タイトル:平成11年雇用動向調査結果速報 3年続けて離職が入職を上回るも 離職超過幅は縮小 入職者・離職者ともパートタイム労働者の占める割合が3割以上 発 表:平成12年8月8日(火) 担 当:労働大臣官房政策調査部 統計調査第一課 電 話 03-3593-1211(内線5237,5238) 03-3502-6728(夜間直通)
[I] 調査の概要 1 この調査は、事業所における常用労働者の1年間の移動状況等を把握し、我が国 の労働市場の動向を明らかにすることを目的として、毎年上期(1月〜6月)及び 下期(7月〜12月)に分けて実施している。平成11年上期分については、既に 平成11年12月に発表したが、今回下期分と合わせて、平成11年(年間)の概要 として取りまとめた。 2 調査対象は、日本標準産業分類による9大産業 [ 鉱業、建設業、製造業、電気 ・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、 不動産業、サービス業(家事サービス業、教育、外国公務を除く)]に属する常用 労働者5人以上を雇用する事業所から抽出した約1万4千事業所(有効回答率 84.2%)及び同事業所における平成11年1年間の入職者・離職者から抽出し た入職者約13万人、離職者約12万人である。 3 主な用語の説明は、[II]を参照のこと。 4 調査産業計の数字は平成3年から建設業を含めて集計しているが、平成2年以前 は建設業を除いたものである。
[II] 主な用語の説明 ・労働移動者 調査対象期間(平成11年1月〜12月までの1年間。以下同様。)中 に、就職、転職、退職などの労働移動を行った者のことで、本調査 では、入職者数、離職者数、転職入職者数から次式により求めたも のを延べ労働移動者数、労働移動者数としている。 延べ労働移動者数=入職者数+離職者数 労働移動者数(実質労働移動者数)= 入職者数+離職者数−転職入職者数 ・入職者 調査対象期間中に事業所が新たに採用した者のことをいい、他企業 からの出向者・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所からの 転入者を除く。 次図のように、転職入職者、新規学卒者、一般未就業入職者からな る。・転職入職者 入職者のうち入職前1年間に就業経験のある者のことをいう。 ここにいう就業経験には「内職」及び賃金の支払いを受けない「家 事手伝い」は含まない。 ・未就業入職者 入職者のうち入職前1年間に就業経験のない者のことをいう。 ・一般未就業 未就業入職者のうち新規学卒者以外の者のことをいう。 入職者 ・離職者 調査対象期間中に事業所を退職したり、解雇された者のことをいい、 他企業への出向者・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所への 転出者を除く。 ・常用労働者 期間を定めず雇われている者、1カ月を超える期間を定めて雇われ ている者、1カ月以内の期間を定めて雇われている者又は日々雇わ れている者で前2カ月にそれぞれ18日以上雇われた者のことをいう。 ・パートタイム 常用労働者のうち1日の所定労働時間がその事業所の一般労働者よ 労働者 り短い者、又はその事業所の一般労働者と1日の所定労働時間が同 じでも1週の所定労働日数が少ない者のことをいう。 ・一般労働者 常用労働者のうち、パートタイム労働者以外の労働者のことをいう。 ・労働移動率 在籍者に対する労働移動者の割合をいい、次式により算出している。 延べ労働移動者数 延べ労働移動率=───────────── × 100 1月1日現在の常用労働者数 (下期は、7月1日現在の常用労働者数が分母。以下同様。) 労働移動者数 労働移動率=────────────── × 100 1月1日現在の常用労働者数 ・入(離)職率 在籍者に対する入(離)職者の割合をいい、次式により算出してい る。 入(離)職者数 入(離)職率=───────────── × 100 1月1日現在の常用労働者数 (年齢階級別は、6月末日現在の常用労働者数が分母。以下同様。) ・転職入職率 在籍者に対する転職入職者の割合をいい、次式により算出している。 転職入職者数 転職入職率=────────────── × 100 1月1日現在の常用労働者数 ・未就業入職率 在籍者に対する未就業入職者の割合をいい、次式により算出してい る。 未就業入職者数 未就業入職率=────────────── × 100 1月1日現在の常用労働者数 ・入職超過率 入職率から離職率を引いたものをいう。プラスであれば入職が離職 を上回っている(入職超過)、マイナスであれば離職が入職を上回 っている(離職超過)ことを示す。 ・流入(出)率 地域における流入(出)者の割合をいい、次式により算出している。 