労働省発表
平成9年12月
    


女性局女性労働課
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平成9年版働く女性の実情



 労働省女性局では、毎年、働く女性に関する動きを取りまとめ、「働く女性の実情」として紹介している。
 今年は、「I 平成8年の働く女性の状況」で平成8年における働く女性の実態とその特徴を明らかにするとともに、「II 職業生活と家庭生活との両立のための課題」では、近年、少子・高齢化の加速及び核家族化等勤労者家族を取り巻く状況が変化していることから、少子・高齢化、核家族化の進展について実態を整理し、育児や家族介護を担う労働者やこのような労働者を雇用する企業の現状を踏まえつつ、今後の職業生活と家庭生活との両立のための施策の在り方について考察した。






平成9年版働く女性の実情のポイント

 I 平成8年の働く女性の状況

(1)  女性の労働力人口は前年より18万人増加した。M字カーブの底である30〜34歳層の労働力率が1.1%ポイント増と、上昇幅が比較的大きかった。

(2)  女性の完全失業率は、3.3%(男性3.4%)と、前年より0.1%ポイント上昇し過去最高の水準を示した。

(3)  女性の雇用者数は、2,084万人(雇用者総数に占める女性の割合は39.2%)で前年より36万人増加(前年比1.8%増)し、増加幅が6年ぶりに拡大した。

(4)  女性の大学卒業者の就職率は、64.9%(男性の大学卒業者の就職率 67.5%、0.9%ポイント増)となり前年に比べ、1.4%ポイント上昇し、6年ぶりに改善した。

(5)  女性のパートタイム労働者は692万人で、前年より60万人増加(前年比9.5%増)と大幅に増加した。




 II 職業生活と家庭生活との両立のための課題

 1 職業生活と家庭生活とをとりまく現状

(1)  平成8年の合計特殊出生率は史上最低水準の1.43であった。出生率低下の要因として、未婚率の上昇が考えられる。このため、高齢化の一層の加速も見込まれている。

(2)  三世代同居世帯が減少し、共働き世帯が増加している。また、家庭の機能も「子供中心」「子育て」から「夫婦中心」「心の安らぎ」へと変化してきている。



 2 職業生活と家庭生活との両立をめぐる労働者の実情

(1)  三世代同居の場合に、妻が就業している世帯の割合が高くなっている。

(2)  地域別に女性の年齢別労働力率をみると、北陸地域でM字型カーブが消失している。

(3)  性別役割分担意識は変化しつつあるが、実際の男性の家庭生活への関与は極めて少ない。

(4)  仕事と育児との両立で困っていることとしては「病気の時に預かってもらえない」「費用が高い」「時間の融通がきかない」などが多い。

(5)  家族の介護が必要となったときに、仕事の面で何らかの対応をしたのは女性に多く、年次有給休暇や介護休業制度の利用が多い。



 3 職業生活と家庭生活との両立をめぐる企業の実情

(1)  育児休業制度の規定がある事業所は60.8%である。育児休業取得者は、出産した女性の44.5%、妻が出産した男性の0.16%(ただし、妻が専業主婦である男性を含む。)であり、全体の約6割が6か月以上休業している。

(2)  介護休業制度がある事業所は23.4%である。介護休業取得者の男女比は女性81.3 %、男性18.7%であり、全体の7割強が3か月未満の休業となっている。

(3)  再雇用制度がある事業所は20.7%、家族看護休暇がある事業所は8.2%である。



 4 まとめ

 少子・高齢化、核家族化等が進む中で、育児や介護を行う労働者が職業生活と家庭生活とを両立しやすい環境をつくることが必要である。法制度は整備されてきているが、行政による支援施策を一層充実させる必要がある。各企業においても、育児・介護休業制度の規定の整備はもちろんのこと、転勤への配慮など労働者の家庭の事情に配慮した雇用管理制度の工夫や、仕事と家庭を両立しやすい職場の雰囲気づくりが求められている。男女がともに仕事も家庭も充実した生活を送れる社会づくりに、男性をはじめ社会全体で取り組むことは緊急の課題である。

(参考)主な用語の定義




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