タイトル:労働経済動向調査(平成10年2月)結果



発  表:平成10年2月

担  当:労働大臣官房政策調査部

            電 話 03-3593-1211(内線5671)

                03-3502-6729(夜間直通)






T 調査の概要

  この調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間などの現状と今後の短

 期的見通しなどを把握するため、全国の建設業、製造業、運輸・通信業、卸売・小売

 業,飲食店及びサービス業に属する常用労働者30人以上を雇用する民営事業所5,

 358事業所を対象として、年4回実施(通信調査方式)しているもので、平成10年

 2月1日現在の調査結果である。(回答事業所数2,931、回答率55%)

  今回は、平成10年新規学卒者の採用予定状況について特別に調査を行った。



(注)1 平成6年2月の調査から、調査対象を従来の製造業、卸売・小売業,飲食店

    及びサービス業の3産業に建設業及び運輸・通信業を追加し5産業とした。

   2 「生産・売上判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」、「雇用判

    断D.I.」とは、増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の

    割合を差し引いた値(センサス局法X−11による季節調整値)。

   3 「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰

    と回答した事業所の割合を差し引いた値。



U 調査結果




 【骨 子】



 1 生産・売上  

   生産・売上判断D.I.(平成9年10〜12月期実績)は、製造業マイナ

  ス12ポイント、卸売・小売業,飲食店マイナス12ポイント、サービス業プ

  ラス3ポイントとなり、サービス業は前期に引き続きプラスとなったが、2産

  業はマイナス幅が拡大した。また、10年1〜3月期実績見込、10年4〜6

  月期見込は3産業ともマイナスとなっている(第1図第1表)。



 2 所定外労働時間  

   所定外労働時間判断D.I.(9年10〜12月期実績)は、製造業マイナ

  ス6ポイント、卸売・小売業,飲食店マイナス8ポイント、サービス業マイナ

  ス5ポイントと3産業ともマイナスとなった。また、10年1〜3月期実績見

  込、10年4〜6月期見込は3産業ともマイナスとなっている(第2図、

  第1表)。



 3 雇 用  

   常用雇用判断D.I.(9年10〜12月期実績)は、製造業マイナス9ポ

  イント、卸売・小売業,飲食店マイナス15ポイント、サービス業マイナス7

  ポイントとなり、前期に引き続き3産業ともマイナスとなった。また、10年

  1〜3月期実績見込、10年4〜6月期見込は3産業ともマイナスとなってい

  る(第3図第1表)。



 4 労働者の過不足状況  

   2月現在の常用労働者過不足判断D.I.は、調査産業計プラス5ポイント、

  建設業マイナス5ポイント、製造業プラス1ポイント、運輸・通信業プラス2

  2ポイント、卸売・小売業,飲食店プラス5ポイント、サービス業プラス16

  ポイントとなり、建設業以外の他の産業で雇用不足感が過剰感を上回り引き続

  きプラスとなったが、前期と比べると、調査産業計では5ポイント低下し、雇

  用の不足感が弱まっている(第6図第2−1表)。

   職種別にみると、「管理」及び「事務」において、それぞれマイナスとなっ

  ているのに対して、他の職種ではプラスとなっている(第8図第2−2表)。

   製造業を規模別にみると、前期と比べると、すべての規模で低下した

  (第7図)。



 5 雇用調整  

   雇用調整を実施した事業所割合(9年10〜12月期実績)は、調査産業計

  21%、建設業25%、製造業24%、運輸・通信業18%、卸売・小売業,

  飲食店15%、サービス業17%となった。前期と比べると、調査産業計で2

  ポイント上昇となり、産業別には卸売・小売業,飲食店で横ばい、サービス業

  で1ポイント上昇、製造業で2ポイント上昇、運輸・通信業で3ポイント上昇、

  建設業で7ポイント上昇となった。

   製造業を規模別にみると、300〜999人事業所で横ばいのほかは、すべ

  ての規模で上昇した。

   10年1〜3月期の実施予定事業所割合は、調査産業計で23%、10年4

