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[III]調査結果


1 入職・離職の状況
 平成9年上期(1月〜6月)に労働移動を行った者の延べ数は685万人で、前年同期と比べると、66万人の増加となった。これを常用労働者に対する比率でみると、延べ労働移動率は17.5%で、前年同期(16.0%)と比べると1.5ポイントの大幅な上昇となった。
 労働移動を行った者のうち、入職者は356万人で、前年同期と比べると25万人増、離職者は329万人で同41万人増となった。これを比率でみると、入職率は9.1%(前年同期8.6%)、離職率は8.4%(同7.5%)で、前年同期と比べると入職率は0.5ポイント、離職率は0.9ポイントそれぞれ上昇した(第1図第1表第2表)。

(1)男女別入職・離職状況
 延べ労働移動率を男女別にみると、男が14.5%(前年同期13.7%)、女が22.4%(同19.9%)で前年同期と比べると、男が0.8ポイント、女が2.5ポイントそれぞれ上昇した。
 入職・離職状況をみると、入職者は男が179万人、女が177万人、離職者は男が174万人、女が155万人で、前年同期と比べると入職者は男が2万人増、女が24万人増、離職者は男23万人増、女18万人増となった。
 これを比率でみると、入職率は男が7.4%(前年同期7.4%)、女が11.9%(同10.5%)で、前年同期と比べると、男が同水準、女が1.4ポイント上昇し、離職率は男が7.2%(同6.3%)、女が10.5%(同9.4%)で、前年同期と比べると、男が0.9ポイント、女が1.1ポイントそれぞれ上昇した(第2図第1表第2表)。

(2)就業形態別入職・離職状況
 延べ労働移動率を就業形態別にみると、一般労働者が15.5%(前年同期14.5%)、パートタイム労働者が30.2%(同25.7%)で、前年同期と比べるとそれぞれ1.0ポイント、4.5ポイントの上昇となった。
 入職・離職状況をみると、一般労働者は、入職者272万人、離職者248万人、パートタイム労働者は、入職者84万人、離職者81万人で、前年同期と比べると一般労働者は入職者7万人増、離職者29万人増、パートタイム労働者は入職者19万人増、離職者12万人増となった。これを比率でみると、一般労働者は入職率8.1%(前年同期7.9%)、離職率7.4%(同6.6%)で、前年同期と比べると入職率は0.2ポイント、離職率は0.8ポイントそれぞれ上昇となった。パートタイム労働者は入職率15.5%(同12.6%)、離職率14.8%(同13.1%)で、前年同期と比べると入職率は2.9ポイント、離職率は1.7ポイントそれぞれ上昇した(第1表第2表)。

(3)産業別入職・離職状況
入職・離職状況を主な産業別にみると、入職者はサービス業の106万人が最も多く、次いで卸売・小売業,飲食店89万人、製造業70万人となっている。離職者は卸売・小売業,飲食店91万人、サービス業の90万人、製造業66万人の順となっている。これらの産業について比率をみると、入職率はサービス業11.7%(前年同期11.5%)、卸売・小売業,飲食店9.9%(同8.8%)、製造業6.5%(同6.0%)、離職率は、卸売・小売業,飲食店10.1%(同8.2%)、サービス業9.9%(同8.8%)、製造業6.2%(同6.0%)で、前年同期と比べると入職率は卸売・小売業,飲食店が1.1ポイント、製造業が0.5ポイント、サービス業が0.2ポイントそれぞれ上昇し、離職率も卸売・小売業,飲食店が1.9ポイント、サービス業が1.1ポイント、製造業が0.2ポイントそれぞれ上昇している(第3図第3表)。

(4)企業規模別入職・離職状況
 企業規模別に入職・離職の状況を比率でみると、入職率は100〜299人規模11.5%、30〜99人規模11.2%、5〜29人規模9.4%、300〜999人規模8.1%、1000人以上規模6.3%、離職率は、30〜99人規模10.1%、5〜29人規模9.4%、100〜299人規模8.7%、300〜999人規模7.5%、1000人以上規模6.2%で、入職・離職率とも概ね300人未満規模で高くなっている(第4表)。

