表2 キャリア・コンサルタント養成に係るモデルカリキュラム 「キャリア・コンサルティング実施のために必要な能力体系」を習得するため、ど のような教育を受けていることが望ましいか、養成カリキュラムの一例を以下に示す。
分野 | 細目 | 目標訓練時間 | 講義 | 演習 |
I キャリ ア・コンサ ルティング の社会的意 義に関する 知識 |
計11時間程度 | (H) | (H) | |
1 社会・経済的動向とキャリア形成支援の必要性 | 3時間以上 | 3 | ||
2 キャリア・コンサルティングの役割と位置付け | 3時間以上 | 3 | ||
3 キャリア・コンサルティングの任務の範囲 | 3時間以上 | 3 | ||
II キャリ ア・コンサ ルティング を行うため の基本的知 識・スキル |
計36時間程度 | |||
1 基本的知識 | 9時間以上 | 9 | ||
2 基本的スキル | 25時間以上 | 7 | 15 | |
(うち講義を7時間以上、演習を15時間以上含む) ↑ ↑ | ||||
III キャ リア・コン サルティン グの実施過 程において 必要なスキ ル |
計42時間程度 | |||
1 相談場面の設定 | 1時間以上 | 1 | 20 | |
2 「自己理解」支援 | 1時間以上 | 1 | ||
3 「仕事理解」支援 | 1時間以上 | 1 | ||
4 「啓発的経験」支援 | 1時間以上 | 1 | ||
5 「意思決定」支援 | 1時間以上 | 1 | ||
6 「方策の実行」支援 | 1時間以上 | 1 | ||
7 「新たな仕事への適応」支援 | 1時間以上 | 1 | ||
8 相談過程の総括 | 1時間以上 | 1 | ||
(1〜8までの演習を20時間以上含む) ↑ | ||||
IV キャリ ア・コンサ ルティング の効果的な 実施に係る 能力 |
計11時間程度 | 3 | ||
1 キャリア形成の重要性の社会への普及 | 2時間以上 | 2 | ||
2 ネットワークの認識 | 2時間以上 | 2 | ||
3 自己研鑽・スーパービジョン | 2時間以上 | 2 | ||
(1〜3までの演習を3時間以上含む) ↑ | ||||
その他 | I〜IV又はそれ以外のキャリア・コンサルティング に関連する知識・スキル |
計20時間程度 | ||
訓練時間合計 120 時間程度 |
(1) 表の補足説明 1) 「分野」欄 「分野」欄のI〜IV及び「細目」欄は、「キャリア・コンサルティング実施に 必要な能力体系」に相当するものである。 「その他」では、各教育訓練機関ごとに特徴ある教育訓練を実施することが期 待される。具体的には、想定されるキャリア・コンサルティングの場に固有の知 識・スキルについて訓練を行うことや、I〜IVの一部あるいは全分野について、 さらに時間をかけて訓練することなどが考えられる。((2)参照。) 2) 「目標訓練時間」欄 「目標訓練時間」欄においては、「分野」ごとの目標訓練時間と「細目」ごと の最低訓練時間の目安を示している。 3) 「講義」「演習」欄 訓練方法として、講義によるものと演習によるものが考えられるが、細目ごと に望まれる訓練方法を、最低訓練時間により示している。 (2) 想定レベル このカリキュラムは、キャリア・コンサルタントとして標準的なレベルを想定 したものである。 キャリア・コンサルティングが行われる「場」(例えば、企業内、需給調整機 関、能力開発機関等)により、その「場」ごとに必要とされる固有能力と、あら ゆる場所に共通する能力に分けられると考えられるが、このカリキュラムはあら ゆる場に共通する能力の習得を想定したものである。 したがって、キャリア・コンサルティングが行われる場に固有の知識・スキル の教育訓練を組み込むなど、カリキュラムを再編成することも考えられる。例え ば、企業内の人事労務管理・教育・能力開発担当者を受講対象者と想定した場合 は、キャリア・コンサルティング制度を社内に導入した事例やその効果、ノウハ ウについて、講義や演習を行うことなどが考えられる。 また、教育訓練機関がそれぞれの理念(各教育訓練機関が目標とするもの)に 基づき、特徴を持った独自の訓練カリキュラムを付加することも考えられる。 (3) 訓練方法 基本的に、知識については講義で、スキルについては基本的な知識を講義でお さえた上で、演習で実践的な訓練を行うことが望ましい。 通信制による訓練も考えられるが、基礎知識の習得程度にとどめ、スクーリン グ(通学)と併せて行う必要がある。通信制により訓練を行う分野については、 受講期間の期限を設定すること、習得の確認を行うこと、受講生からの質問等を 受ける機会及び回答できる体制を有すること等、受講の効果を担保するための措 置を講ずることが求められる。 (4) 習得度の確認 分野ごとに、確認テストやレポート提出を行うなど、習得度を確認するための 手段を講じることが望ましい。そのためにかかった時間を訓練時間に換算しても よいものと考える。 (5) 講師 担当する分野において、知識・スキル及び実務経験がある者、教育の経験があ る者が教授することが必要である。 演習においては、指導教授を補佐する人員を配置することが望ましい。 (6) 受講者数 講義においては、受講生を30人程度とすることが望ましい。 演習においては、受講生は20人程度とすることが望ましい。また、指導者1人 のほか、補助者が2〜3人程度つくことが望ましい。