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2 能力に応じた公平な負担の賦課の在り方について



 (5)その他公平な負担のために



  

  (1)徴収



   ・きちんと社会保険料の徴収が行われていないとの不満がある。公平で納得の

    いく負担のためには、単に社会保障の制度体系だけでなく、負担の徴収の実

    務も公平で効率的に運営されなければならない。法に定められた滞納処分を

    行うなど国民年金の未納・未加入対策の一層の推進とともに、社会保険と労

    働保険との徴収一元化等の推進により、一層の効率化を図るべきである。



   ・なお、社会保険料徴収の効率性は税と比べてさほど遜色はなく(国民年金の

    第一号被保険者でも収納率は70%台半ばで所得税の普通徴収とほぼ同じ)、

    拠出と給付に明確な関係がある社会保険料の徴収は税よりも理解を得やすい

    ことから、社会保険と税の徴収を一元化すれば徴収率が高まるとは必ずしも

    言えないことに注意する必要がある。



  

  (2)情報提供



   ・国民が公平さを納得しながら負担をするためには、個人に対し社会保障の給

    付と負担に関する情報がわかりやすく提供されていることが必要である。社

    会保険事務所等において年金について個人が負担した額と給付されるべき額

    に関する情報を提供することを推進するとともに、社会保障番号を活用して

    いつでも照会に応じて情報が得られるようなネットワークを構築するべきで

    ある。社会保険庁などから、定期的に加入記録と予想される将来年金額等を

    通知する仕組みを導入することが望ましいという意見もあった。



   ・なお、医療・介護はリスクに共同で対応する仕組みであり、負担と給付に関

    する個人単位の会計収支を情報提供することは、適当でない。したがって、

    年金・医療・介護等を合わせた社会保障に関する全ての負担と給付に関する

    個人単位の会計収支を情報提供することは、不適当である。社会保障に対す

    る理解を得られるように、社会保障制度が想定する負担と給付を、生涯を通

    じた標準的な形で情報提供することが基本であろう。



   ・社会保障は制度に対する貢献に応じて給付されるものであるという観点から、

    保険料の拠出のみならず制度に対する参加を進めることも重要である。被保

    険者からの発言など制度に対する参加の方法を明確にすることが必要である。

    このことは、制度に対する理解を深めることにつながるものと期待される。

    社会保障政策に関する政治的意思決定の有り方も問題になろう。



  

  (3)社会保障番号



   ・国民が社会保障の給付と負担に関する情報を知ったり、権利と義務を確認し

    たりするとともに、金融資産や自営業者の取引を把握し、負担能力に応じた

    公平な負担を求めるためには、プライバシーの問題に配慮しつつ、医療・年

    金・福祉など制度横断的に利用できる社会保障番号制度を導入し、活用する

    ことが必要である。



   ・社会保障番号制度の導入にあたっては、国民の負担増やプライバシー把握の

    ためではなく、社会保障を受ける権利の保障と行政効率の向上による社会保

    障負担減のためのものであることにつき、国民の理解を得ながら進めていく

    ことが必要である。また、現在、基礎年金番号、住民基本台帳番号、納税者

    番号等さまざまな番号制度が施行・検討されているが、国民の負担軽減と行

    政効率の点から、社会保障番号が導入された場合には、多目的に活用される

    ようになることが望ましい。

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