2 能力に応じた公平な負担の賦課の在り方について (4)事業主負担 ・現在、被用者保険の社会保険料については、原則として労使折半となってお り、健康保険組合においては平均的に事業主のほうが若干多く負担している。 事業主負担の意味としては、賃金の支払いの一部、健康増進や疾病の治療に よる早期の職場復帰を通じての事業主の利益(医療保険の場合)、高齢者の 退職促進や人材確保による事業主の利益(年金の場合)などの説明がされて きている。 ・社会保険料の事業主負担については、価格に転嫁され消費者が実質的に負担 しているという考え方や、賃金として受け取れない分労働者が実質的に負担 しているという考え方、企業が実質的に負担しているという考え方があるが、 このような最終的な帰着の問題とは別に、規範的な責任の意味で誰が社会保 障負担を負うべきかという問題がある。 ・そのように考えると、事業主も社会保障制度の利益を有するという意味で保 険料負担の責任があり、消費目的税でこれを肩代わりさせることは、事業主 の責任から見て認められないことになる。また、一部について事業主の責任 を重く認め、例えば、ヨーロッパ諸国の例にあるように、低賃金労働者等に ついて労使の負担の比重を変え、事業主負担を折半より高くする可能性など が検討されてよい。ただし、事業主が事業主負担も労働コストと認識して雇 用を決めていると、事業主負担を高くした分だけ賃金が低下して、低賃金労 働者の負担軽減にはならないという意見もあった。 ・なお、法人の外形標準課税の議論があるが、社会保険料の事業主負担は、賃 金を外形標準とするものとして外形標準課税をすでに実現しているというこ ともできる。