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(別紙)



I 多様な働き方/多様就業型ワークシェアリングに関する基本的な考え方



 少子高齢化の進展、経済のグローバル化、産業構造の変化、働き方に対する価値観

の多様化等の中で、働き方やライフスタイルを見直し、経営効率の向上を図るため、

多様な働き方の選択肢を拡大する多様就業型ワークシェアリングの環境整備に早期に

取り組む必要があることは本年3月の合意で確認しているところであるが、その後の

検討の中で、次のような視点と将来の目標を共有しつつ推進していくことの重要性に

ついて確認した。



1 選択肢の拡大による新たな雇用機会の創出



  多様な働き方を推進していくことが、労使双方にとっての選択肢の拡大となる必

 要がある。そのための社会的条件整備に取り組み、労働法制の見直し等必要な規制

 改革を推進することによって、働く機会を確保していくとともに、雇用・賃金・労

 働時間を適切に再配分することによって新たな雇用機会を創り出していく。



2 柔軟で多様な人材の活用と生産性の向上



  多様な働き方を通じて、労使双方のニーズが一致するような柔軟で多様な人材の

 活用が可能になる。同時に、効率的な人材活用、適正な労働時間管理と要員配置に

 よって業務の効率化も進む。



3 働く側のライフスタイルに合わせた自己選択の拡大



  多様な働き方の推進により、生涯生活のビジョンやライフスタイルに合わせた働

 き方を自由に選べるような環境条件が生まれてくる。短時間正社員や在宅勤務、勤

 務形態の転換制度など働き方の幅を広げる取組を進めていくとともに、男女がとも

 に仕事と家庭の両立が可能になるような環境整備を行っていく。



4 NPOの拡充と地域の活性化



  多様な働き方の中には、雇用に限定されない様々な形態が含まれると考えられる。

 そうした場を作っていくことは、やりがいのある仕事や活動分野の拡大につながり、

 NPOの拡充や地域の活性化につながる。そのために政労使は、それぞれの役割を

 発揮していく必要がある。

  以上の視点も踏まえ、今後は、いかに取組を進めていくかが重要であり、政労使

 は、具体的事項として、IIの事項に取り組む。また、具体的取組の推進に当たって

 は、ワークシェアリングの推進に関する相談体制の整備を図ることも必要である。





II 多様な働き方/多様就業型ワークシェアリングに向けた政労使の取組



 多様なライフスタイルのニーズと生産性の向上を両立させ、労使双方にとって選択

肢を拡大していくために、政労使は次の事項に取り組んでいくことが必要である。



1 労使の取組



 (1) 多様な働き方の推進



   企業の活力や経営効率・生産性を高め、雇用機会を拡大し、労働者がその能力

  を十分発揮できるようにしていくためには、多様な働き方が労使双方にとって適

  切な選択肢として位置づけられる必要がある。

   このため、個々の企業において、従来の雇用慣行や制度の検討・見直しに取り

  組み、様々な雇用・就労形態を多様に組み合わせた雇用システムを整備し、働く

  側の希望するライフスタイル、生涯設計に応じた選択肢を拡大することが重要で

  ある。

   日本経団連と連合は、こうした取組の環境整備を進めていく。



 (2) 仕事に応じた公正な処遇の推進



   多様な働き方を通じて、労働者の能力が最大限に発揮され、企業の活力を高め

  ていくためには、仕事に応じた適正な評価と公正な処遇を図ることが不可欠であ

  る。

   労使は、賃金・人事制度に関し、職務の明確化、時間当たり賃金の考え方等に

  ついて検討を行い、十分に納得できるような制度の策定をめざす必要がある。

   このため、日本経団連と連合は、企業横断的な仕組みを含め今後の処遇制度の

  在り方について、環境整備の取組を進めていく。



 (3) 労働時間管理の適正化



   働く側にとっての健康維持とやりがいの発揮、企業側にとっての生産性向上の

  ためには、労働時間管理の適正化が重要な課題である。

   労使は、労働時間管理に関わる個別的問題について十分に協議を尽くして問題

  解決に当たり、過度な長時間労働の是正等に向けて取組を進めていく必要がある。

   このため、日本経団連、連合は、様々な労働時間制度の適正運用や労働基準

  法遵守の周知徹底などの環境整備を進めていく。



 (4) 多様な働き方を推進するための環境整備/人材育成・能力開発



   多様な働き方を推進するためには、労働者の技能・技術等の向上が必要であり、

  労働者自身の自己啓発や自主的な能力開発がこれまで以上に重要になる。また、

  企業も、経営効率・生産性向上に向けた人材育成・人材投資を積極的に進めてい

  く必要がある。

   それには、企業内の制度整備・充実に加え、自主的に企業横断的な人材育成の

  インフラづくりに取り組むことが望まれる。

   このため、日本経団連と連合は、人材育成、能力開発の課題実現に向けた取組

  を進めていく。



  (1)〜(4)を具体化するための課題について、年度内を目途にさらに検討を進めて

 いく。



2 政府の取組



  政府は多様就業型ワークシェアリングによる多様な働き方の実現に向けた労使の

 取組を踏まえ、以下のような取組を行う。



 (1) 当面の取組



  ア ワークシェアリングの普及促進



    多様就業型ワークシェアリングの普及促進のため、具体的な導入に当たって

   の問題点などを検討し、その成果を中央・地方において広く普及啓発する。



  イ 業界、企業での普及促進



    制度導入の留意点や制度導入効果の検証方法などを明らかにしたモデルを開

   発するとともに、モデル業界毎に、業種別の導入モデルを開発し、導入モデル

   企業での検証を通じて有効性を高めた上で、その活用により、多様就業型ワー

   クシェアリングの導入を促進する。



  ウ 多様就業型ワークシェアリング実施企業における新規雇入れに係る既存の助

   成制度の活用



    多様就業型ワークシェアリングの実施に併せ、新たに労働者の雇入れを行お

   うとする企業において、既存の助成金が適切に活用できるよう指導、啓発に取

   り組む。



 (2) 今後の更なる取組



  ア 働き方に見合った公正・均衡処遇



    短時間労働者の働き方に見合った公正・均衡処遇のあり方及びその推進方策

   について、年度内を目途に一定の結論を得るべく論議を進める。



  イ 短時間労働者に対する社会保険の適用拡大



    平成16年に行われる次期年金制度改正に向け厚生年金の適用拡大について

   引き続き検討を行うとともに、健康保険についても引き続き検討を行う。



  ウ その他



    職務の明確化、企業横断的な能力評価システムの整備等多様就業型ワークシ

   ェアリングの普及に必要な環境整備について検討を進める。



III 緊急対応型ワークシェアリングに対する財政支援



 現下の厳しい雇用情勢に対応した当面の措置としての緊急対応型ワークシェアリン

グについては、本年3月の合意を受け、労使において取り組むとともに、6月から財

政支援を実施しているところである。

 しかし、依然として厳しい雇用情勢が続き、今後、不良債権処理の加速による影響

が懸念される中で、緊急対応型ワークシェアリングに対する政府の財政支援について、

改善・拡充を図ることが必要である。その際、生産量の減少を要件としないなど雇用

創出に重点を置いた見直しを行う。

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