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(別 紙) 「インターンシップ等学生の就業体験のあり方に関する研究会」報告の概要 (はじめに) (略) T 研究会における検討の範囲と目標 1.「インターンシップ」の定義と検討の範囲 「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と 幅広くとらえ、学校と企業等との連携により行われる形態を基本として検討を進めた ところ。 2.インターンシップの意義と検討の目標 (意義)学校と産業界等が連携して学生の高い職業意識を育成し、主体的な職業選択 と専門能力の向上のための多様な機会を提供することにより、次代を担う学生の職業 人としての成長を社会全体として支援すること。 (検討目標)@インターンシップが効果的に実施されるための条件 Aインターンシップにより弊害や問題が生じないようにするための共通 認識の形成 Bインターンシップの健全な発展と普及のための支援策 U インターンシップの現状と問題点 1.インターンシップの現状 1 わが国における導入状況 就業体験を学校教育に組織的に組み込んでいる例として、教員養成課程等で資格 取得の必修条件となる場合の他、工学系学部・学科で授業科目として実施している 場合等があり、最近では、社会科学系学部・学科において企業実習をカリキュラム に取り入れようという学校が増加。実施状況は学部間でばらつきがあり、企業等の 主導で学生を研修生等の形で職場に受け入れる動きも拡大傾向。現状では、インタ ーンシップと総称されるものの実施期間や形態は多様。 2 インターンシップの類型とプログラムの実態 @資格要件型、A職業選択準備型、B学習意欲喚起型に大別でき、混合型も多い。 @は歴史があるが、A、Bはその効果的なあり方について模索段階。 プログラムの実態をみると、3年生を対象に、夏休み期間中等の2週間〜1か月 程度実施するものが多い。報酬の取扱いは学校により多様で、実習時間、休日等は 実習先の就業規則等に準じている場合が多い。学校として、事前のオリエンテーシ ョンを行い、事後には学生にレポートを課すケースが多く、事故等への備えとして は、学校主催の場合は学生教育研究災害傷害保険に加入しているケースがほとんど。 2.インターンシップに期待される効果 学生にとっては、自己の適性、職業選択や就職活動の方向性の把握といった職業に 関する面と、専門領域についての実務能力の向上、学習意欲の向上等学習に関する面 で有効。 学校にとっては、学生の職業選択・学習意欲の促進等教育や職業指導の面と、学校 の人材育成に対する社会的評価や入学希望者へのアピール、企業等との交流等の面で 有効。 企業等にとっては、学校との連携関係の確立、情報交流機会の増大や社会に対する 存在のアピール、長い目で見た人材育成・確保の面で有効。 3.インターンシップ運用上の問題点 インターンシップの運用に関しては、採用・就職活動との関連、実習中の安全の確 保や希望者に開かれた公平なシステムとして定着するかどうかといったこと等懸念さ れる問題も存在。 V インターンシップが効果的に実施されるための条件と課題 1.インターンシップに求められる条件 ○ 学生の職業意識の啓発、職業選択の円滑化に資するものであること。 ○ 学校内における教育との連続性・関連性を有するものであること。 ○ 学校と産業界等との連携・協力により行われるものであること。 ○ 制度の運用に関し、責任の所在と役割分担が明確になっていること。 ○ 特定の学校や企業等に偏ることなく、希望者に対して開かれた制度であること。 ○ 採用・就職活動の秩序に悪影響を及ぼすものでないこと。 これらの条件を備えたインターンシップの普及のため、検討事項となる主な課題を 以下に整理。 2.学生の職業意識の啓発と職業選択の円滑化 1 職業指導の体系の中での位置づけの明確化 学校の職業指導担当部門の行う職業指導の全体的体系の中で、インターンシップ を適切に位置づけることが重要。 2 事前・事後の指導の充実 事前の準備、オリエンテーション等による学生の目的意識の明確化や動機づけ、 事後のまとめによる経験の定着といった一貫した指導の実施についての研究が必要。 3.学校内における教育との連続性・関連性の確保 専門教育として最も効果的な実施時期や期間等の設定、単位認定の取扱いの検討と 事後の検証や学外実習と学校内教育との連続性の確保のための工夫が必要。 