2 入職者の状況
(1)職歴別入職者の状況

 入職者356万人について職歴別にみると、転職入職者170万人、未就業入職者186万人(うち新規学卒者96万人、一般未就業者89万人)となっている。これを比率でみると、転職入職率は4.4%(前年同期4.4%)、未就業入職率は4.8%(同4.2%)で、前年同期と比べると転職入職率は同水準、未就業入職率は0.6ポイント上昇した。
 また、男女別にみると、転職入職率は男が4.1%(同4.3%)、女が4.8%(同4.5%)で前年同期と比べると、女が0.3ポイント上昇、男が0.2ポイント低下し、未就業入職率は男が3.3%(同3.1%)、女が7.1%(同5.9%)で、前年同期と比べると、男は0.2ポイント、女は1.2ポイントそれぞれ上昇した(第4図第1表第2表第5表)。

(2)新規学卒者の入職状況
 入職者356万人のうち新規学卒入職者は96万人で前年同期と比べ2万人減少となっている。学歴別にみると、高校卒33万人、大学卒31万人、専修学校卒(専門課程)14万人、高専・短大卒14万人等となっている。これを前年同期と比べると、大学卒は増加しているが、高校卒、専修学校卒で減少している。
 産業別の割合をみると、サービス業30.1%、卸売・小売業,飲食店25.8%、製造業21.6%の順になっている。これをさらに学歴別にみると、高校卒では製造業(29.7%)、卸売・小売業,飲食店(26.3%)、専修学校卒ではサービス業(48.1%)、高専・短大卒では、サービス業(37.0%)、卸売・小売業,飲食店(24.1%)、大学卒では、サービス業(30.5%)、卸売・小売業,飲食店(24.8%)等で高くなっている。
 企業規模別の割合をみると、1000人以上規模20.5%、300〜999人規模17.7%、100〜299人規模21.6%、30〜99人規模19.4%、5〜29人規模18.1%となっている(第5表第6表第7表)。

(3)転職入職者の状況
イ 年齢階級別状況
 年齢階級別に転職入職率をみると、20〜24歳(7.6%)、25〜29歳(5.7%)、19歳以下(5.4%)、60〜64歳(5.3%)で高くなっている。これを前年同期と比べると、45歳以上のすべての年齢階級で低下しているが、44歳以下の各年齢階級では同水準か上昇している。
 男女別に前年同期と比べると、男は29歳以下の各年齢階級では上昇しているが、30歳以上の各年齢階級では低下している。女は、19歳以下、20〜24歳、30〜44歳、65歳以上の各年齢階級で上昇しているが、25〜29歳、45歳〜64歳の各年齢階級で低下している(第5図第8表)。

ロ 企業規模間移動状況
 転職入職者の企業規模間移動の割合をみると、上向移動者(より大きい規模に転職した者)は36.8%(前年同期34.2%)、平行移動者(同じ規模に転職した者)は37.0%(同37.3%)、下向移動者(より小さい規模に移動した者)は26.2%(同28.5%)で、前年同期と比べると上向移動者は2.6ポイント上昇し、下向移動者は2.3ポイント、平行移動者は0.3ポイントそれぞれ低下した(第9表)。

ハ 産業間移動状況
 転職入職者の産業間移動をみると、同一産業間を含む第2次産業への転職入職者の割合(以下、転職割合という)は36.8%(前年同期差0.8ポイント上昇)、同一産業間を含む第3次産業への転職割合は63.2%(同0.8ポイント低下)となっている。同一産業間での転職割合は、第2次産業間で23.4%(同1.0ポイント上昇)、第3次産業間で51.6%(同0.8ポイント低下)となっている。
 また、第2次産業から第3次産業への転職割合は10.8%(同0.1ポイント上昇)、第3次産業から第2次産業への転職割合は12.9%(同0.3ポイント上昇)となっている(第10表)。

ニ 賃金変動状況
 転職入職者の賃金変動の割合をみると、賃金が「10%未満の増減」であった者は47.8%(前年同期46.4%)、「10%以上の増加」であった者は29.9%(同29.8%)、「10%以上の減少」であった者は22.3%(同23.9%)で、前年同期と比べると賃金が「10%以上の減少」であった者が1.6ポイント低下し、「10%未満の増減」であった者が1.4ポイント、「10%以上の増加」であった者が0.1ポイントそれぞれ上昇した(第6図第11表)。

