4.特定テーマ分析 (1)取引関係の変化と人材問題 現在の厳しい環境の中で売上を伸ばしている企業は、不況期では早々に事業再 構築に取り組み研究開発に力を入れた企業であり、現場の技能者レベルでは高度 な技術的知識を身につけたテクノワーカーの割合を高めた企業である。世界をリ ードできる製造業の位置を維持していくには、絶えざるイノベーションを支える 高度な人材の養成と蓄積の手をゆるめてはならない。 売上高伸び別にみた、この3年間に取り組んだ事業再構築 (単位:%)売上高伸び別にみた、近く取り組む予定の事業再構築 (単位:%)
被説明変数:売上高・出荷額の伸び
(2)集積地域における中小製造業のIT戦略と人材ニーズ 集積地域のなかで、営業力や技術力を背景に高付加価値分野にシフトしながら、 成長を続けている勝ち組企業群と技術革新等に遅れ気味で守りの経営に陥ってし まっている企業群、つまり、受注の低迷に悩んでいる企業群との二極化が一層加 速されつつある。 インターネットの活用状況(複数回答)
CAD/CAMの活用状況(複数回答) (単位:%)
(3)ものづくり人材の育成と確保−企業と地域における取り組み 企業の人材育成や熟練技能確保に生じている問題は、製造業集積地域において は地域全体の将来を左右する重要かつ深刻な問題として現われる。現状の地域に おける人材育成の取り組みは活発とは言い難い。その背景には、集積地域が各企 業にとって有効な企業間交流の場として機能していないという点に加え、人材育 成は地域における企業間交流によるものではなく企業の自主的な取り組みによる ものであるという企業関係者における根強い通念が存在していると推測される。 地域におけるネットワーク活動への参加 (複数回答、%)
(4)技能者類型による分析 テクノワーカー型企業では「成長中」「安定している」とする企業が多く比較 的好調と推測されるのに対し、高度熟練技能者型企業や多能工型企業では「かな り悪化している」とする企業の割合が高い。 「3年前と比べた売上高の伸び」と技能的企業類型 (単位:%)