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II 仕事と子育ての両立



  男女労働者が職業生活と家庭生活を両立できるための環境をつくることは、労働

 者が持っている能力を十分発揮し、生涯を通じて充実した生活を送るために社会で

 取り組むべき大きな課題である。しかしながら、女性の年齢階級別労働力率をみる

 と、結婚、出産・子育て期に労働力が低下するいわゆるM字型カーブは依然として

 残っている。



  少子・高齢化が進行する中で、仕事と子育ての両立の負担感を軽減し女性の就業

 意欲を十分生かすことは、経済社会の活力を維持する上でも重要である。

  こうした問題意識のもと、第一に女性の結婚、出産、就業状況を把握し、第二に

 仕事と子育ての両立や子育てに対しどのような負担感があるのか、子育てのパート

 ナーである男性の就業時間や子育ての分担の状況について、子育ての最も重要な時

 期である30歳代に焦点をあてながら把握した。第三に職場や地域における両立支援

 の状況を把握し、最後に、男女労働者がともに職業生活と子育て等の家庭生活をバ

 ランスよく両立することができるよう、また、働く意欲を持った女性がその能力を

 十分に発揮できるよう、取り組むべき課題について検討した。





  

 1 結婚・出産と関わりの深い年齢層の変化



   昭和50年から現在にかけて、M字型カーブを特徴づける25〜39歳層の女性の結

  婚、出産、就業の変化をみると、まず、25〜29歳層では、未婚化が進んだことや

  子どものいない既婚者世帯が増えたことから労働力率は大きく上昇した。30〜34

  歳層では、労働力率は、近年、特に上昇してきているものの、昭和50年から現在

  までM字型カーブのボトムとなっている。非労働力となっている者で就業を希望

  している者の割合は最も大きい。35〜39歳層では、既婚層が再び労働市場に参入

  し始めているものの、就業を希望している者の割合も大きい。また、子育てとの

  両立が容易になるよう短時間就業者となる場合が多い(第2−1図第2−2図)。

   また、非労働力人口のうち就業を希望するものを労働力人口に加えて、潜在的

  な労働力率として年齢階級別にみると、M字型カーブはほとんどなくなり先進諸

  国と同じような台形型に近づく。特徴的なM字型カーブを形成する25〜39歳の女

  性においても働きたいと希望している者は多い(第2−3図)。



  

 2 女性の就業パターンと小さい子どもを持つ女性の就業状況



  (1) 出産による就業の継続状況



     出産による就業への影響をみると、既婚女性で第1子出産前に仕事に就い

    ていた者は56.1%となっており、そのうち出産で仕事をやめた者は72.8%と

    なっている。第1子出産前に仕事に就いていた者の勤め先別に出産後の継続

    就業率をみると、官公庁では高いが従業員規模が大きくなるほど低くなって

    いる。また、自営・家族従業者が高いのに比べ雇用者では低く、なかでも事

    務職は最も低い。さらに、親との同居は継続就業率を高めている。

    (第2−4図)



  (2) 再就職の現状



     女性の働き方として理想・現実ともに多い再就職の状況を把握した。労働

    力率のM字型カーブのボトムから、再び上昇し始める35〜44歳を再就職層と

    みなして、過去1年間働いていなかった者が、入職時にどういう就業形態で

    就職したのか、正社員とパートタイム労働者の入職割合をみると、平成12年

    ではパートタイム労働者が7割以上になっている。また、再就職女性を正社

    員として採用する企業はまだ少ない(第2−5図)。



  

  (3) 小さい子どもを持つ女性の就業状況



     末子が、0〜3歳の子どもをもつ妻の労働力率は低いが、非労働力人口のう

    ち就業を希望する者を加えた潜在的な労働力率は大きく、小さい子どもを持

    つ女性が働きたいと希望しているのに働いていない状況が把握された。

    (第2−6図

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