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調査結果内容
1 豊能郡美化センター関係労働者追跡調査
(1) 調査対象者
豊能郡美化センター関係労働者のうち、焼却炉関連設備内作業の支援は行うが
焼却炉関連設備内には立ち入らない者(13名)及び焼却炉関連設備内に立ち入っ
て作業に従事する者(15名)のうち本人が希望した者(24名)を調査対象者とし
た。これは、平成10年度の調査でこれらの群の労働者の血液中ダイオキシン類濃
度が高かったためである。(ただし、採血が不能である等により、調査結果が得
られた者は、21名であった。)
なお、焼却炉関連設備とは、焼却炉、電気集じん機、湿式洗煙塔等をいう。
(2) 調査結果
ア 血液中ダイオキシン類濃度
調査対象者21名の血液中ダイオキシン類濃度は、別添1のとおりであり、最
大値は480.4pg-TEQ/g脂肪、最小値は、19.2pg-TEQ/g脂肪であった。
調査対象者21名の血液中ダイオキシン類濃度の平均値でみると、平成10年度
調査では265.0pg-TEQ/g脂肪、平成11年度調査では、246.0pg-TEQ/g脂肪であっ
たのに対し、平成12年度調査では、131.7pg-TEQ/g脂肪と平成10年度に比して
50.3%、平成11年度に比して46.5%減少した。
イ 生化学検査及び免疫機能検査
今回調査した範囲において、生化学検査及び免疫機能検査の検査項目のうち、
血液中ダイオキシン類濃度と明らかな関係が見られたものはなかった。
ウ 皮膚視診
調査対象者の皮膚視診の結果は、平成10年度、11年度調査の所見と比べ大き
な変化はなく、ダイオキシン類へのばく露によると疑われる所見は認められな
かった。なお、皮膚視診は全て、同一の医師により診察が行われた。
以上のことから、現時点でダイオキシン類の影響が疑われる疾病等は認められ
ず、また、平成12年度調査の血液中ダイオキシン類濃度については、平成10年、
11年度調査に比して大幅に減少したところであるが、本調査については、引き続
き継続して行い、総合的な評価を行うことが望ましい。
2 豊能郡美化センターの敷地内労働者に係る調査
(1) 調査対象者
平成11年から平成12年にかけて行われた豊能郡美化センターの敷地内において、
土壌の運搬等の作業に従事していた労働者12名を調査対象者とした。
(2) 調査結果
ア 血液中ダイオキシン類濃度
調査対象者12名の血液中ダイオキシン類濃度は、別添2のとおりであり、最
大値は、80.2pg-TEQ/g脂肪、最小値は、12.5pg-TEQ/g脂肪であった。
また、調査対象者12名の血液中ダイオキシン類濃度の平均値は、
26.2pg-TEQ/g脂肪であり、これは、これまでに実施された一般住民の測定値と
ほぼ同じである。
イ 生化学検査及び免疫機能検査
今回調査した範囲において、生化学検査及び免疫機能検査の検査項目のうち、
血液中ダイオキシン類濃度と明らかな関係が見られたものはなかった。
ウ 皮膚視診
調査対象者の皮膚視診の結果は、ダイオキシン類へのばく露によると疑われ
る所見は認められなかった。
以上のことから、現時点でダイオキシン類の影響が疑われる疾病等は認められ
なかった。
3 全国8施設の労働者
(1) 調査対象者
以下の選定基準により選定した全国6の一般廃棄物焼却施設及び(社)全国産
業廃棄物協会連合会を通じて協力が得られた全国2の産業廃棄物焼却施設を調査
対象施設とし、8施設に従事している労働者合計145名を調査対象とした。
・豊能郡美化センターと同様の開放型冷水塔を有する施設(3施設)
・それ以外の炉の型の異なる施設(3施設)
(2) 調査結果
ア 血液中ダイオキシン類濃度
8施設の調査対象者145名の各施設ごとの血液中ダイオキシン類濃度は、別添3
のとおりであり、最大値は、132.9pg-TEQ/g脂肪、最小値は、6.7pg-TEQ/g脂肪
であった。
調査対象者145名の血液中ダイオキシン類濃度の平均値でみると
28.4pg-TEQ/g脂肪であった。これは、これまでに実施された一般住民の測定値
とほぼ同じである。
今回の結果で、血液中ダイオキシン類濃度がやや高かった者(100pg-TEQ/g
脂肪以上)は、6名おり、その6名の異性体濃度は、ポリ塩化ジベンゾフラン類
についてもやや高く、焼却施設内の作業によりばく露を受けている可能性があ
る。
なお、この程度の濃度では健康影響が生じるレベルにはないものであるが、
各人に対して、保護具の使用等の徹底を説明していくことが望ましい。
イ 生化学検査及び免疫機能検査
今回調査した範囲において、生化学検査及び免疫機能検査の検査項目のうち、
血液中ダイオキシン類濃度と明らかな関係が見られたものはなかった。
ウ 皮膚視診
調査対象者の皮膚視診の結果は、ダイオキシン類へのばく露によると疑われ
る所見は認められなかった。
以上のことから、現時点でダイオキシン類の影響が疑われる疾病等は認めら
れなかった。
(参考)
○ ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン類、ポリ塩化ジベンゾ
フラン類及びコプラナーPCBをいう。
○ 1pg(ピコグラム)とは、1グラムの1兆分の1の質量である。
○ TEQとは、ダイオキシン類の毒性を、最も毒性が強い2,3,7,8-TCDD(四塩化ジベ
ンゾ-パラ-ジオキシン)の毒性に換算してを表わしたものである。
○ 血液生化学検査については、以下の25項目について、検査した。
血液・生化学検査の測定項目
赤血球数(万/ul)、白血球数(/ul)、ヘモグロビン(g/dl)、
ヘマトクリット値(%)、血小板数(万/ul)、総蛋白(g/dl)、
アルブミン(g/dl)、総ビリルビン(mg/dl)、GOT(IU/l)、GPT(IU/l)、
乳酸脱水素酵素(IU/l)、アルカリフォスファターゼ(IU/l)、γ-GTP(IU/l)、
ロイシンアミノペプチダーゼ(IU/l)、クレアチンキナーゼ(IU/l)、
アミラーゼ(IU/l)、総コレステロール(mg/dl)、HDLコレステロール(mg/dl)、
中性脂肪(mg/dl)、血清鉄(μg/dl)、尿素窒素(mg/dl)、クレアチニン(mg/dl)、
尿酸(mg/dl)、血糖(mg/dl)、HbA1c(%)
○ 免疫機能検査については、リンパ球を分離し、PHAによるリンパ球幼若化検査、
CON-Aによるリンパ球幼若化検査、NK細胞活性検査、モノクローナル抗体によるリ
ンパ球表面マーカーの解析(CD3,CD4,CD8,CD19,CD56,CD4/CD8比)を実施した。
○ 皮膚視診については、労災病院の皮膚科医師により下記の点を中心に診察を実施
した。
・過去の事例からダイオキシンによる皮膚症状として予測されるざ瘡様皮疹
の有無
・対象者から訴えのあった皮膚症状
・露出部分にみられた皮膚症状
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