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         雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱





第一 雇用保険法の一部改正



一 一般被保険者の求職者給付の改正



 (一)基本手当の日額の算定方法の変更



   基本手当の日額を、受給資格者の年齢、賃金日額の区分に応じて、次の表に定

  めるとおりとするものとすること。
年齢 賃金日額 基本手当の日額




二千百四十円以上
四千二百十円未満
賃金日額に百分の八十を乗じて得た額
四千二百十円以上
一万二千二百二十円以下
賃金日額に百分の八十から百分の五十
までの範囲で賃金日額の逓増に応じて
逓減した率を乗じて得た額
一万二千二百二十円超 賃金日額に百分の五十を乗じて得た額
 六
六十
十歳
五以
歳上
未 
満 
二千百四十円以上
四千二百十円未満
賃金日額に百分の八十を乗じて得た額
四千二百十円以上
一万九百五十円以下
賃金日額に百分の八十から百分の四十五
までの範囲で賃金日額の逓増に応じて
逓減した率を乗じて得た額
一万九百五十円超 賃金日額に百分の四十五を乗じて得た額




 (二)賃金日額の上限額等の変更



   賃金日額の上限額を受給資格者の年齢に応じ、次の表に掲げる額とし、下限額

  を二千百四十円とするものとすること。 
年齢 賃金日額の上限額(基本手当の日額の上限額)
六十歳以上六十五歳未満 一万五千五百八十円  (七千十一円)
四十五歳以上六十歳未満 一万六千八十円  (八千四十円)
三十歳以上四十五歳未満 一万四千六百二十円 (七千三百十円)
三十歳未満 一万三千百六十円(六千五百八十円)




 (三)所定給付日数の変更 



  イ 所定給付日数を、被保険者であった期間に応じて、次の表に定めるとおりと

   するものとすること。
被保険者であった期間 二十年以上 十年以上 十年未満
  百五十日 百二十日 九十日




  ロ イにかかわらず、就職困難者に係る所定給付日数は、受給資格者の年齢及び

   被保険者であった期間に応じて、次の表に定めるとおりとするものとすること。

被保険者であった
期間

期間

一年以上 一年未満
四十五歳以上六十五歳未満 三百六十日 百五十日
四十五歳未満 三百日 百五十日




  ハ イにかかわらず、特定受給資格者に係る所定給付日数は、受給資格者の年齢

   及び被保険者であった期間に応じて、次の表に定めるとおりとするものとする

   こと。

被保険者であった
期間年齢

二十年以上 十年以上
二十年未満
五年以上
十年未満
一年以上
五年未満
一年未満
六十歳以上六十五歳未満 二百四十日 二百十日 百八十日 百五十日 九十日
四十五歳以上六十歳未満 三百三十日 二百七十日 二百四十日 百八十日 九十日
三十五歳以上四十五歳未満 二百七十日 二百四十日 百八十日 九十日 九十日
三十歳以上三十五歳未満 二百四十日 二百十日
三十歳未満 百八十日 百八十日 百二十日 九十日 九十日




