II 調査結果の概要 【調査結果の概要】 1 職場における不安・不満等の有無について 回答のあったもののうち、労働条件や処遇あるいは職場環境等について、なんら かの不安や不満等をもっている労働者は全体の90.9%、従業員や組合から改善を求 められたり不満を訴えられている事業主は全体の90.0%となっている。また、不 安・不満等の対象に関しては、労働者、事業主ともに労働条件に係るものが最も多 く(労働者の87.6%、事業主の85.0%が回答)、次いで職場環境に係るもの(労働 者の39.9%、事業主の49.8%が回答)となっている。 第1図※ 図表上の数値は、不安・不満等の対象の具体的中身(下記参照)に関し、一つで も該当するものがあるとして、回答があったものの割合である。 ○労働条件:<1>賃金、<2>労働時間、<3>雇用期間、<4>有給休暇、<5>解雇・早期退職、 <6>出向・転籍・転勤、<7>危険有害な就業環境、<8>仕事の配分、仕事量、 <9>査定評価の仕組み・基準、<10>昇給・昇格、<11>教育訓練、 <12>福利厚生、<13>その他労働条件に関すること ○女性問題:<1>男女差別、<2>セクシュアルハラスメント、<3>育児・介護休業の取得、 <4>妊娠・出産・保育への配慮、<5>その他女性問題に関すること ◯雇用問題:<1>採用手続、<2>求人条件と実際、<3>定年退職に関すること、 <4>その他雇用問題に関すること ◯職場のルール:<1>同業他社への就業等の禁止、<2>情報の漏洩、 <3>アルバイト等の禁止、<4>合併・営業譲渡・分社化時の身分保障 <5>その他職場のルールに関すること ◯職場環境:<1>職場内の人間関係、<2>職場内のいじめ、嫌がらせ、 <3>その他職場環境に関すること 2 職場に対して疑問や不満・不安があるときの対処方法について 回答のあったもののうち、労働者にあっては、職場において不安・不満がある場 合の最初の対処方法について、全体の61.5%が「上司・先輩に相談する」としてい る。 また、事業主にあっては、職場における問題につき労働者との意見が対立した場 合の最初の対処方法について、全体の45.3%が「直属上司と当事者が話し合う」、 31.4%が「複数の管理者による対応を行う」旨回答しており、労使いずれにあって も、まずは、職場内において問題の解決を図ろうとする傾向が伺える。また、企業 規模別にみた場合、規模の大きい企業の労働者ほど、よりその傾向が強くなること が見受けられる。(別添附属表(労働者)第2表参照) (1)労働者の対処方法について(第2−1図)
(2) 事業主の対処方法について(第2−2図)
3 労働基準監督署等への相談意向等について 回答のあったもののうち、職場における問題点について職場内では解決策が見つ からない場合にあって、労働基準監督署、ハローワーク、雇用均等室へ相談したい とする労働者は全体の72.1%、事業主は全体の84.8%となっている。 また、企業規模別にみた場合、労働者、事業主とともに、規模の小さい企業ほど、 より相談意向の高い傾向が見受けられる。(別添附属表(労働者)第3−1表、 (事業主)第3−1表参照) なお、労働基準監督署等への相談意向がない旨回答があったもの(労働者にあっ ては全体の26.1%、事業主は全体の12.3%)のうち、その代替となる対処方法につ いて、労働者にあっては全体の82.7%が「特になにもしない」旨回答している。ま た、事業主にあっては全体の55.8%が「外部の専門家に相談する」旨回答しており、 企業規模別にみた場合、規模の小さい企業ほど、その傾向が顕著であることが見受 けられる。(別添附属表(事業主)第3−2表参照) さらに、また、回答のあったもののうち、労働基準監督署に相談を行いやすくす るための条件として、労働者にあっては全体の58.6%が「勤務時間外に相談を受け 付けてくれること」、52.3%が「素早く対応してくれること」を、事業主にあって は全体の59.1%が「素早く対応してくれること」、全体の43.2%が「どんなことで も1箇所で対応してくれること」を挙げている。 (1)労働基準監督署等への相談意向について(第3−1図)
※ 労働基準監督署等へ相談しない場合の対処方針について(第3−2図)
(2)労働基準監督署等へ相談を行いやすくするための条件について(第3−3図)
4 総合労働相談窓口への相談意向について 回答のあったもののうち、労働者と会社との間にトラブルが生じた場合において、 労働行政機関による総合的労働相談窓口(あらゆる労働問題について相談に応じ、 問題点や解決方法・機関等について情報提供を行う窓口)を利用したい意向をもつ 労働者は全体の90.0%、事業主は全体の93.8%となっている。また、企業規模別に みた場合、労働者、事業主ともに規模が小さい企業であるほど、より相談意向の高 い傾向が見受けられる。(別添附属表(労働者)第4表、(事業主)第4表参照) 第4図
5 裁判所への訴訟提起、民事調停申立の意向について 回答のあったもののうち、労働者と会社との間にトラブルが生じた場合において、 民事訴訟の提起を考えるとした労働者は、全体の15.3%、事業主は全体の17.1%と なっている。また、同様の場合に民事調停申立を考えるとした労働者は全体の19.0 %、事業主は全体の22.6%となっている。 なお、企業規模別にみた場合、規模の小さい企業の労働者ほど、訴訟提起及び民 事調停申立に係る意向が低くなっている傾向が見受けられる。 (別添附属表(労働者)第5−1表、(事業主)第5−3表参照) また「訴訟を考えない」としたもののうち、その理由として、労働者は全体の 59.0%が「費用がかかる」、57.3%が「馴染みがなく抵抗がある」ことを、事業主 は全体の49.8%が「時間がかかる」ことを挙げており、「民事調停を考えない」と したもののうち、その理由として、労働者は全体の62.2%が「馴染みがなく抵抗が ある」ことを、事業主は全体の50.1%が同じく「馴染みがなく抵抗がある」ことを 挙げている。 (1)裁判所への訴訟提起に係る意向(第5図)
※ 訴訟の提起を考えない理由について(第5−2図)
(2)民事調停申立に係る意向(第5−3図)
※ 民事調停の申立を考えない理由について(第5−4図)
6 期待される紛争解決方法について 回答のあったもののうち、労働者と会社との間にトラブルが生じた場合に期待さ れる解決方法について、労働者は全体の25.9%が「あっせん」による解決を、33.7 %が「調停」による解決を、また事業主は全体の22.1%が「あっせん」による解決 を、21.4%が「調停」による解決を希望している。 第6図
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