4.学校と産業界等との連携・協力関係の構築 学校側と産業界等受入れ側との長期にわたる継続的な信頼・協力関係の構築が必要。 5.責任の所在と役割分担の明確化 1 一定水準の実習内容、就業条件等の確保 受入れ側では、学生の能力に応じた仕事内容の設定、分かりやすい作業指示、適 正な実習条件の確保等に十分な配慮が必要。学生が労働者とみなされる場合には、 労働基準関係法令が適用されることに留意が必要。 2 リスクへの対応 万一の事故の場合の関係者の負担を軽減するため、保険への加入等リスクへの備 えについての十分な検討が必要。学校、学生と受入れ先の三者間で、これらの対応 方針等についてできる限り文書等により明確化しておくことが望ましい。 3 報酬についての考え方 報酬に関しては学校や受入れ先企業により考え方、実態がさまざま。企業等が学 校を介さずに実施する場合は、実習の態様からみて労働者とみなされる場合もある ことに留意が必要。 6.希望者に対して開かれた制度づくり 1 参加・受入れ条件の明確化と情報収集・提供体制の整備 学校や企業等が参加に必要な条件等を可能な限り公平・透明なものとするととも に、公正で信頼性の高い情報を収集・提供する仕組みの整備が必要。公的機関、大 学等・事業主団体などが情報の蓄積を進め、相互に連携した効果的な情報提供体制 の構築が望ましい。 2 インターンシップのPR、参加者・受入れ先の拡大 インターンシップへの参加を拡大するためには、さまざまな業種、職種、学科等 での実施が可能とすることが必要。企業の受入れ部門が拡大するよう、行政として も、各種支援策に積極的に取り組むことが重要。 7.採用・就職活動の秩序の維持 インターンシップと採用・就職活動が混同されることのないよう、実施時期、実習 内容の設定等に配慮が必要。また、アルバイトとの区別に関しては、学生の育成に資 する目的と内容で行われ、教育的効果が実現されるよう、趣旨の明確化も必要。 W インターンシップに関する共通認識の形成 ○ インターンシップの趣旨は、学生の職業意識啓発と専門能力の向上への支援であ り、学校側だけでなく、受入れ側でもできる限り多様な就業経験と専門能力の向上 の機会を提供できるよう努力することが望ましい。第三者が仲介等を行う場合も同 様。 ○ 学校と企業等との産学連携により、学校の主体的取組みとして行われることが基 本であり、学校教育との連続性や一貫性の確保が重要。企業が学校を介さず実施す る場合には、受入れ目的、実習内容、アルバイト等との区別等について明確化して おくことが望ましい。 ○ インターンシップ中の実習条件や安全の確保について責任の所在の明確化が必要。 万一の事故等への対応をあらかじめ措置することが望ましい。 ○ インターンシップとして行う実習に労働関係法令が適用される場合もあることに 留意が必要。 ○ インターンシップを通じて、学生の将来の自由な就職活動を阻害したり、進路選 択を心理的に拘束したりしないよう、節度ある対応が必要。 ○ 幅広く公平な受入れ、情報の公開等、広く門戸を開く努力が求められる。 X インターンシップの健全な発展と普及のための支援策 ○ インターンシップの受入れは、企業等のイメージアップや活性化、学校との連携 等を通して、長い目でみて企業等に資するという点について理解を深めていくこと。 特に中小企業等に対し、このような観点からの取組みを支援すること。 ○ 類型別にみた効果的な実施のための条件やプログラム、留意事項等について整理 し、情報提供を行うこと。また、質の高い実習機会を提供する企業等についての好 事例を紹介すること。 ○ 実習のプログラム・教材作成の支援、ノウハウ・事例の提供、受入れ体制の相談 等を行うことにより、実習の質の向上を図り、企業等の手間や負担感を軽減する体 制を整備すること。 ○ 産業界等と学校との情報交換や、企業等による情報発信の機会の拡大を図るとと もに、本格的な導入に先立ち企業等がインターンシップを試行できる機会を設定す ること。 ○ 学生の職業選択や職業生活設計にインターンシップの経験ができる限り有効に生 かされるよう、公共職業安定機関において職業情報の整備、学校と連携した学生に 対する相談・援助の充実を図ること。 ○ 関係行政による支援策の展開に当たっては、それぞれの施策が密接に連携しなが ら、効果的・効率的に実施されるよう調整・工夫に努めること。 (おわりに) (略)