(4)地域間移動の状況
 入職者356万人のうち地域(13ブロック)を越えて移動した者は35万人、全入職者に占める割合は9.7%で、前年同期と比べると2.1ポイント低下した(第12表)。

3 離職者の状況
(1)年齢階級別に離職率をみると、19歳以下(21.0%)、60〜64歳(19.4%)、20〜24歳(13.5%)、65歳以上(12.9%)、25〜29歳(10.2%)で10%以上と高くなっている。前年同期と比べると、60〜64歳、55〜59歳で低下しているが、19歳以下の6.1ポイントをはじめ、他のすべての年齢階級で上昇している。
 これを男女別にみると、男は60〜64歳(21.7%)、19歳以下(20.0%)、65歳以上(15.3%)、20〜24歳(11.6%)、女は19歳以下(22.0%)、20〜24歳(15.7%)、60〜64歳(15.1%)、25〜29歳(14.2%)の各年齢階級で10%以上と高くなっている。前年同期と比べると、男は55〜59歳で低下しているのを除き、すべての年齢階級で上昇しているが、女は60〜64歳で低下しているのを除きすべての年齢階級で上昇している(第7図第13表)。

(2)離職理由別離職者の状況
 離職者の離職理由別構成比をみると、「個人的理由」が68.9%と最も高く、次いで「契約期間の満了」10.6%、「経営上の都合」7.3%、「定年」6.0%、「本人の責」5.4%となっている。これを前年同期と比べると「本人の責」1.0ポイント、「個人的理由」0.3ポイント、「契約期間の満了」0.2ポイントそれぞれ上昇し、「定年」1.1ポイント、「経営上の都合」0.2ポイントそれぞれ低下した。
 離職理由別構成比を男女別にみると、男は「個人的理由」が59.3%と最も高く、「契約期間の満了」14.0%、「経営上の都合」10.3%、「定年」8.5%、「本人の責」5.9%となっている。女も「個人的理由」が79.6%と最も高く、「契約期間の満了」6.9%、「本人の責」4.8%、「経営上の都合」4.0%となっている。前年同期と比べると、男は「契約期間の満了」2.4ポイント、「本人の責」1.2ポイント、「経営上の都合」0.5ポイントそれぞれ上昇し、「定年」2.3ポイント、「個人的理由」1.7ポイントそれぞれ低下した。女は「個人的理由」2.7ポイント、「本人の責」0.7ポイントとそれぞれ上昇し、「契約期間の満了」2.3ポイント、「経営上の都合」1.1ポイントそれぞれ低下した(第8図第14表)。

4 パートタイム労働者の移動状況
(1)労働移動者に占めるパートタイム労働者の割合

 入職者に占めるパートタイム労働者の割合は23.7%(前年同期19.9%)、離職者に占めるパートタイム労働者の割合は24.5%(同23.7%)で、前年同期と比べると、入職者は3.8ポイント、離職者は0.8ポイント上昇した。
 これを男女別にみると、男が入職者で9.3%(同9.6%)、離職者で11.3%(同12.2%)、女が入職者で38.4%(同31.9%)、離職者で39.2%(同36.4%)となっており、前年同期と比べると、女は入職者で6.5ポイント、離職者で2.8ポイントそれぞれ大幅に上昇し、男は入職者で0.3ポイント、離職者で0.9ポイントそれぞれ減少した。
産業別では卸売・小売業,飲食店が入職者で46.5%、離職者で44.8%と最も高くなっている(第15表)。

(2)男女別入職・離職状況
 パートタイム労働者の入職率・離職率を男女別にみると、入職率は男が16.3%(前年同期16.9%)、女が15.3%(同11.6%)で、前年と比べると、女は3.7ポイント上昇し、男は0.6ポイント低下した。離職率は、男が19.3%(同18.2%)、女が13.7%(同11.8%)で、前年と比べると、男は1.1ポイント、女は1.9ポイントそれぞれ上昇した(第2表)。

