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4 今後検討すべき論点



 (2)残された課題



   本研究会では、社会保障の負担という観点からの検討を行ったが、時間等の関

  係からなお検討し切れなかったものがあった。また、社会保障の制度横断的検討

  の観点から今後検討すべき問題については以下のものがある。



 

  (1)支え手を増やす



   ・負担の問題を考える場合には、社会保障負担の担い手を確保することが最も

    抜本的な方策である。また、負担の担い手になれるよう必要な支援を行うこ

    とこそが社会保障の本来の役割でもある。こうした観点から、まだ十分能力

    が活用されているとは言えない高齢者や女性の就労の促進や、安心して健や

    かに子どもを産み育てることができる環境づくり等少子化対策の推進、社会

    的に援護を要する人々の自立支援策(ソーシャル・インクルージョン)、障

    害者の社会参加、能力開発や教育などすぐれた支え手の育成、健康寿命の延

    伸などについて、社会保障の在り方の一環として検討すべきである。



 

  (2)給付の在り方



   ・研究会では、各制度毎に内容の異なる給付と比較すれば、制度横断的な検討

    になじみやすい、負担からのアプローチを行ったが、本来、社会保障負担の

    問題は、給付の在り方とセットでなければ十分な検討ができないことはもち

    ろんである。その意味で、各制度毎の給付の在り方の検討に踏み込まなかっ

    た本研究会の検討には限界がある。特に、国民経済や家計における負担の上

    限の問題など、負担の水準の問題については、給付の在り方と同時に検討が

    必要であり、十分な議論ができなかった。今後、各制度毎の給付の在り方と

    合わせた検討が必要である。



 

  (3)労働保険や生活保護との関係



   ・本研究会では、社会保障負担について医療・年金・介護の各社会保険を中心

    に議論したが、制度の整合性や総合的な負担水準を考えるためには、労働保

    険も含めて検討する必要がある。また、社会保険と税の役割分担の観点から

    も、生活保護制度の在り方についての検討を進める必要がある。



 

  (4)年金財政の問題



   ・少子高齢化の進行する中で世代間の負担の在り方を検討する場合、その規模

    と長期性から年金財政の問題がもっとも大きい。特に、次期年金制度改正に

    向けての議論の中で、積立方式と賦課方式のバランスを含む保険料の引き上

    げ方法の問題や、過去債務の問題などについて、基本的な方向の整理を行っ

    ていくことが期待される。

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