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雇用主代表意見

(別添)

「労働者派遣事業制度の見直しの基本的方向について」への
労働者代表委員の意見


相馬 末一
野田 那智子
池田  勇
久川 博彦


  1. 労働者派遣事業制度の在り方に関する基本的考え方
    • 現行の法制度の枠組みのなかで「臨時的・一時的」という概念・位置づけが不明確である。仮に、派遣労働を臨時的・一時的な性格と位置づけた場合に、常用型派遣を認めている現行法との整合性や短期的な使い回しなど制度の濫用が危惧される。
       雇用の安定・確保の観点からの労働者派遣事業制度の見直しであれば、臨時的・一時的労働に関する濫用を防止するなどの法的措置が講じられるべきである。
    • わが国における派遣事業制度の現状は、一部の対象業務を除きディスパッチトワーカーとしての性格をもち、EU諸国などのテンポラリーワーカーと制度の仕組みが大きく異なっていることに注視すべきである。
    • わが国の派遣法の枠組みは、日本的雇用慣行を解体することなく専門性を基本に業務を指定し派遣の市場は技能の市場として機能している。こうした基本的な枠組みは維持し、その上でILO181号条約批准に向けての国内法の整備を図るべきである。



  2. 適用対象業務
    • ILO第181号条約第2条は、適用範囲の基本原則を定めたものであり、適用にあたっては、最も代表的な労使の協議によって定めることを規定しており、4項では禁止規定を設けている。
       いずれにしても、ILO第181号条約の全体構成は労働者保護をより強く規定しており、まずもって労働者保護の規定が国内法で整備されることである。


  3. 派遣期間
    • 派遣期間を一定の期間に限定するという方向性については了とするが、派遣労働者が一時的活用として使い回されることを規制する法的措置を検討すべきである。


  4. 許可・届出制
    • 出口規制を強化するという観点から、労働者保護、事業の適正な運営を定期的にモニターする仕組みとして許可・届出制を検討するという方向性については了とする。


  5. 労働者保護
    • 派遣労働者の就業条件の更なる整備を図るとの方向性については了とするが、問題は、三者間関係という複雑な関係に置かれている派遣労働者が直面している諸問題に対して具体的にどのような点で労働者保護を図るのかについて、一歩も二歩も踏み込んだ方向性を明示し、併せて、181号条約14条の規定に照らし、違法派遣や脱法的行為を行った派遣元や派遣先に対し罰則を含む制裁措置を講じなければならない。


  6. その他
    • 育児・介護休業派遣事業及び高齢特例派遣事業についての検討は、派遣法本体が整理された段階で、改めて制度の趣旨等を踏まえ、検討していくこととする。

    以  上




労働者代表委員の意見



雇用主代表意見


秋山 裕一  菅野 俊徳
指田 禎一  鈴木 和夫


  1. 労働者派遣事業制度の在り方に関する基本的考え方
    • ILO第181号条約という新たな基準設定がなされたことは、ILOとして労働力需給調整の国家独占という従来の原則を変え、民間による労働者派遣、職業紹介、求職関連サービスを積極的に認める方向に転換したことであるという点を十分に踏まえ、今後の見直し作業が進められるべきである。
    • 短期的には失業の増大が予想され、中・長期的には労働力不足が想定されること、さらに、企業側・労働者側双方から柔軟な雇用を求める声があるという実態を踏まえると、労働者派遣事業制度を特別なものととらえず、労働力の需給調整機能の一つの柱として積極的に位置付け、早急にその枠組みを再構築するべきである。
    • 労働者派遣事業制度を「臨時的・一時的な」労働力の需給調整に関する対策と位置付けるのは、当面の取扱いであり、今後必要に応じて見直されるものと理解する。


  2. 適用対象業務
    • ILO第181号条約第2条の趣旨を踏まえると、適用対象業務は「ネガティブリスト化」となる方向で検討すべきである。


  3. 派遣期間
    • 派遣期間については、労働者派遣事業制度が労働力需給調整の一つの柱として有効に機能するよう、その在り方を検討すべきである。


  4. 許可・届出制
    • 本来、労働者派遣事業制度を通常の事業活動と認め、許可・届出制は廃止されるべきと考えるが、悪質なブローカーへの対応の必要性等から、他に適切な措置がない場合には現行の枠組みを維持することもやむを得ないものと考える。
    • そうした場合でも、事業要件の緩和、申請手続きなどの負担軽減について積極的に取組むべきである。


  5. 労働者保護
    • 労働者保護については、平成8年改正により整備されたと考える。しかしながら、労働者派遣という特殊性からくる問題を、現場近くで解決する何らかの措置が取られることについては検討に値する。


  6. その他
    • 育児・介護特例派遣、高齢特例派遣において指摘した問題点については、今回の見直しの中で早急に解決すべきである。
    • 特に高齢特例派遣では、最低限65歳までの就労確保が可能となるよう派遣期間、適用対象業務などについて適切な措置を図るべきである。
    • また、育児・介護特例派遣は、期間を1年以上必要とする産前・産後休業などを含めた育児休業の場合も実施可能となるよう措置すべきである。

     

      以  上



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