 (四)訓練延長給付に関する暫定措置



   三十五歳以上六十歳未満である受給資格者のうち、公共職業安定所長が指示し

  た公共職業訓練等を受け終わってもなお職業に就くことができず、かつ、再就職

  を容易にするために公共職業訓練等を再度受けようとするものであると認められ

  るものに対しては、政令で定める日(注1)までの間、公共職業訓練等を受け終

  わった後の失業している日について、一定の日数を限度として所定給付日数を超

  えて基本手当を支給することができるものとすること。





  (注1)政令で定める日は、平成二十年三月三十一日とする〔政令〕。







 (五)失業認定の方法



   失業の認定は、受給資格者が求人者に面接したこと、公共職業安定所、職業紹

  介事業者等から職業を紹介され、又は職業指導を受けたことその他求職活動を行

  ったことを確認して行うものとすること。





  (注2)以上の措置にあわせて、次の措置を講ずる。



   (1)六十歳時賃金日額の算定の特例を廃止する〔告示〕。



   (2)育児・介護休業法による育児休業、介護休業又は勤務時間短縮措置により

    賃金が喪失、低下している期間中に倒産、解雇等の理由により離職した者に

    ついては、休業開始前又は措置前の賃金日額により基本手当の日額を算定で

    きるようにする〔告示、要領〕。



   (3)受講手当の日額を五百円とし、特定職種受講手当を廃止する〔省令〕。







  二 高年齢継続被保険者の求職者給付の改正



    高年齢求職者給付金の額を、被保険者であった期間に応じて、次の表に定め

   る日数分の基本手当の額に相当する額とするものとすること。
被保険者であった期間 日数
一年以上 五十日
一年未満 三十日




 三 就職促進給付の改正



  (一)就業促進手当の創設



   イ 職業に就いた受給資格者であって職業に就いた日の前日における基本手当

    の支給残日数が所定給付日数の三分の一以上かつ四十五日以上であるものの

    うち、ロに該当しない者に対して、現に職業に就いている日について、基本

    手当の日額に十分の三を乗じて得た額を支給するものとすること。ただし、

    基本手当の日額が、一万二千二百二十円に百分の五十を乗じて得た金額

    (六千百十円)(六十歳以上六十五歳未満である受給資格者にあっては、

    一万九百五十円に百分の四十五を乗じて得た金額(四千九百二十七円))を

    超えるときは、当該金額とするものとすること(ロ及びハにおいて同じ。)。

     この場合において、当該就業促進手当を支給した日数に相当する日数分の

    基本手当を支給したものとみなすものとすること。





  (注3)就業促進手当の支給基準は、現行の雇用保険法施行規則第八十二条第二

     号から第五号までに加え、給付制限を受けた場合に職業紹介事業者の紹介

     により職業に就いたときを支給対象とすることとする〔省令〕。





   ロ 安定した職業に就いた受給資格者であって当該職業に就いた日の前日にお

    ける基本手当の支給残日数が所定給付日数の三分の一以上かつ四十五日以上

    であるものに対して、基本手当の日額に、職業に就いた日の前日における支

    給残日数に十分の三を乗じて得た数を乗じて得た額を支給するものとするこ

    と。

     この場合において、当該就業促進手当の額を基本手当の日額で除して得た

    日数に相当する日数分の基本手当を支給したものとみなすものとすること。





  (注4)給付制限を受けた場合に職業紹介事業者の紹介により職業に就いたとき

     も支給対象とすることとする〔省令〕。







  ハ 安定した職業に就いた受給資格者(当該職業に就いた日の前日における基本

   手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の三分の一未満又は

   四十五日未満である者に限る。)等であって、身体障害者その他の就職が困難

   なもの(注5)に対して、基本手当の日額に三十を乗じて得た額を限度とする

   一定の額(注6)を支給するものとすること。





  (注5)身体障害者その他の就職が困難な者のうち、四十五歳以上の受給資格者

     については、雇用対策法等に基づく再就職援助計画等の対象となる者に限

     定することとする〔省令〕。



  (注6)受給資格者に係る就業促進手当の額は、基本手当の日額に、九十(支給

     残日数が九十日未満である場合には、支給残日数に相当する数(その数が

     四十五を下回る場合にあっては、四十五))に十分の三を乗じて得た数を

     乗じて得た額とする。ただし、所定給付日数が二百七十日以上の者は、支

     給残日数にかかわらず基本手当の日額に、九十に十分の三を乗じて得た数

     を乗じて得た額とする〔省令〕。





  (注7)職業紹介事業者の紹介により職業に就いたときも支給対象とすることと

     する〔省令〕。





 (二)就業促進手当の支給を受けた場合の特例



   (一)のロに係る就業促進手当の支給を受けた者であって、当該就業促進手当

  の支給を受けた後の最初の離職(以下「再離職」という。)の日が受給期間内に

  あり、かつ、再離職が倒産、解雇等の理由(注8)によるものについて、受給期

  間を延長することとし、延長する期間は、次のイの期間からロの期間を差し引い

  た期間とするものとすること。





  イ 離職日の翌日から再離職の日までの期間に、二十日以下の一定の日数

   (注9)及び就職日の前日における支給残日数から就業促進手当の支給により

   基本手当を支給したものとみなされた日数を差し引いた期間を加えた期間



  ロ 延長前の受給期間

   (注8)倒産、解雇等の理由の範囲は、一の(三)のハの特定受給資格者とな

   る離職理由の範囲と同一とする〔省令〕。





   (注9)一定の日数は、十四日とする〔省令〕。







 四 教育訓練給付の改正