  〜6月期には22%となっている。

   雇用調整の実施方法は、調査産業計では、「残業規制」の割合が最も高く、

  次いで「配置転換」の割合が高くなっている(第9図第10図第11図、

  第4表)。



 6 平成10年新規学卒者の採用予定状況  

   平成10年新規学卒者の「採用予定あり」の事業所割合を前年同期と比べる

  と、調査産業計においては、「高校卒」及び「大学卒」で低下し、他の学歴で

  横ばいとなった。産業別には、製造業を除く他の産業の各学歴で低下しており、

  なかでも建設業は各学歴で前年を大きく下回っている(第6−1表)。






 1 生産・売上、所定外労働時間、雇用



 (1) 生産・売上

    イ 製造業の生産判断D.I.は、9年10〜12月期実績マイナス12ポイ

     ントとマイナス幅が拡大した。先行きは、10年1〜3月期実績見込マイナ

     ス12ポイント、10年4〜6月期見込マイナス8ポイントとなっている

     (第1図第1表)。

    ロ 卸売・小売業,飲食店の売上判断D.I.は、9年10〜12月期実績マ

     イナス12ポイントとマイナス幅が拡大した。先行きは、10年1〜3月期

     実績見込マイナス1ポイント、10年4〜6月期見込マイナス8ポイントと

     なっている(第1図第1表)。

    ハ サービス業の売上判断D.I.は、9年10〜12月期実績プラス3ポイ

     ントと前期に引き続きプラスとなった。先行きは、10年1〜3月期実績見

     込マイナス4ポイント、10年4〜6月期見込マイナス4ポイントとなって

     いる(第1図第1表)。

    ニ 製造業業種別には、9年10〜12月期実績は消費関連業種でマイナス1

     1ポイント、素材関連業種でマイナス17ポイント、機械関連業種でマイナ

     ス7ポイントとなった。先行きは、消費関連業種で10年1〜3月期実績見

     込マイナス3ポイント、10年4〜6月期見込マイナス4ポイント、素材関

     連業種で10年1〜3月期実績見込マイナス17ポイント、10年4〜6月

     期見込マイナス9ポイント、機械関連業種で10年1〜3月期実績見込マイ

     ナス12ポイント、10年4〜6月期見込マイナス11ポイントとなってい

     る(第1表)。



 (2) 所定外労働時間

    イ 製造業の所定外労働時間判断D.I.は、9年10〜12月期実績マイナ

     ス6ポイントとマイナスに転じた。先行きは、10年1〜3月期実績見込マ

     イナス14ポイント、10年4〜6月期見込マイナス12ポイントとなって

     いる(第2図第1表)。

    ロ 卸売・小売業,飲食店の所定外労働時間判断D.I.は、9年10〜12

     月期実績マイナス8ポイントとなった。先行きは、10年1〜3月期実績見

     込マイナス5ポイント、10年4〜6月期見込マイナス1ポイントとなって

     いる(第2図第1表)。

    ハ サービス業の所定外労働時間判断D.I.は、9年10〜12月期実績マ

     イナス5ポイントとマイナスに転じた。先行きは、10年1〜3月期実績見

     込マイナス5ポイント、10年4〜6月期見込マイナス5ポイントとなって

     いる(第2図第1表)。



 (3) 雇 用

    @ 常 用

    イ 製造業の常用雇用判断D.I.は、9年10〜12月期実績マイナス9ポ

     イントと前期に引き続きマイナスとなった。先行きは、10年1〜3月期実

     績見込マイナス5ポイント、10年4〜6月期見込マイナス8ポイントとな

     っている(第3図第1表)。

    ロ 卸売・小売業,飲食店の常用雇用判断D.I.は、9年10〜12月期実

     績マイナス15ポイントと前期に引き続きマイナスとなった。先行きは、1

     0年1〜3月期実績見込マイナス4ポイント、10年4〜6月期見込マイナ

     ス13ポイントとなっている)(第3図第1表)。

    ハ サービス業の常用雇用判断D.I.は、9年10〜12月期実績マイナス

     7ポイントと前期に引き続きマイナスとなった。先行きは、10年1〜3月

     期実績見込マイナス4ポイント、10年4〜6月期見込マイナス3ポイント

     となっている(第3図第1表)。

    A パートタイム

    イ 製造業のパートタイム雇用判断D.I.は、9年10〜12月期実績プラ

