6 法的問題点





   ○労働上の諸問題、とりわけ、激しい環境変化に対応するためには、個人の財

    産である職業経験による能力の蓄積に着目し、その能力蓄積の展開、すなわ

    ち、職業キャリアを保障することが一つの法理(キャリア権)として考えら

    れる。



   ○例えば、労働移動が活発化する中で、今後、長い職業人生の中で、必ず職務

    転換や転職・転社を経験せざるを得なくなるが、そうした場合においても、

    人々の職業キャリアが中断したり、ロスを生ずることなく、円滑に発展させ

    る必要がある。さもないと、個々の労働者は勿論、使用者、さらには、社会

    全体も、職業能力の低下と人的資本の枯渇に直面することになりかねない。



   ○こうした観点から、個々人の職業キャリアの準備・形成・発展を保障してい

    くことは、個々人にとって一社の雇用保障を超えて、広い意味での雇用可能

    性(エンプロイアビリティ)を高めるとともに、企業や社会が経済社会環境

    の変化に対応し、発展する上で重要な意味をもつものと考えられる。

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