I はじめに



  第147回国会における商法等の一部改正により会社分割制度が創設されたことに

 併せて、会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(以下「労働契約承継

 法」という。)が制定され、同法及びそれに基づく指針により、会社の分割に伴う

 労働契約の承継等を含めた労働者の保護に関する所要の措置が講じられた。



  この労働契約承継法の国会審議においては、会社分割制度以外の企業組織再編、

 特に営業譲渡の際に労働契約の承継に係る特段の措置が講じられていないことにつ

 いて労働者の保護に欠けるとの指摘がなされ、また、労働契約承継法案の衆・参両

 議院の委員会採決の際に、「合併・営業譲渡をはじめ企業組織の再編に伴う労働者

 の保護に関する諸問題については、学識経験者を中心とする検討の場を設け、速や

 かに結論を得た後、立法上の措置を含めその対応の在り方について十分に検討を深

 めること。」との附帯決議がなされた。



  このような状況を受けて、本研究会は、厚生労働省政策統括官(労働)の委嘱に

 より、平成13年2月以来、企業組織の再編に伴う労働関係上の諸問題について、特

 に営業譲渡を中心に、立法上の措置の要否を含めて、専門的見地から調査研究を行

 ってきた。



  本研究会では、約1年半の間全14回にわたり、企業組織再編に伴う労働関係上の

 諸問題について、労使団体からのヒアリング、営業譲渡当事者からのヒアリング、

 海外調査等を重ねるなど実態の把握に努めるとともに、学説、判例等の検討を行い、

 このたび、企業組織の再編に伴う労働関係上の諸問題に関する専門的な検討結果を

 取りまとめた。

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