タイトル:労働災害の度数率、強度率はやや上昇 − 平成12年労働災害動向調査結果速報(甲調査)− 発 表:平成13年5月23日(水) 担 当:厚生労働大臣官房統計情報部賃金福祉統計課 電 話 03-5253-1111(内線5254,5258) 03-3595-3147(夜間直通)
[I 調査の概要] 1 この調査は、主要産業における労働災害の発生状況を明らかにすることを目的 として、半期ごとに労働災害動向調査甲調査(事業所規模100人以上)及び年に 1回同乙調査(同10〜99人)を実施しているものである。この度、平成12年に実 施した甲調査の年間分をとりまとめた。 2 調査の対象は、日本標準産業分類による8大産業(注)に属する100人以上の常 用労働者を雇用する民・国・公営事業所(管理・事務部門のみの事業所を除く。) 及び労働者災害補償保険の概算保険料が160万円以上又は工事の請負金額が1億 9,000万円以上の工事現場(平成11年3月31日以前に保険関係が成立した総合工 事業については、労働者災害補償保険の概算保険料が100万円以上又は工事の請 負金額が1億2,000万円以上の工事現場。)のうち総合工事業に該当するもののう ちから一定の方法により抽出した約16,000事業所である。 (注)林業、鉱業、建設業(職別・設備工事業)、製造業、電気・ガス・熱供給・ 水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店(飲食店を除く。)及び サービス業(洗濯業、旅館、ゴルフ場、自動車整備業、機械修理業、 建物サービス業及び廃棄物処理業に限る)。 [II 結果の概要] 【骨子】 1 調査産業計(総合工事業を除く。)の度数率は1.82で前年と比べ上昇 (1)調査産業計(総合工事業を除く。)の平成12年の労働災害度数率(災害発生 の頻度を表す。)は1.82で、前年と比べ0.02ポイント上昇した(第1図, 第1表)。 (2)産業別にみると、度数率は運輸・通信業の4.69が最も高く、次いでサービ ス業の3.74、鉱業の2.76の順となっている(第2図,第1表)。 (3)前年との比較でみると、大きく上昇したのは、鉱業1.39ポイント、次いで 運輸・通信業0.15ポイントであり、前年より低下した産業はない(第1表)。 2 調査産業計(総合工事業を除く。)の強度率は0.18で前年と比べ上昇 (1)調査産業計(総合工事業を除く。)の強度率(災害の重さの程度を表す。) は0.18で、前年と比べ0.04ポイント上昇した(第1図,第1表)。 (2)産業別にみると、強度率は鉱業の1.77が最も高く、次いで運輸・通信業の 0.47、建設業(職別・設備工事業)の0.33、サービス業の0.22の順となって いる(第2図,第1表)。 (3)前年との比較でみると、大きく上昇したのは、鉱業1.35ポイント、次いで 運輸・通信業0.17ポイントである。一方、低下したのは、電気・ガス・熱供 給・水道業である(第1表)。 3 調査産業計(総合工事業を除く。)の死傷者1人平均労働損失日数は99.1 で前年と比べ上昇 (1)調査産業計(総合工事業を除く。)の死傷者1人平均労働損失日数(死傷 者1人当たりの強度を表す。)は99.1日となり、前年と比べ19.9日上昇した (第1図,第1表)。 (2)産業別にみると、死傷者1人平均労働損失日数は鉱業の638.8日が最も多く、 次いで建設業(職別・設備工事業)の432.0日、製造業の122.2日、運輸・通 信業の100.9日の順となっている(第1表)。 (3)前年との比較でみると、増加日数が多いのは、鉱業334.7日、次いで建設業 (職別・設備工事業)104.8日である。一方、減少したのは、電気・ガス・ 熱供給・水道業及びサービス業の2産業である(第1表)。 4 総合工事業の度数率は1.10、強度率は0.70、死傷者1人平均労働損失日数 635.0日 総合工事業の度数率は1.10、強度率は0.70となり、死傷者1人平均労働損失 日数は635.0日となった。前年と比べ度数率は0.34ポイントの減少、強度率は 0.40ポイントの上昇、死傷者1人平均労働損失日数は423.2日の上昇となった (第1表,第3図)。 【用語の説明】 ◎ ここでいう「労働災害」とは、労働者が業務遂行中に業務に起因して受けた負 傷又は疾病(休業1日以上及び身体の一部または機能を失うもの。ただし、疾病 はいわゆる災害性疾病に限り、食中毒、伝染病及び遅発性の疾病は除く。)及び 死亡をいう。なお、通勤災害による負傷、疾病及び死亡は除く。 ◎ 労働災害の状況は次の労働災害率(度数率及び強度率)並びに労働損失日数で 表す。 ・ 度数率」とは、100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、災害 発生の頻度を表す。
算出方法 | 労働災害による死傷者数 | × 1,000,000 |
延実労働時間数 |
(注)同一人が2回以上被災した場合には、死傷者数はその被災回数として 算出している。 ・ 強度率」とは、1,000延実労働時間当たりの労働損失日数で、災害の重さの程 度を表す。
算出方法 | 延労働損失日数 | × 1,000 |
延実労働時間数 |
・ 延労働損失日数」とは、労働災害による死傷者の延労働損失日数をいう。 労働損失日数は次の基準により算出する。 死亡……………………7,500日 永久全労働不能………別表の身体障害等級1〜3級の日数(7,500日) 永久一部労働不能……別表の身体障害等級4〜14級の日数(級に応じて 50〜5,500日) 一時労働不能…………暦日の休業日数に300/365を乗じた日数
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死亡…………………労働災害のため死亡したもの(即死のほか負傷が 原因で死亡したものを含む。)をいう。 永久全労働不能……労働基準法施行規則に規定された身体障害等級表 の第1級〜第3級に該当する障害を残すものをい う。 永久一部労働不能…身体の一部を完全にそう失したもの、又は、身体 の一部の機能を永久に不能にしたもの。 すなわち、身体障害等級表の第4級〜第14級に 該当する障害を残すものをいう。 一時労働不能………災害発生の翌日以降、少なくとも1日以上は負傷 のため労働できないが、ある期間を経過すると治 ゆし、身体障害等級表の第1級〜第14級に該当 する障害を残さないものをいう。 |
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別表 身体障害等級別労働損失日数表
身体障害 等級(級) |
1〜3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
労働損失 日数(日) |
7,500 | 5,500 | 4,000 | 3,000 | 2,200 | 1,500 | 1,000 | 600 | 400 | 200 | 100 | 50 |
〔利用上の注意〕 1) サービス業は、洗濯業、旅館、ゴルフ場、自動車整備業、機械修理業、建物サー ビス業及び廃棄物処理業の7業種をいう。 2) 産業分類は、原則として日本標準産業分類によるが、「E09総合工事業」につい ては、労災保険率適用事業細目番号を分類して使用している。又、「G3514火力発 電業」、「H392 鉄道車両修理工場」については、労働災害の特殊性を考慮して日 本標準産業分類の内容と は異なる独自の区分としている。 3) 統計表の符号の用法は次のとおりである。 「 0 」労働災害による死傷者数がないもの。 「 0.00」小数点第3位において四捨五入しても小数点第2位に満たないもの。 「 − 」該当事業所がないもの。 「 * 」事業所数が少ないため公表しないもの。 調査結果