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別紙





         ワークシェアリングについての基本的な考え方



[ワークシェアリングの取り組みに関する5原則]



 1.ワークシェアリングとは、雇用の維持・創出を目的として労働時間の短縮を行

  うものである。我が国の現状においては、多様就業型ワークシェアリングの環境

  整備に早期に取り組むことが適当であり、また、現下の厳しい雇用情勢に対応し

  た当面の措置として緊急対応型ワークシェアリングに緊急に取り組むことが選択

  肢の一つである。



 2.ワークシェアリングについては、個々の企業において実施する場合は、労使の

  自主的な判断と合意により行われるべきものであり、労使は、生産性の維持・向

  上に努めつつ、具体的な実施方法等について十分協議を尽くすことが必要である。



 3.政府、日本経営者団体連盟及び日本労働組合総連合会は、多様就業型ワークシ

  ェアリングの推進が働き方やライフスタイルの見直しにつながる重要な契機とな

  るとの認識の下、そのための環境づくりに積極的に取り組んでいくものとする。



 4.多様就業型ワークシェアリングの推進に際しては、労使は、働き方に見合った

  公正な処遇、賃金・人事制度の検討・見直し等多様な働き方の環境整備に努める。



 5.緊急対応型ワークシェアリングの実施に際しては、経営者は、雇用の維持に努

  め、労働者は、所定労働時間の短縮とそれに伴う収入の取り扱いについて柔軟に

  対応するよう努める。





I.速やかに取り組むべきワークシェアリングの形



(1)ワークシェアリングとは、雇用の維持・創出を図ることを目的として労働時間

  の短縮を行うものであり、雇用・賃金・労働時間の適切な配分を目指すものであ

  る。



(2)我が国の経済社会の現状においては、雇用の維持・創出が強く求められる一方、

  生産性の向上が必要とされており、ワークシェアリングについても、これに資す

  る形で実施することが必要である。

   また、ワークシェアリングは、個々の企業における労使の自主的な判断と合意

  により実施されることが必要である。



(3)こうした観点から、我が国では、多様な働き方の選択肢を拡大する多様就業型

  ワークシェアリングの環境整備に早期に取り組むことが適当である。

  また、当面の厳しい雇用情勢に対応するため、緊急対応型ワークシェアリングに

  ついて緊急的な取り組みを行うことが選択肢の一つである。







II.多様就業型ワークシェアリングのあり方



 1.基本的考え方



  (1)労働者の働き方には様々な形態がありうるが、個々の企業の労使がワーク

    シェアリングの手法を活用して多様な働き方を適切に選択できるようにする

    ことは、我が国の経済社会の現状において、次のような効果を有していると

    考えられる。



    (1) 国民の価値観の多様化や仕事と家庭・余暇の両立などのニーズに対応

     し、働き方やライフスタイルを見直すことができる。



    (2) 経済のグローバル化、産業構造の変化等に対応し、企業による多様な

     雇用形態の活用を容易にすることにより、経営効率の向上を図ることがで

     きる。



    (3) 少子高齢化の進展や就業意識の多様化等に対応し、女性や高齢者を含

      む労働者の働き方に対する希望に応え、その能力を十分発揮させること

      により、生産性の向上を図ることができるとともに、少子高齢社会にお

      ける支え手を増加させることができる。



    (4) 労働者と企業の多様なニーズに応え、労働力需給のミスマッチを縮小

      することができる。





  (2)労働者がその能力を十分発揮できるようにし、企業の活力を高めていくた

    めには、多様な働き方が適切な選択肢として位置づけられることが必要であ

    る。

     そのため、個々の企業において、従来の雇用慣行や制度の検討・見直しに

    取り組み、多様な働き方のための環境整備を進めていくことが必要である。





 2.実施に当たっての留意事項



  個々の企業においては、労使の自主的な判断と合意により、次のとおり、多様な

 働き方を実現するための環境づくりを進めることが望ましい。



   (1) 正社員の短時間勤務や隔日勤務など多様な働き方の実現に向けての環境

     整備を図るため、賃金・人事制度に関し、職務の明確化、時間当たり賃金

     の考え方等について検討を行うこと。



   (2) 多様な働き方及び成果に見合った公正な処遇を図ること。また、使用者

     は、その処遇について十分な説明を行うこと。



   (3) 職務の性格に応じて短時間勤務等を実施する場合には、仕事の仕方の見

     直しを行うとともに、労働時間管理の適正化を図ること。