   教育訓練給付金について、支給の対象となる一般被保険者又は一般被保険者で

  あった者(注10)を、教育訓練を開始した日までの間に被保険者であった期間が

  三年以上ある者とし、支給額を、当該教育訓練の受講のために支払った費用の額

  に百分の二十以上百分の四十以下の範囲内の一定の率(注11)を乗じて得た額と

  するものとすること。





  (注10)一般被保険者であった者については、一般被保険者でなくなった日から

     一年以内に妊娠、出産、育児、疾病、負傷等の理由により教育訓練を受け

     ることができない旨を公共職業安定所長に申し出た場合には、一年に当該

     理由により教育訓練を受けることができない日数を加えた期間(四年を限

     度とする。)内に教育訓練を受け、修了した場合も教育訓練給付金の支給

     の対象とする〔省令〕。





  (注11)教育訓練給付金の給付率及び上限額については、被保険者であった期間

     に応じ、次の表のとおりとする〔省令〕。
被保険者であった期間 給付率 上限額
三年以上五年未満 百分の二十 十万円
五年以上 百分の四十 二十万円




 五 雇用継続給付の改正



  (一)高年齢雇用継続基本給付金の改正



    高年齢雇用継続基本給付金は、各月に一般被保険者に支払われた賃金額が、

   当該一般被保険者が六十歳に達した日を受給資格に係る離職の日とみなした場

   合に算定される賃金日額に相当する額に三十を乗じて得た額の百分の七十五に

   相当する額を下った場合に支給するものとし、高年齢雇用継続基本給付金の額

   は、各月に支払われた賃金額に百分の十五を乗じて得た額とするものとするこ

   と。ただし、各月に支払われた賃金額が賃金日額に三十を乗じて得た額の百分

   の六十一に相当する額以上であるときは、当該賃金額に、賃金日額に三十を乗

   じて得た額に対する当該賃金額の割合が逓増する程度に応じ百分の十五から一

   定の割合で逓減した率を乗じて得た額とするものとすること。





  (二)高年齢再就職給付金の改正



    高年齢再就職給付金は、各月に支払われた賃金額が、受給資格を取得したと

   きに算定した賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の七十五に相当する額を下

   った場合に支給するものとし、高年齢再就職給付金の額は、(一)と同様の方

   法により算定して得た額とするものとすること。





  (三)高年齢再就職給付金と就業促進手当との調整



    高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき三

   の(一)のロに係る就業促進手当の支給を受けることができる場合において、

   その者が当該就業促進手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金を支給せ

   ず、高年齢再就職給付金の支給を受けたときは当該就業促進手当を支給しない

   ものとすること。





 六 求職者給付受給者の責務



   求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつ

  つ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければ

  ならないものとすること。





 七 返還命令等の金額の引上げ等



  (一)偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた場合に納付を命ず

    ることのできる金額を当該失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額と

    するものとすること。



  (二)偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者と連帯して不正

    受給額の返還及び納付額の納付を命ぜられる対象として、職業紹介事業者等

    を加えるものとすること。





 八 報告徴収の対象の追加



   報告徴収の対象に、受給資格者等を雇用しようとする事業主及び職業紹介事業

  者等を加えるものとすること。





 九 その他



   その他所要の規定の整備を行うものとすること。







第二 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正



 一 雇用保険率の改正



   失業等給付に係る雇用保険率を千分の十六(農林水産業、清酒製造業及び建設

  業については、千分の十八)とするものとすること。ただし、平成十七年三月三

  十一日までの間については、千分の十四(農林水産業、清酒製造業及び建設業に

  ついては、千分の十六)とするものとすること。





 二 雇用保険率の弾力的変更の範囲の改正



   労働保険特別会計の雇用勘定の積立金の状況による失業等給付に係る雇用保険

  率の変更は、千分の十四から千分の十八まで(農林水産業、清酒製造業及び建設

  業については、千分の十六から千分の二十まで)の範囲で行うものとすること。

  ただし、平成十七年三月三十一日までの間については、千分の十二から千分の十

  六まで(農林水産業、清酒製造業及び建設業については、千分の十四から千分の

  十八まで)とするものとすること。





 三 その他



   その他所要の規定の整備を行うものとすること。







第三 その他



 一 施行期日



   この法律は、平成十五年五月一日から施行するものとすること。





 二 経過措置



   この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるものとすること。





 三 関係法律の整備



   その他関係法律について所要の規定の整備を行うものとすること。

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