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(別添3)





裁量労働制の指針の在り方に関する研究会報告の概要

               (平成11年9月2日中央労働基準審議会に報告)





第1 指針の在り方



 ・ 企画業務型裁量労働制に関し、労働基準法(以下「法」という。)において労

  使委員会が決議することとされている事項の具体的内容(第2の2)に加え、対

  象事業場(事業運営上の重要な決定が行われる事業場)の具体的範囲(第2の1

  )や、労使委員会の組織、運営等に関し留意すべきと考えられる事項(第2の3

  )についても規定することが適当。

 ・ 労使委員会の委員を始めその事業場の労使関係者が事業場の具体的実情を踏ま

  えて決議等をするに当たり、判断の途すじとその際に考慮すべき事項を示すこと

  が必要。



第2 指針に盛り込むべき内容

 1 対象事業場(事業運営上の重要な決定が行われる事業場)の範囲

  ・ 企業(法人)の事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場。

  ○ 本社である事業場は、これに該当。

  ○ このほか、企業(法人)の事業運営上の重要な決定を行う権限を分掌する事

   業本部や地域本社、地域を統轄する支社・支店等のように本社に準ずるものが

   該当。(その事業場にその属する企業(法人)の事業の運営に大きな影響を及

   ぼす決定を行う権限が与えられているか否かによって判断。その際、役員が常

   駐していることは、一つの判断材料。)

 2 労使委員会が決議する事項及びその内容

 (1)対象業務の範囲

   ・ 企業(法人)の事業の運営に影響を及ぼす事項(事業場の事業の実施に関

    する事項が直ちにこれに該当するものではない。)についてのものであるこ

    と。

   ○ 本社である事業場において策定されるその属する企業(法人)全体の営業

    方針等は、該当し得る。

   ○ 本社である事業場で顧客に対する営業も行っている場合の個々の営業担当

    者が担当する営業は、該当し得ない。

   ・ 企画、立案、調査及び分析の業務とは、「企画」「立案」「調査」「分析

    」という相互に関連し合う作業を組み合わせて行う業務であること。

   ○ ここでいう「業務」とは、部署が所掌する業務を指すものではなく、個々

    の労働者ごとに遂行を命じられた業務を指す。したがって、例えば「企画部

    」、「調査課」等において行われる業務の全部を指すものではない。

   ・ 遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があると、業務の性質に

    照らし客観的に判断されるものであること。

   ・ 相互に関連し合う作業をいつ、どのように行うか等についての広範な裁量

    が認められているものであること。

   ○ 日常的に使用者の具体的な指示の下に行われる業務や、日常的には具体的

    な指示は受けないがあらかじめ使用者が示す業務の遂行方法等についての詳

    細なマニュアルに即して遂行することを指示されている業務は、該当し得な

    い。

   ○ 使用者が業務の開始時にその業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指

    示することや、中途において経過の報告を受けつつ基本的事項について所要

    の変更の指示を与えることは可能。

   ◎ 対象業務となり得る業務及び対象業務となり得ない業務の具体例は別紙の

    とおり。

 (2)対象労働者の範囲

   ・ 対象業務に常態として従事していることが原則。(少なくとも従事する業

    務の相当部分を対象業務が占めていることが必要。)

   ・ 労使委員会は、対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労

    働者であると判断するために必要な職務経験年数、職能資格等の具体的判断

    基準を決議で明らかにすることが必要。

   ○ 例えば、4年制大学を卒業した労働者で全く職業経験がない場合には該当

    し得ず、少なくとも3〜5年の経験を経た上で対象業務を適切に遂行するた

    めの知識、経験等を有すると判断されるに至って該当し得る。

 (3)みなし労働時間

   ・ 労使委員会において対象業務の内容を十分検討し、適切な水準で決議され

    ることが必要。

 (4)使用者が講ずる対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置

   ・ 使用者は、決議で定めるところにより、対象労働者の労働時間の状況等の

    勤務状況を把握し、これに応じて対象労働者の健康及び福祉を確保するため

    の措置を講ずることが必要。

   ◎ 措置の具体例は別紙のとおり。

 (5)使用者が講ずる対象労働者からの苦情の処理に関する措置

   ・ 申出の窓口、担当者、取り扱う苦情の範囲、処理の手順・方法等を、決議

    で定めることが必要。

 (6)労働者本人の同意を得なければならないこと及び不同意の労働者に対する不

   利益取扱いの禁止

   ・ 使用者は、労働者本人の個別の同意を得るに当たり、企画業務型裁量労働

    制の制度の概要や、同意した場合に適用される評価制度・賃金制度、同意し

    なかった場合の配置・処遇を明示することが適当。

 (7)その他労使委員会が決議する事項

   イ 対象労働者に適用される評価制度等の開示

    ・ 使用者は、評価制度・賃金制度を変更しようとするときには、事前にそ

     の変更内容を労使委員会に説明することを決議に盛り込むことが適当。

   ロ 決議の見直し

    ・ 決議で定めた有効期間の中途であっても、委員の半数以上から労使委員

     会の開催及び決議の見直しの要求があった場合には、速やかに労使委員会

     を開催し検討を行うことを決議に盛り込むことが適当。

 3 労使委員会の組織、運営等

 (1)委員の指名

   ・ 労使は、指名する委員の中に、対象労働者等その事業場で企画業務型裁量

    労働制に関係する労使を含めることを検討することが望ましい。

 (2)労使委員会の議事等

   ・ 定足数、決議の方法等運営について必要な事項を運営規程で定めておくこ

    とが適当。

 (3)情報の開示

   ・ 使用者は、対象業務の具体的内容、対象労働者に適用される評価制度・賃

    金制度の内容、2(4)(5)の措置の実施状況等の企画業務型裁量労働制の運用

    状況、行政官庁に対する報告の内容等を、労使委員会に開示することが適当。

 (4)労働組合との関係等

   ・ 労働組合等と協議の上、調査審議事項の範囲、労使協定に代えて決議をし

    得ることとする範囲を、労使委員会の運営規程で定めておくことが適当。



第3 改正法附則に基づく見直しの必要性等

 ・ 施行後3年を経過した場合の見直し規定(改正法附則)を踏まえ、指針の遵守

  状況も含め制度の施行状況を把握し、制度の見直しの必要性について検討するこ

  とが適当。




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