T プラスチック製品製造業の雇用高度化を目指して
〜プラスチック製品製造業雇用高度化懇談会報告書の概要〜
《課題と雇用高度化策のポイント》
○優秀な人材の確保、育成と高度技術・技能の継承
○ユーザーニーズに対応した雇用管理方法の整備
(雇用高度化策) ↓
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産業としての重要性・面白さ・魅力の社会に対するアピール
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高度な技術・技能者育成のための体系的な教育・研修体制の整備
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社会やユーザーの理解のもとにおける賃金・労働条件の改善
・ 人材の活性化を踏まえた人材の有効活用 |
わが国のプラスチック製品製造業は、自動車、電機等の量産型の製造業をはじめとした日本の基幹産業の発展に貢献してきた。業界としてもこれらの産業とともに日本経済・産業の高度成長に伴い拡大発展をとげてきた。さらに、高度成長期以降は二度のオイルショックに見舞われたものの、概ね堅調な業績推移を維持してきた。しかし、現状は需要の伸び悩み、受注量の減少、受注単価の低下、ユーザーニーズの変化への対応難、製品の模倣、廃棄物の処理等、多様な問題を抱え低迷傾向にある。これらの問題の対策として以下のような検討を行った。
1 業界としての対外的なアピール
産業としての重要性を社会やユーザー、若者等に対して認識させることに加えて、仕事自体の面白さ、職場の魅力を対外的にアピールすることが重要である。これには、業界団体と企業経営者が一体となり、雇用管理に対する意識を高め、人を大切にする経営という意識を醸成していくことが求められている。また、教育機関や父母に対するアピールも積極的に行っていくことが必要である。これらを効果的に推進してゆくには、業界団体がイニシアティブをとってマスメディアの活用、広報用ツールの作成、教育機関への要請等を行っていくことなどが考えられる。
2 人材確保対策
(1)業界の将来ビジョンの提示
個々の企業レベルで将来ビジョンを持ち、社会へアピールすることが有力な手段の一つと考えられる。また、業界団体が、将来ビジョンの策定と社会に対してどうアピールしていくかを検討することが必要と考えられる。
(2)マスメディアの活用
マスメディアを活用した業界のイメージ改善が重要である。業界団体が中心となりパソコンネットワークや新聞・雑誌をはじめとしたマスメディアの利用方法等をマニュアル化し、個別企業へ活用方法を普及させるとともに、個別企業の紹介やアピール、さらには業界のアピールを行うことが有効と思われる。
(3)採用活動に対する支援
公共職業安定機関等、公的支援を活用することが効果的である。また、業界団体としても、就職セミナーの開催等により支援していくことの検討が必要である。
(4)経営形態や職種の特性に応じた雇用管理制度の整備
業界団体が中心となって、経営形態や職種の特性に応じたコース別の雇用管理制度の整備について検討することが求められる。
3 労働条件の改善
(1)賃金、労働時間改善
24時間操業を前提とした夜間のプラスチック成形機の無人稼働の実現、交代制勤務形態の見直し等、可能な限り他産業と遜色のない賃金や労働時間をめざして経営努力に努めるべきである。こうした取組みを効果的に推進していくためには、業界団体が中心となり、社会やユーザーの理解を求めていくことが必要である。
(2)職場環境改善、福利厚生充実
職場環境の一層の改善や福利厚生の充実が必要である。また、安全で衛生的な職場づくりのための管理体制の充実を図るべきである。
4 人材育成、活性化対策
(1)高度な技術者・技能者の育成
固有の成形加工技術の開発や自社製品の企画・製作まで行えるような企業への変質が重要な課題とされている。そのためには、高度な技術者・技能者を育成していくための教育体制の整備が必要である。業界団体に対しては、人材育成のためのセミナー・講座の開催による人材育成への支援や、公的な能力開発施策の活用促進を図るなどの取組みが求められる。
(2)社内外の教育・研修体制の整備
従業者の技能向上と技能継承の円滑化を図るため、教育担当者の配置、マニュアルの整備等、教育の重要性を十分認識した取り組みが必要である。また、公的支援策の積極的活用を図るとともに、業界団体による研修会の充実など、一層の教育・研修体制の整備が求められる。
(3)技能の正当な評価・処遇の実施
従業者の活性化や定着対策としては、いかに働く人のモチベーションを高めるかが重要である。それには現場の技能や技術に対する適正な評価・処遇を行う制度の確立が必要であり、さらにその制度の適性な運営が行えるような人材を育成していくことも求められる。また、公的な職業評価制度の積極的活用を図るとともに、業界団体がモデル的な人事処遇制度を構築するなど、一層の取組みが求められる。
(4)若年層の意欲を高めるための対策
より魅力ある職場づくりを実現していくことが必要である。経営者としては、若年者と意思疎通を図ることによって若年者のインセンティブを高めることに留意すべきである。
5 人材活用対策
定年制度の見直しや独立支援制度の導入、長年培った技術・技能の継承のための指導者としての活用など高齢者の一層の活用と、女性の管理職への登用やパートの正社員への登用を積極的に推進すること等、やる気や能力のある女性やパートの一層の活用を図っていくことも求められる。業界団体としても、業界において高齢者・女性・パートなどの人材の活用例を収集し、それを普及していくことなどの取組みが求められている。
(プラスチック製品製造業雇用高度化懇談会メンバー)
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荒 井 勝 彦 |
熊本学園大学 経済学部教授 |
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石 原 富 祥 |
東海プラスチック工業株式会社 代表取締役社長 |
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臼 井 一 夫 |
高和電気工業株式会社 専務付 |
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岡 田 孝 博 |
株式会社久宝プラスチック製作所 代表取締役社長 |
(座長) |
亀 山 直 幸 |
日本労働研究機構 首席統括研究員 |
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草 水 敏 |
エビス労働組合 執行委員長 |
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黒 木 邦 彦 |
全化学産業労働組合連合 書記長 |
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鈴 木 太都夫 |
株式会社鈴木製作所 取締役社長 |
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武 石 恵美子 |
株式会社ニッセイ基礎研究所 生活研究部 副主任研究員 |
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富 田 英 之 |
積水化学労働組合 中央執行副委員長 |
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野 間 要 一 |
タキロン労働組合 中央執行委員長 |
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深 沢 勇 |
山下電気株式会社 取締役相談役 |
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保 坂 範 夫 |
株式会社小林鉄工所 技術顧問 |
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山 下 博 司 |
ソミック石川労働組合 副執行委員長 |
第1回懇談会 平成9年7月31日
第2回懇談会 平成9年8月26日
第3回懇談会 平成9年10月7日
第4回懇談会 平成9年11月4日
第5回懇談会 平成9年12月1日
(五十音順敬称略、役職等は当時のもの)
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