5 労働市場の構築 (2)労働市場形成促進のための方策(能力の見える社会へ向けて) ○労働市場を機能させていくためには、とりわけ、その枠組みとして、能力評 価制度が重要であり、能力評価制度が企業内外を通じて、労働者の能力を計 る基準として、通用するようになると、本格的な横断市場の形成につながる。 ○内外の労働市場において、共通用語で、能力を表現し、それを開示し合って いくことが必要。 ○また、こうした共通用語ができればそれをもとに(1)企業内において、ポス トの能力要件、求人の能力要件、能力開発目標やキャリアルートを明確にし、 開示する。(2)需給調整機関において、この共通用語を用いた求人・求職の 能力要件の明確化が可能になる。(3)能力開発機関において、能力開発の出 来上がり像や教育訓練内容を明らかにし、開示する等、それぞれの関係者に おいて能力要件明確化・開示運動を徹底していくことが望まれる。 ○加えて、労働者側についても。キャリア・コンサルティングや職業相談を行 う際に、キャリアシート等をもとに、個人の職務経歴、実績や能力開発内容 等を共通用語記録することができれば、それが、能力パスポートとして、企 業内外の相談、処遇、キャリア形成の基礎とすることができる。 (3)民間団体等の役割 ○労働市場の枠組みをつくるために、官のイニシアティヴが不可欠であるが、 能力評価システムや職業情報システムは、技術革新やサービスニーズの変化 に即応して更新されなければならない。そのためには、これらのシステムの 運営については、現場の状況を把握できる業界団体や職能団体等の民間団体 の役割が大きい。 ○また、民間需給調整機関が、ILO181号条約(民間職業仲介事業所条 約)に反しない範囲で、労働者から手数料をとりつつ、労働者のエージェン トとして活動することができれば、こうした労働者のキャリア形成という観 点からも、労働市場の形成に潤滑油的な役割を果たすことができよう。