他地域から当該地域への入職者数 流入率=────────────────── × 100 当該地域への入職者数 当該地域から他地域への入職者数 流出率=─────────────────────────────×100 当該地域から当該地域への入職者数+ 当該地域から他地域への入職者数 当該地域から他地域への入職者数 流出入比率=─────────────────── 他地域から当該地域への入職者数 [III]調査結果の概要 (骨子) 1 労働移動の状況 −3年続けて離職が入職を上回ったが、離職超過幅は縮小− −入職者・離職者ともパートタイム労働者の占める割合が3割以上− (1)平成11年の延べ労働移動者は約 1,206万人(入職者約583万人、離職者約623万 人)となり、延べ労働移動率は29.1%(前年28.9%)、入職率は14.0%(同13.8 %)、離職率は15.0%(同15.1%)となった。入職超過率をみると、3年続けて 離職が入職を上回った(離職超過)が、離職超過幅は縮小した(第1図、第1表)。 (2)入職・離職率を男女別にみると、男は入職率が11.7%(前年11.2%)、離職率 が 12.4%(同12.3%)、女は入職率が17.7%(同18.1%)、離職率が19.1% (同19.7%)となり、男女とも離職超過となった(第2図、第1表)。 (3)入職・離職率を就業形態別にみると、一般労働者は入職率が11.1%(前年11.4 %)、離職率が12.7%(同13.0%)、パートタイム労働者は入職率が27.9%(同 28.4%)、離職率が 25.9%(同 27.8%)となった。パートタイム労働者を前年 と比べると、入職・離職率とも低下したが、労働移動は引き続き活発である。入 職超過率をみると、一般労働者は -1.6ポイントで離職超過、パートタイム労働 者は2.0ポイントで入職超過となった(第3図、第1表)。 (4)パートタイム労働者の常用労働者に占める割合は17.4%(前年14.2%)、入職 者に占める割合は34.6%(同29.2%)、離職者に占める割合は30.0%(同26.1% )となった。 前年と比べるとそれぞれ 3.2ポイント、5.4ポイント、3.9ポイントと大幅に上 昇した(第4図、第2表)。 (5)主な産業別に入職・離職の状況をみると、入職率はサービス業16.5%、卸売・ 小売業,飲食店16.0%、建設業14.2%、製造業10.3%となり、離職率はサービス 業16.7%、卸売・小売業,飲食店16.6%、建設業15.0%、製造業12.7%となった。 製造業、建設業、卸売・小売業,飲食店、サービス業のいずれも離職超過となっ た(第5図、第3表)。 2 入職者の状況 −転職入職率は一般労働者で低下し、パートタイム労働者は上昇− (1)入職者を職歴別にみると、転職入職者約347万人、未就業入職者約235万人(新 規学卒者約104万人、一般未就業者約132万人)となった。転職入職率は8.4% (前年8.3%)、未就業入職率は 5.7%(同5.5%)となり、前年と比べると転職 入職率、未就業入職率とも上昇した(第6図、第1表、第5表)。 (2)転職入職率を就業形態別にみると、一般労働者は7.1%(前年7.3%)、パート タイム労働者は14.6%(同13.9%)となり、前年と比べると一般労働者は 0.2ポ イント低下し、パートタイム労働者が0.7ポイント上昇した(第7図、第1表)。 (3)転職入職者の賃金変動をみると、前の勤め先と比べて「増加」であった者の割 合は 30.1%(前年31.7%)、「変わらない」者の割合は36.7%(同38.8%)、 「減少」であった者の割合は33.2%(同29.4%)となった。前年と比べるとそれ ぞれ、1.6ポイントの低下、2.1ポイントの低下、3.8ポイントの上昇となった (第8表)。 (4)第3次産業への転職入職者の割合が69.7%(前年68.7%)、第2次産業への転 職入職者の割合が30.3%(同31.3%)となった。産業間での移動割合を前年と比 べると、第3次産業間での転職入職者の割合が上昇した(表2、第9表)。 3 離職者の状況 −離職理由は「個人的理由」「経営上の都合」の割合が上昇、「契約期間の満了」 が低下− (1)離職者の勤続期間別構成比をみると、勤続「1年未満」が35.6%で最も高く、 「2〜5年未満」19.3%、「10年以上」17.6%の順となった。前年と比べると勤続 1年以上の各区分で上昇した(第11表)。 (2)離職理由別構成比をみると、「個人的理由」が65.8%(前年64.5%)で最も高 く、次いで「経営上の都合」が 11.1%(同 10.0%)、「契約期間の満了」 が 10.7%(同 12.3%)となり、前年と比べると、「個人的理由」、「経営上の都合 」の割合が上昇、「契約期間の満了」が低下した。 これらを就業形態別にみると、一般労働者は「個人的理由」61.7%(前年62.6 %)、「経営上の都合」13.5%(同11.6%)、「契約期間の満了」10.6%(同 11.2%)となり、パートタイム労働者は「個人的理由」75.5%(同70.1%)、 「契約期間の満了」11.1%(同15.5%)、「経営上の都合」5.3%(同5.6%)と なった。前年と比べると、一般労働者は「経営上の都合」が上昇し、パートタイ ム労働者は「個人的理由」が上昇、「契約期間の満了」が低下した (表4、第10図、第12表)。 4 上期・下期別移動状況 −下期の入職率が上昇傾向− 上期、下期別に移動状況をみると、入職率は上期8.5%(前年8.5%)、下期5.5 %(同5.2%)、離職率は上期8.3%(同8.3%)、下期6.7%(同6.7%)となった。 下期の入職率は上昇傾向にある(第11図、第13表)。
調査結果 [IV]附属統計表