     ス2ポイントと前期に引き続きプラスとなった。先行きは、10年1〜3月

     期実績見込マイナス3ポイント、10年4〜6月期見込マイナス3ポイント

     となっている(第4図第1表)。

    ロ 卸売・小売業,飲食店のパートタイム雇用判断D.I.は、9年10〜1

     2月期実績プラス1ポイントと前期に引き続きプラスとなった。先行きは、

     10年1〜3月期実績見込プラス3ポイント、10年4〜6月期見込マイナ

     ス1ポイントとなっている(第4図第1表)。

    ハ サービス業のパートタイム雇用判断D.I.は、9年10〜12月期実績

     マイナス4ポイントと前期に引き続きマイナスとなった。先行きは、10年

     1〜3月期実績見込プラス2ポイント、10年4〜6月期見込マイナス1ポ

     イントとなっている(第4図第1表)。



 2 労働者の過不足状況



 (1) 過不足

    イ 10年2月現在の労働者の過不足状況は、「常用労働者」を「不足」とす

     る事業所割合は、調査産業計では18%、建設業14%、製造業16%、運

     輸・通信業26%、卸売・小売業,飲食店18%、サービス業24%となっ

     た。一方、「過剰」とする事業所割合は、調査産業計では13%、建設業1

     9%、製造業15%、運輸・通信業4%、卸売・小売業,飲食店13%、サ

     ービス業8%となった。前期と比べると、調査産業計では「不足」事業所割

     合が2ポイント低下したのに対して、「過剰」事業所割合は3ポイント上昇

     し、雇用の不足感が弱まっている(第5図第2−1表)。

      この結果、常用労働者過不足判断D.I.は、調査産業計ではプラス5ポ

     イント、建設業マイナス5ポイント、製造業プラス1ポイント、運輸・通信

     業プラス22ポイント、卸売・小売業,飲食店プラス5ポイント、サービス

     業プラス16ポイントとなり、建設業以外の他の産業で雇用不足感が過剰感

     を上回り引き続きプラスとなった。これを前期と比べると、調査産業計では

     5ポイント低下となり、産業別には、建設業で9ポイント低下、製造業で7

     ポイント低下、運輸・通信業及びサービス業で3ポイント低下、卸売・小売

     業,飲食店で2ポイント低下と各産業において低下した(第6図、

     第2−1表)。

    ロ パートタイム労働者過不足判断D.I.は、調査産業計ではプラス8ポイ

     ント、建設業マイナス4ポイント、製造業プラス6ポイント、運輸・通信業

     プラス9ポイント、卸売・小売業,飲食店プラス17ポイント、サービス業

     プラス12ポイントとなり、建設業でマイナスのほかは、他の産業でプラス

     となった。前期と比べると、調査産業計では5ポイントの低下となった

     (第2−1表)。

    ハ 職種別の労働者過不足判断D.I.は、調査産業計で、「専門・技術」プ

     ラス18ポイント、「販売」プラス10ポイント、「サービス」プラス8ポ

     イント、「運輸・通信」プラス7ポイント、「技能工」プラス10ポイント、

     「単純工」プラス1ポイントと、これらの各職種では不足とする事業所割合

     が過剰とする事業所割合を上回っているのに対して、「管理」及び「事務」

     については「管理」マイナス10ポイント、「事務」マイナス5ポイントと、

     過剰とする事業所割合が不足とする事業所割合を依然として上回っている。

     前期と比べると、すべての職種で低下した(第8図第2−2表)。

    ニ 製造業企業規模別の常用労働者過不足判断D.I.は、規模1,000人

     以上事業所でマイナス4ポイント、規模300〜999人事業所でマイナス

     4ポイント、規模100〜299人事業所でプラス8ポイント、規模30〜

     99人事業所でプラス8ポイントとなった。前期と比べると、すべての規模

     で低下した(第7図)。



 (2) 過不足の程度

      10年2月現在において常用労働者が不足と回答した事業所の「不足の程

     度」は、調査産業計では「5%未満」不足とする事業所の割合が9%と最も

     高く、次いで「5〜10%未満」が6%となっている。一方、常用労働者が

     過剰と回答した事業所の「過剰の程度」は、調査産業計では「5%未満」及

     び「5〜10%未満」過剰とする事業所の割合がともに5%となっている)

