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1 公平な負担のための社会保障制度の構造の在り方について



 (1)社会保険と税



  (3)財源の確保(国庫負担割合の引上げ等)



   ・現行の制度設計を前提とすると、当面、高齢化等に伴う社会保障給付の増大

    を賄う税財源の確保が必要である。基礎年金の国庫負担割合の引上げや、高

    齢者医療や介護などに要する国庫負担の増が求められている。



   ・国庫負担割合の引上げに関しては、税財源の割合を増やし社会保険料の引き

    下げ(社会保険財源の減)を行うこと自体では、社会保険料負担と税財源を

    合わせて見た場合の国民負担は変わらないことに注意する必要がある。財源

    調達における社会保険と税の役割分担や、給付と負担の牽連性(給付が負担

    の対価的性格を持つこと)など社会保険料に対しては国民の理解が得やすい

    ことなどを考慮して、社会保険料の引上げと増大する国庫負担の確保を適切

    な組み合わせで行っていく必要がある。



   ・前に述べた社会保険方式への税財源投入の理由に沿って考えると、ア・地域

    保険など財政力の弱い保険者が増えていること、イ・保険料の引き上げによ

    り相対的に低所得で負担能力の低い者が増えていること、ウ・社会保険料の

    引き上げや被用者保険加入者の増による社会保障費全体に占める公費負担比

    率の低下や、税による再分配の程度(ジニ係数)の低下が見られ、税による

    負担賦課ベースの拡大が求められていることなどから、社会保険料の適切な

    引き上げが必要であることはもちろんであるが、同時に国庫負担割合の引き

    上げが求められている状況にある。



   ・社会保障負担における国庫負担割合としては、平成12年以来の与党3党合

    意で、2005年を目途に年金、介護、高齢者医療に必要な財源の概ね2分

    の1を公費負担とするとされるなど、2分の1がメルクマールになるとされ

    ている。こうした観点から、現在、基礎年金・高齢者医療・介護に要する費

    用の42.5%が税財源であり、平成12年年金改正法附則で約束されているこ

    とも踏まえると、当面、基礎年金に係る国庫負担の3分の1から2分の1へ

    の引上げが大きな課題である。なお、前に述べた社会保険方式への税財源投

    入の理由のア・イを踏まえ、全ての基礎年金給付に対し国庫負担割合を2分

    の1に引き上げるのではなく、低所得者等に重点的に投入する考えもあると

    の意見があった。一方、この考え方に対しては、低所得者以外には国庫負担

    が行われずその分保険料が高くなり、またそれが年々変化するといった不安

    定な運営をもたらすといった意見もあった。



   ・国庫負担割合の引き上げなど増大する国庫負担の財源確保のためには、諸外

    国に比べ所得課税の比重の高い我が国の現在の税収構造を踏まえると、理解

    の得やすさや経済への中立性、所得税よりも広く比例税率で薄く課税するこ

    となどから、社会保障に投入する財源として、当面、消費税を引き上げるこ

    とで増税に理解を求めることが適当であるという意見が多かった。

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