タイトル:平成10年版働く女性の実情 発 表:平成11年1月26日(火) 担 当:労働省女性局女性労働課 電 話 03-3593-1211(内線5638) 03-3502-6763(夜間直通)
労働省女性局では、毎年、働く女性に関する動きを取りまとめ、「働く女性の実 情」として紹介している。 今年は、「T 平成9年の働く女性の状況」で平成9年における働く女性の実態 とその特徴を明らかにするとともに、「U 女性のライフコースと再就業」では、 育児後再び自分の能力を生かして就業したいとする女性が増加しているにもかかわ らず、能力を活かせるような再就職機会が乏しい等問題も多いことから、働く意欲 を持つ女性達がその能力を発揮し、生き生きと働くことができる様々な働き方とそ の問題点を探った。 平成10年版働く女性の実情のポイント T 平成9年の働く女性の状況 (1)女性の労働力率は50.4%、労働力人口総数に占める女性の割合は40.7%で、 それぞれ6年ぶりに上昇、増加した。 また、M字カーブの底である30〜34歳層の女性の労働力率は56.2%で、前年 に比べ1.4%ポイント上昇した。 (2)女性の雇用者数は、2,127万人(雇用者総数に占める女性の割合は39.5%) で前年より43万人増加(前年比2.1%増)した。 また、有配偶者、死別・離別者の雇用者数がそれぞれ1,211万人(前年比2.5 %増)、200万人(同3.1%増)で、前年に比べ増加した。 (3)女性のパートタイム労働者は746万人で、前年より54万人(前年比7.8%増) 増加した。 U 女性労働者のライフコースと再就業 1 我が国の女性のライフパターン (1)30〜34歳の年代層において、働く意欲はあるものの就業を控えている女性が 特に多い。 (2)我が国の女性は「仕事と家庭の両立」を理想としつつも、両立は時間的、体 力的な負担が大きく困難であるため、育児が一段落した後、自己の就業希望を 実現すべく再び職業を持つことを希望する者が多い。 2 女性の再就職の実態と意識 (1)女性は30歳台後半から技能工、製造・建設作業者等にパートタイム労働者と して再就職する者が多い。 (2)高学歴や専門的職務に就いていた経験を持つ女性ほど再就職について専門的 ・基幹的職務志向が強い。 (3)現在は、中途採用の女性を「定型的な作業の職務」、「アシスタント的な職 務」、「最終責任を問わない職務」にしか活用していない企業が多い一方で、 将来に向けて専門的・基幹的職務の中で中途採用の女性を活用していこうとす る傾向も強くなっている。 3 女性の再就職を促進するために (1)子育てのために就業を中断し、その後再就業を希望する女性にとって、現状 はその意向に十分応えられる状況にはなっておらず、このことは、女性個々人 の生活満足度を下げており、社会的にも損失が生じていることになる。また、 少子化の要因ともなっている。 (2)人事労務管理制度における年功序列主義を見直す動きが見られる。効率的な 人材の確保の手段としては、中途採用者の拡大すなわち年齢や性別にこだわる ことなく、高い専門的能力を有した者を中途採用する形も拡がっていくと予測 される。 (3)中途採用が拡がっていくという変化の中で、企業には再就職型女性の積極的 な活用が我が国の経済活性化、少子化対策のうえでも強く求められていること の認識に立ち、能力開発、能力評価制度等の整備が求められる。 また、再就職しようとする女性に対しては、復帰に向けての知識、技術のキ ャッチアップあるいは労働市場において企業が求めている知識・技術は何か等、 需要の動向を把握するための不断の努力が求められる。 (4)サービス経済化、業務のOA化を背景に就業形態の多様化が進んでおり、従 来からの正社員やパートタイム労働等の働き方のほかに、専門職パート、在宅 就業、起業、ワーカーズ・コレクティブ、ボランティア的就業等の新しい働き 方が生まれてきている。 4 まとめ (1)再就職しようとする女性に対しては、労働市場において、どのような業種や 職種のニーズが高いのかについての情報を得られ易くすること、子育てしなが らそのような業種や職種に必要な能力開発ができる体制の整備が必要であろう。 また、雇用以外の働き方を選ぶ者や、起業や非営利的事業を志す者に対しても 開業準備や運営上のノウハウに関する情報提供等様々な支援が必要である。 (2)再就職女性を採用しようとする企業に対しては、必要な専門的知識・技能を 有した再就職希望者の情報提供を行うことや、育児等家庭責任を有する者の雇 用管理とりわけ時間管理のノウハウの普及、専門的・基幹的業務への再就職者 の採用、適正な処遇方法等に関する情報提供等が必要である。 (3)育児期だけ就業を中断し、その後再び働くというライフコースは、現状とし て、家事負担の重い我が国の女性にとって、選択されやすい一つのライフスタ イルである。継続就業型のライフコースを外れると、能力を発揮できる良好な 就業機会が少なくなってしまうという状況は改められるべきである。育児後の 再出発でも良好な就業機会を確保しやすくできるような就業環境を整備してい くことが重要である。
<概 要>
<参 考>