     (第3−1表第3−2表)。



 3 雇用調整



    何らかの雇用調整を実施した事業所割合の9年10〜12月期実績は、調査産

   業計では21%、建設業25%、製造業24%、運輸・通信業18%、卸売・小

   売業,飲食店15%、サービス業17%となった。前期と比べると、調査産業計

   で2ポイント上昇となり、産業別には、卸売・小売業,飲食店で横ばい、サービ

   ス業で1ポイント上昇、製造業で2ポイント上昇、運輸・通信業で3ポイント上

   昇、建設業で7ポイント上昇となった(第9図第4表)。

    製造業企業規模別には、規模1,000人以上事業所で35%、規模300〜

   999人事業所で21%、規模100〜299人事業所で18%、規模30〜9

   9人事業所で15%となり、前期と比べると、規模300〜999人事業所で横

   ばいのほかは、すべての規模で上昇した(第10図)。

    雇用調整の実施予定事業所割合は、調査産業計では10年1〜3月期予定は2

   3%と9年10〜12月期実績と比べ2ポイント上昇となり、10年4〜6月期

   予定は22%となっている。また、産業別には、10年1〜3月期予定は9年1

   0〜12月期実績と比べ、運輸・通信業で1ポイント低下、建設業で横ばい、サ

   ービス業で2ポイント上昇、製造業で3ポイント上昇、卸売・小売業,飲食店で

   4ポイント上昇している。10年4〜6月期予定は9年10〜12月期実績と比

   べ、運輸・通信業で3ポイント低下、サービス業で1ポイント低下、建設業で1

   ポイント上昇、製造業及び卸売・小売業,飲食店で2ポイント上昇している。

    9年10〜12月期における雇用調整の実施方法(複数回答)は、調査産業計

   では「残業規制」の割合が11%と最も高く、次いで「配置転換」の6%が高く

   なっている(第11図第4表)。



 4 中途採用



    中途採用「あり」とする事業所割合は、9年10〜12月期実績で、調査産業

   計48%と前期と比べ2ポイント低下となった。産業別には、建設業33%、製

   造業47%、運輸・通信業50%、卸売・小売業,飲食店51%、サービス業5

   5%となった。前期と比べると、建設業で上昇したほかは、すべての産業で低下

   した。

    今後中途採用を予定する事業所割合は、10年1〜3月期予定では、調査産業

   計39%、建設業23%、製造業37%、運輸・通信業47%、卸売・小売業,

   飲食店42%、サービス業49%、10年4〜6月期予定では、調査産業計29

   %、建設業22%、製造業25%、運輸・通信業35%、卸売・小売業,飲食店

   30%、サービス業40%となっている)(第5−1表)。
   (参考)第5−2表 中途採用「あり」の雇用形態、職種別事業所割合



 5 平成10年新規学卒者の採用予定状況



 (1) 平成10年新規学卒者の「採用予定あり」の事業所割合を、調査産業計で学

    歴別にみると、「高校卒」59%、「高専・短大卒」44%、「大学卒(文科

    系)」47%、「大学卒(理科系)」47%、「専修学校卒」31%となり、

    「高校卒」以外は「採用予定あり」の事業所が半数以下となった。前年同期と

    比べると、「高校卒」及び「大学卒」で低下し、他の学歴で横ばいとなった。

    これを産業別にみると、製造業を除く他の産業の各学歴で低下しており、なか

    でも建設業は各学歴で前年を大きく下回っている(第6−1表)。

 (2) 「採用予定あり」の事業所について、10年新規学卒採用内定者数を前年採

    用者数と比較すると、調査産業計においては、「専修学校卒」を除くすべての

    学歴で「110%以上(増加)」の事業所割合が「90%未満(減少)」の事

    業所割合を上回っている。

     採用予定者に対する採用内定者の割合は、調査産業計でみると、「100%

    以上」とする事業所割合が各学歴ともほぼ半分となっている(第6−1表)。



 (3) 採用(内定)者数の変化状況を9年と10年ともに採用(内定)ありの事業

    所についてみると、調査産業計においては、「高校卒」及び「高専・短大卒」

    を除く他の学歴で、「110%以上(増加)」とする事業所割合が「90%未

    満(減少)」の事業所割合を2〜11ポイント上回っている。

     産業別にみると、製造業ではすべての学歴で、卸売・小売業,飲食店では

    「高専・短大卒」及び「専修学校卒」を除く他の学歴で「110%以上(増

    加)」とする事業所割合が「90%未満(減少)」の事業所割合を上回ってい

    るが、建設業では、「大学卒(文科系)」及び「専修学校卒」を除く他の学歴

    で「90%未満(減少)」の事業所割合の方が高い割合となっている。なお、

    製造業について企業規模別にみると、1,000人以上事業所において「11

    0%以上(増加)」とする事業所割合が「90%未満(減少)」の事業所割合

    を大きく上回っている(第6−2表)。




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