   (4) 多様な働き方に見合った企業内教育訓練や自己啓発の支援を行い、労働

     者の職業能力の向上を図ること。





 3.政府の取り組み



  (1)多様就業型ワークシェアリングの環境整備を社会全体で進めるため、短時

    間労働者等の働き方に見合った公正・均衡処遇のあり方及びその推進方策に

    ついて、引き続き検討を行う。



  (2)また、短時間労働者に対する社会保険適用のあり方については、平成16

    年に行われる次期年金制度改正に向け、厚生年金保険の適用拡大について引

    き続き検討を行う。医療保険についても、検討を行う。







III.緊急対応型ワークシェアリングのあり方



 1.基本的考え方



  (1)現在、景気は悪化を続け、生産量や売上げが減少している企業では雇用過

    剰感に直面している。今後、不良債権処理など構造改革が進む中で、個々の

    企業が雇用削減を続ければ、雇用情勢は更に厳しさを増し、社会不安をも招

    きかねず、景気に更なる悪影響を及ぼすことが懸念される。こうした観点か

    ら、失業者の発生をできるだけ抑制するための緊急的な対応が必要である。



  (2)このため、今後2〜3年程度の間、個々の企業において一時的な生産量等

    の減少に伴い余剰人員が発生した場合、当面の緊急的な措置として、労使の

    合意により、生産性の維持・向上を図りつつ、雇用を維持するため、所定労

    働時間の短縮とそれに伴う収入の減額を行う緊急対応型ワークシェアリング

    を実施することが選択肢の一つとして考えられる。



  (3)緊急対応型ワークシェアリングは、個々の企業において従来から行われて

    きた雇用調整措置とは異なる新たな雇用調整の手段として位置づけられるも

    のである。また、その実施のタイミング、実施期間、対象範囲等については、

    個々の企業の実情に応じて判断されるべきものである。





 2.実施に当たっての留意事項



  (1)緊急対応型ワークシェアリングの実施に当たっては、個々の企業の労使間

    で、次の点について十分に協議し、合意を得ることが必要である。



   (1) 実施及び終了の基準、実施する期間



   (2) 実施する対象範囲(部門、職種等)



   (3) 所定労働時間の短縮の幅と方法(1日当たり労働時間短縮、稼動日数削

     減等)



   (4) 所定労働時間の短縮に伴う収入(月給、賞与、退職金等)の取り扱い

    (注)時間当たり賃金は、減少させないものとする。





  (2)労使の納得と合意が得られた場合には、労使間の合意内容について、協定

    を締結するなど明確化することが必要である。



  (3)緊急対応型ワークシェアリングの実施に先立ち、労働時間管理を徹底し、

    残業の縮減に取り組むことが必要である。



  (4)緊急対応型ワークシェアリングを実施する場合であっても、労使は、生産

    性向上やコスト削減など経営基盤の強化及び新事業展開の努力を行うことが

    必要である。





 3.政府の取り組み



   緊急対応型ワークシェアリングに対する政府の財政的支援について は、公平

  性の観点等にも配慮しつつ、今後2〜3年間程度行われる新たな雇用調整の手段

  であるという観点に立って、具体的な支援方策について、引き続き検討を行う。







IV.政労使合意の周知等



  (1)政府、日本経営者団体連盟及び日本労働組合総連合会は、この「ワークシ

    ェアリングについての基本的な考え方」を個々の企業の労使に周知するもの

    とする。



  (2)日本経営者団体連盟及び日本労働組合総連合会は、個々の企業の労使に対

    し、多様な働き方の実現に向けての環境整備に積極的に取り組むとともに、

    緊急対応型ワークシェアリングを実施する場合には適切に行うよう、働きか

    けを行うものとする。







V.その他の事項



  (1)政府、日本経営者団体連盟及び日本労働組合総連合会は、この「ワークシ

    ェアリングについての基本的な考え方」で検討を行うこととされた事項その

    他のワークシェアリングに関連する事項について、引き続きこの会議におい

    て検討を行うものとする。



  (2)政府は、厳しい雇用情勢に対応し、総合雇用対策等各般の施策に基づき、

    引き続き次の取り組みを推進するものとする。



    (1) 新市場・新産業の育成による雇用創出



    (2) 労働市場の整備

     ・多様な働き方に関する労働法制の見直しの検討

     ・労働力需給調整システム、職業訓練システム等の整備



    (3) セーフティネットの整備

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