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II 企業組織再編の現状



 1 企業組織再編をめぐる法制度の改正



  (1)商法等の改正



    企業の国際的な競争が激化した現代の社会情勢の下で、企業がその経営の効

   率性を高め、企業統治の実効性を確保するべく、組織の再編成が柔軟にできる

   ようにするため、近年、我が国においても、商法改正等企業組織再編のための

   一連の法制度の整備が行われてきた。



    平成9年には、独占禁止法改正により、いわゆる純粋持株会社が解禁された。

   さらに、同年の商法改正により、合併に関する法制の見直しが行われ、債権者

   保護手続を合理化するとともに、簡易な合併手続きの制度が創設された。

    平成11年には、持株会社の設立を容易にするための制度として、株式交換及

   び株式移転制度の導入を内容とする商法改正が行われ、これにより、既存会社

   が他の既存会社の発行済株式と自社の株式とを交換して、後者を完全子会社と

   したり(株式交換)、あるいは既存会社が完全親会社を新設して持株会社とし

   自らを完全子会社とすること(株式移転)が容易になった。



    また、企業がいわゆる分社を行う場合、従来は営業譲渡又は営業の現物出資

   等により行われていたが、この場合、営業の承継に伴う債務の移転について債

   権者の個別の同意を得なければならない等手続が煩瑣であったため、こうした

   分社化を円滑に行うことができるようにすることを目的に、平成12年の商法改

   正により会社分割制度が創設された。これによって、株主総会等による分割計

   画書等の承認及びそれに付随する手続によって営業を他の会社に承継させるこ

   とが可能となり、迅速な対応が可能になった。



  

  (2)企業組織再編を支援する制度



    我が国の企業の成長分野の創出を支援するとともに、企業に経営資源の効率

   的な活用を通じた生産性の向上を促進するための法律として、平成11年8月に、

   産業活力再生特別措置法が成立した。この法律には、認定された事業再構築計

   画に基づく営業譲渡等の手続に関して、商法上の手続の簡素化及び税制面・金

   融面での優遇措置に係る規定が盛り込まれている。



    また、税制面については、合併、現物出資などの既存の組織再編税制につい

   て、戦略的な企業組織再編を促進する観点から、企業組織再編税制の導入を内

   容とする法人税法の一部改正法が行われ、平成13年4月より施行されている。

   この制度により、合併、会社分割等に際して従来課税されていた資産の移転、

   株式の譲渡等が、一定の要件を満たすこと(適格組織再編成)により非課税で

   行うことができるようになった。

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