就学生(アルバイト)」(6,962人、6.1%)が多く、残りは「技能実習生」、「ワーキングホリデー」による就労者である。
 前回と比べ、「一般労働者」は9,037人増(9.6%増)であり、全外国人労働者に占める割合は微減した(前回91.7%)。
 また、「一般労働者」のうち「日系人」は62,624人で、「一般労働者」の60.6%を占めている。前回と比べ、「日系人」は2,461人(4.1%)の増加であり、「一般労働者」の増加率よりも小さかった。


3.直接雇用の事業所の産業分類別、事業所規模別特徴

(1)産業分類別特徴(表6
 産業分類別にみると、「製造業」では、職種別には「生産工程作業員」が約9割(88.3%)を占め、また、出身地域別には約7割が「中南米」の出身者(74.6%)である(図11)。
 「サービス業」では、「専門・技術・管理職」が約5割(48.2%)を占めており、他産業に比べて高い(産業計18.2%)。また、「東アジア」(28.4%)、「北米」(24.5%)、「ヨーロッパ」(9.8%)の割合が産業計(「東アジア」20.9%、「北米」7.1%、「ヨーロッパ」3.6%)に比べ高いのに対し、「中南米」(産業計57.3%に対し26.2%)の割合がかなり低くなっている。
 「卸売・小売業、飲食店」では、「販売・調理・給仕・接客員」(産業計5.6%に対し47.0%)が他産業に比べ著しく高い。また、「東アジア」(産業計20.9%に対し57.4%)、「東南アジア」(産業計7.8%に対し16.8%)の割合がそれぞれかなり高いのに対し、「中南米」(産業計57.3%に対し8.6%)の割合がかなり低くなっている。さらに、活動別にみると「留学生・就学生(アルバイト)」(32.2%)が産業計(6.1%)に比べ高くなっている。

(2)事業所規模別特徴表7
 事業所規模別にみると、「29人以下」では、職種別には「建設土木作業員」(規模計1.1%に対し6.3%) の割合が他の規模と比べて高い。また、出身地域別には「東アジア」(規模計20.9%に対し26.3%)、「東南アジア」(規模計7.8%に対し15.6%)の割合が他の規模に比べて高くなっている。
 「30人〜99人」では、「生産工程作業員」(規模計63.0%に対し67.7%)の割合がやや高い。
 「100人〜299人」では、「中南米」(規模計57.3%に対し62.5%)の割合が他の規模に比べて高い。
 「300人以上」では、「専門・技術・管理職」(規模計18.2%に対し23.8%)の割合が高く、また、「北米」(規模計7.1%に対し10.0%)などの割合がやや高い(図12図13)。


4.地域別の直接雇用の事業所数、外国人労働者数及びその特徴

(1)都道府県別特徴表8
 都道府県別にみると、事業所数は、東京都 (3,842所)、大阪府 (1,260所)、愛知県 (1,200所)、神奈川県(1,029所)、静岡県(930所)の順で、外国人労働者数は、東京都 (20,247人)、愛知県 (17,909人)、静岡県(11,068人)、神奈川県(7,524人)、長野県(5,907人)の順で多い。また、いずれも上位の5都府県で全体の5割強を占めている。
 事業所数は、前回と比べて、東京都で449所(13.2%)、大阪府で182所(16.9%)増加したほか、一部を除いたほとんどの都府県において増加した。外国人労働者数は、愛知県、東京都、岐阜県、神奈川県で1,000人以上増加した一方、静岡県、千葉県では400人程度減少した。
 日系人労働者数については、愛知県14,370人、次いで静岡県9,331人、長野県4,924人、岐阜県4,842人、神奈川県3,758人の順で多く、5県で37,225人と全国の日系人労働者数の59.4%を占めている。

(2)ブロック別特徴表9
 外国人労働者の多いブロックについてみると、「東海」、「北関東・甲信越」では、職種別には「生産工程作業員」(全国計63.0%に対し「東海」は86.2%、「北関東・甲信越」は85.7%)の割合が高く、それぞれの8割以上を占めている。また、出身地域別には「中南米」(全国計57.3%に対し「東海」は85.5%、「北関東・甲信越」は77.2%)の割合が高く、それぞれの8割前後を占めており、日系人の割合の高さを物語っている。
 これに対し、「南関東」では、全国計に比べ、職種別には「専門・技術・管理職」(全国計18.2%に対し33.1%)、「営業・事務職」(全国計4.4%に対し8.6%)の割合が高く、また、出身地域別には「東アジア」(全国計20.9%に対し34.0%)などアジア地域の割合が高くなっている(図14図15)。


5.直接雇用の外国人労働者の入職、離職者数表10

 過去1年間の入離職の状況をみると、全体では入職者(67,218人) が離職者(49,949 人) を上回っており、入職率(雇用される外国人労働者数に対する過去1年間における雇入れ数の割合) は前回の53.6%から今回は59.0%に上昇し、離職率(雇用される外国人労働者数に対する過去1年間における離職者数の割合) は44.2%から43.8%に低下し、入職超過率(雇用される外国人労働者数に対する過去1年間における雇入れ数から離職者数を引いた数の割合) は9.4%から15.2%に上昇した。
 産業分類別にみると、「漁業」を除くすべての産業において入職超過であり、「製造業」(11,388人入職超過、入職超過率16.0%)の入職者が多い。
 事業所規模別にみると、前回と同様すべての規模で入職超過であり、「100人〜299人」(4,773人入職超過、入職超過率12.2%)規模で入職超過人数が最も多くなっている。



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