タイトル:―平成9年若年者就業実態調査結果速報― 発 表:平成10年6月 担 当:労働大臣官房政策調査部 電 話 03-3593-1211(内線5237,5672) 03-3502-6728(夜間直通)
1 若年者の就業意識 ・職場生活に満足する者約5割、「生活重視型」は過半数 ・事業所は若年者の仕事ぶりに高い評価 2 若年者の転職動向 ・過去の転職経験、今後の転職希望とも約3割 ・主な離職理由は、「仕事が合わない」「健康上、家庭事情、結婚」「人間関係 がよくない」 ・事業所の主たる定着対策は、「適性による配置」「意思疎通の向上」「賃金・ 労働時間の改善」 T 調査の概要 1 この調査は、事業所における若年者の就業の実態、若年者の確保・定着の状 況及び若年者の就業状況、職業に対する考え方等を調査し、今後の若年者の雇 用対策の基礎資料とすることを目的として、平成9年10月に調査した。 2 調査対象事業所は、日本標準産業分類に基づく9大産業〔鉱業、建設業、製 造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、 金融・保険業、不動産業、サービス業(家事サービス業、教育、外国公務を除 く)〕に属する常用労働者5人以上を雇用する民営事業所のうちから無作為に 抽出した約12,000事業所(有効回答率79.5%)及び対象事業所に就業 している30歳未満の若年労働者約21,000人を対象に平成9年10月1 日現在の状況について調査を行った。 3 調査の方法は、職業安定機関を通じた統計調査員による実地自計方式である 。 U 調査結果の概要 骨 子 〔事業所調査〕 1 若年者の雇用状況 ―若年者の割合は27.4%― (1)全労働者に占める若年労働者(30歳未満の労働者、以下「若年者」という 。)の割合は27.4%となっている。このうち正社員は76.0%、パートタイマ ー6.1%、アルバイト15.5%、派遣労働者1.0%、その他1.3%となっている 。 (2)若年者の割合を企業規模別にみると、企業規模が大きいほど若年者の割合 が高い。 2 若年正社員の確保の状況 ―「確保できている」事業所は約8割― 若年正社員の確保状況をみると、「一応確保できている」(62.3%)、 「十分確保できている」(17.7%)を合わせて、若年正社員を『確保できて いる』とする事業所の割合は79.3%となっている。一方、「確保できてい ない」(17.3%)、「全く確保できていない」(3.1%)を合わせて、若年 正社員を『確保できていない』とする事業所の割合は20.4%となっている。 3 若年正社員の定着状況 ―6割弱の事業所で定着率は「ほぼ横ばい」― (1)若年正社員の定着率を3年前と比べると、「ほぼ横ばいである」とする事 業所の割合は56.9%となっている。「やや向上している」(20.1%)、「か なり向上している」(10.7%)を合わせて定着率が『向上している』とする 事業所の割合は30.8%、一方、『低下している』とする事業所の割合は12 .1%となっている。 (2)定着率を向上させるための対策として、事業所が最も重視した事項は「本 人の能力・適性に合った配置」(30.8%)、「職場での意志疎通の向上」( 19.5%)、「仕事の成果に見合った賃金」(16.4%)、「所定内労働時間の 短縮・休日の増加」(12.0%)等が高くなっている。 4 事業所側からみた若年者の就業意識 ―仕事ぶりに高い評価― (1)7割以上(72.6%)の事業所が、若年者は「職場での人間関係」を「重視 する」としている。 (2)95.9%の事業所が、若年者は「上司からの指示に従う」としている。 (3)「仕事に対する取り組み」は「積極的に取り組む」と「まずまず取り組む 」を合わせて、若年者は仕事に対し、前向きに『取り組む』としている事業 所の割合は約9割となっている。 (4)「転職指向」は「変わらない」とする事業所が約6割(59.7%)と多い。 一方、「強くなっている」とする事業所の割合(24.7%)が「弱くなって いる」とする事業所の割合(15.5%)を上回っている。 〔個人調査〕 1 若年者の現在の就業状況 ―職場生活に対して満足している者の割合は約 5割― (1)若年者の雇用形態の割合を年齢階級別にみると、15歳〜19歳はアルバイ ト(65.9%)の割合が高く、20〜24歳は正社員が73.7%、25〜29歳は正社員 が86.9%で、20歳以上では正社員の割合が高い。 (2)職種別にみると、男女とも「事務の仕事」(男24.5%、女52.4%)の割合 が最も高くなっている。特に女は男の2倍以上の割合となっている。 (3)今の会社での職場生活を総合的にみてどのように感じているかをみると、 「どちらかといえば満足」と「満足している」を合わせた『満足』が50.4% 、「どちらかといえば不満」と「不満である」を合わせた『不満』が16.3% 、「どちらともいえない」が33.3%となっている。 また、年齢階級が高くなるにつれ『満足』が低く,『不満』の割合が高い。 2 若年者の過去の就業状況 ―転職経験者は約3割― (1)学校卒業(中退)後、正社員または派遣労働者(以下「正社員等」という 。)としてすぐ就職した者の割合は83.8%、すぐ就職しなかった者の割合は 16.2%となっている。すぐ就職しなかった主な理由をみると男は「正社員等 として仕事につく気がなかった」(22.9%)、「就職口はあったが自分の希望 する条件に合わなかった」(22.6%)、女は「就職口がなかった」(25.1% )の割合が高い。 (2)学校卒業(中退)後、初めて正社員等として就職した会社(以下「初めて の会社」という。)について、就職時最も重視した事項は「仕事の内容・ 職種」とする者の割合が男女(男31.5%、女38.9%)とも最も高い。 (3)学校卒業(中退)後、正社員等として就職したことのある者で、転職経験 のある者は約3割(32.6%)で男は29.4%、女は36.5%と女の割合の方が高 くなっている。年齢が高まるにつれ転職経験者の割合は高くなっており、特 に女の25〜29歳では47.5%と高い。 (4)「初めての会社」に現在も勤めている者の割合は約7割となっている。「 初めての会社」を辞めた者で、今までに正社員等として勤めた会社の数は「 2社」とする者の割合が最も高い。 (5)「初めての会社」を離職した主な理由をみると、「仕事が自分に合わない 」とする者の割合が20.3%で最も高く、次いで「健康上の理由、家庭の事情 、結婚のため」(15.2%)、「人間関係がよくない」(13.0%)、「労働 時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(10.7%)となっている。 3 若年者の今後の職業生活 ―「専門家コース」希望は男より女の方が多い― (1)正社員について、今後の職業生活について望ましいと思う職業コースをみ ると、男は「1つの企業に長く勤め、だんだん管理的な地位になっていくコ ース」と「いくつかの企業を経験して、だんだん管理的な地位になっていく コース」を合わせた『管理者コース』は37.3%、「1つの企業に長く勤め、 ある仕事の専門家になるコース」と「いくつかの企業を経験して、ある仕事 の専門家になるコース」を合わせた『専門家コース』は37.9%と、ともに約 4割となっている。女は『管理者コース』(21.0%)と『専門家コース』(52. 8%)では、『専門家コース』を希望する者の割合が高い。 (2)正社員について定年前の転職希望の有無をみると、転職希望が「ある」と する者は約3割(32.1%)で男は26.1%、女は40.4%と女の方が転職希望が 高い。 4 若年者の仕事一般に対する考え ―若年者の過半数は『生活重視型』― (1)男は「仕事は生計維持のため必要」(38.5%)、女は「仕事は生活充実の ため必要」(38.0%)とする者の割合が最も高くなっている。 (2)生活と仕事を比べてどちらに重きをおいているかをみると、「生活重視」 と「どちらかといえば生活重視」を合わせた『生活重視型』は、男50.1%、 女57.3%でともに過半数を占めるが女の方が高く、「仕事重視」と「どちら かといえば仕事重視」を合わせた『仕事重視型』は男19.6%、女11.9%で男 の方が高い。 (注)この調査では、雇用形態を以下のように定義している。 正 社 員…雇用している労働者のうち、特に雇用期間を定めていない一般 の常用労働者。 パートタイマー…正社員より1週間の所定労働時間が短い常用労働者。 アルバイト…臨時的または、短期間雇用されている者で常用労働者でない者 (学生アルバイトなど)。 派遣労働者…労働者派遣法に基づく派遣元事業所から派遣されている者。 そ の 他…上記以外の者(嘱託、季節・出稼ぎ労働者など)。 V 調査結果 事業所調査 個人調査