(3)産業別入職・離職状況
 パートタイム労働者の入職・離職状況を主な産業別にみると、入職者、離職者とも卸売・小売業,飲食店(それぞれ42万人、41万人)が最も多く、次いでサービス業(同24万人、22万人)、製造業(同13万人、12万人)となっている。  これらの産業について比率をみると、入職率はサービス業17.6%(前年同期16.0%)、卸売・小売業,飲食店16.8%(同12.3%)、製造業11.4%(同9.8%)で、前年同期と比べるとそれぞれ1.6ポイント、4.5ポイント、1.6ポイントの上昇となっている。離職率はサービス業16.5%(同15.4%)、卸売・小売業,飲食店16.4%(同13.0%)、製造業10.2%(同10.1%)で、前年同期と比べるとそれぞれ1.1ポイント、3.4ポイント、0.1ポイントの上昇となっている(第16表)。

(4)企業規模別入職・離職状況
 パートタイム労働者の企業規模別入職・離職の状況をみると、入職率は30〜99人規模(20.4%)、100〜299人規模(19.7%)で高く、300〜999人規模(11.4%)で最も低い。
 離職率は30〜99人規模(16.6%)、1000人以上規模(16.2%)で高く、300〜999人規模(11.6%)で最も低くなっている(第17表)。

5 未充足求人の状況
 平成9年6月末現在の未充足求人数は70万人で、前年(67万人)と比べ3万人増加した。また、欠員率(在籍常用労働者に対する未充足求人の割合)は1.8%で、前年(1.7%)と比べると,0.1ポイント上昇したものの依然低い水準となっている。
 うちパートタイム労働者の未充足求人数は12万5千人で、前年(7万5千人)と比べ5万人増加し、欠員率は2.3%で、前年(1.4%)と比べると0.9ポイント上昇した(第9図第18−1表第18−2表)。

(1)産業別未充足求人の状況
 主な産業別に欠員率をみると、卸売・小売業,飲食店2.4%、建設業2.2%、製造業1.5%、サービス業1.2%で、前年と比べると、卸売・小売業,飲食店は1.0ポイント上昇、サービス業は同水準となり、建設業1.4ポイント、製造業0.2ポイントそれぞれ低下した。
 うちパートタイム労働者は、製造業2.7%、卸売・小売業,飲食店2.6%、サービス業1.6%で、前年同期と比べると卸売・小売業,飲食店1.4ポイント、サービス業及び製造業で0.4ポイント上昇している(第9図第18−1表第18−2表)。

(2)企業規模別未充足求人の状況
 企業規模別に欠員率をみると、5〜29人規模3.1%、30〜99人規模1.7%、300〜999人規模1.4%、1000人以上規模及び100〜299人規模1.1%となっている。前年と比べると、300〜999人規模が0.5ポイント、5〜29人規模が0.2ポイント上昇したが、1000人以上規模及び100〜299人規模は同水準、30〜99人規模では0.1ポイント低下した。
 うちパートタイム労働者は、300〜999人規模4.0%、30〜99人規模2.7%、1000人以上規模2.4%、5〜29人規模2.2%、100〜299人規模1.3%となっている。前年と比べると300〜999人規模の2.4ポイント増を始めすべての規模で上昇している(第19−1表第19−2表)。

(3)職業別未充足求人の状況
 職業別に欠員率をみると、販売従事者(3.1%)、保安職業従事者(3.0%)等で高く、事務従事者(0.7%)、管理的職業従事者(0.2%)で低くなっている。前年と比べると、販売従事者0.7ポイント、その他の職業従事者0.4ポイント、運輸・通信従事者0.3ポイント等で上昇し、専門的・技術的職業従事者0.6ポイント、保安職業従事者0.5ポイント等で低下している。
 うちパートタイム労働者は、販売従事者(3.3%)、技能工,採掘・製造・建設作業者及び労務作業者(3.1%)等で高くなっている(第10図第20表)。

(4)地域別未充足求人の状況
 地域別に欠員率をみると、山陰(3.4%)、近畿及び山陽(2.8%)で高く、北海道(0.4%)、北九州(1.1%)で低くなっている。前年と比べると、山陰、南九州、近畿、京阪神、北陸、南関東の6地域で上昇し、北海道、北九州、東北、東海、北関東、四国の6地域で低下した。
 うちパートタイム労働者は、東北(7.4%)、北陸(5.8%)、東海(3.8%)の地域で高く、北九州(0.8%)、近畿(1.1%)で低くなっている。前年と比べると、近畿、北九州、山陽で低下、南関東は同水準で、他の地域ではすべて上昇している(第21表)。

  
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