戻る


II 企業組織再編の現状



 2 我が国における企業組織再編の状況



   近年、企業間における国際的競争の激化に対応すべく、企業において競争力を

  強化するための経営効率性の向上が求められてきていることを背景に、我が国に

  おいても、企業組織再編が活発に行われるようになっている。



  

  (1)企業組織再編の件数



    公正取引委員会は、独占禁止法に基づく届出を受理した件数等についてまと

   めた「独占禁止法第4章関係届出等の動向について」を毎年度発表している。

   これによれば、合併の件数は、平成元年度の1,450件から平成9年度には2,174

   件と増加している。また、営業譲受けの件数は、平成元年度の988件から平成

   9年度には過去最高の1,546件まで増加している。





   (注)平成10年度に、独占禁止法第4章関係の届出・報告の対象範囲に係る法

      改正が行われ(平成11年1月1日)、届出対象範囲が資産規模等により

      大幅に縮減されたため、それ以降は、公正取引委員会の発表件数は、企

      業組織再編の全体の状況を表さなくなった。





    平成9年以降の企業組織再編の状況について、株式会社レコフ(M&A仲介

   業者)が組織再編を行う企業の報道発表等を中心に独自に把握した件数の統計

   でみると、合併については、平成9年の357件から平成13年には662件、営業譲

   渡については、平成9年の188件から平成13年には623件と、いずれも大幅に増

   加している。

    また、平成13年4月より施行されている会社分割制度については、東京商工

   リサーチによると、施行後1年間に会社分割公告を官報に掲載した分割会社は、

   538社となっている。



  

  (2)企業組織再編の特徴



   (1)企業組織再編を行った企業の規模



     公正取引委員会の統計によれば、合併・営業譲受け等の行為後における総

    資産額別の動向については、合併後の存続会社若しくは営業譲受け等の行為

    後の譲受け等会社の総資産額について、総資産額1,000億円以上が合併で約

    2%、営業譲受け等で約7%である一方、10億円未満及び10億円以上50億円

    未満を併せたものがいずれも約70%強となっている。

     また、東京商工リサーチの調査によれば、会社分割公告を官報に掲載した

    分割会社の規模については、資本金100億円以上が1割強を占める一方で、

    資本金1億円未満が約45%となっており、中小企業においても会社分割制度

    の活用が図られていることが窺える。



  

   (2)企業組織再編を行った企業の業種



     公正取引委員会の統計によれば、合併、営業譲受けのいずれも卸・小売業

    の占める割合が3割前後と高く、製造業、サービス業が続いている。

     また、東京商工リサーチの調査によれば、会社分割公告を官報に掲載した

    分割会社の業種としては、製造業がもっとも多いが、サービス業、建設業、

    卸売業、小売業、不動産業等多様な業種で会社分割制度が活用されている。



  

   (3)企業組織再編の背景と今後の動向



     本研究会では、企業組織再編を行うに当たっての企業の意識や市場の評価、

    さらにはこれらを踏まえた今後の動向を把握するために、シンクタンクの研

    究員から「企業組織再編の動向と今後のグループ戦略」として説明を受けた。

     この説明によって、企業組織再編としては、これまでの不採算部門の整理

    統合や不良資産の移管、重複事業の整理統合などの従来型のリストラだけで

    はなく、連結財務諸表制度の導入による情報開示の強化や組織再編に関する

    商法改正を背景にした、企業グループ価値最大化を企図する組織戦略として

    行われる形態が増加してきており、今後ますます、そのような積極的な企業

    組織再編が増加するであろうという点について、認識を共通のものとした。

                     TOP

                     戻る