2 世代別のキャリアのあり方 (1)若年層のキャリア ○近年、若年無業者・失業者の急増、フリーターの増加、若年者の就業後の早 期離職の増加等が生じており、若年者のキャリア形成上大きな問題。 ○このため、学校教育の早い段階から生の職業に触れる機会の付与、フリータ ーのキャリア意識を高めるためのグループカウンセリング、企業が求める人 材情報の学校や学生への開示、多様な良好な就業機会の整備等を行うことが 必要。企業の若年キャリアに係る役割も重要であり、インターンシップの実 施や今後は教育への進出も期待される。 ○また、若年者の新たなキャリアの可能性として、ベンチャー企業やSOHO 等の起業も視野に入れ、そのための条件整備や教育の在り方を考えていくこ とも重要。 (2)壮年層のキャリア ○職業生活が大きな変化に見舞われる中で、個人が自立して適切に自らのキャ リアを形成するためには、一定期間ごとにキャリアを棚卸ししつつ、今後の 在り方を考えたり、勉強したりする機会を職業生涯の中に組み入れていくこ とが益々必要。 ○自己啓発を行うための時間の確保の困難さや金銭面の問題、情報の少なさ、 特に、企業の求める人材要件や能力を修得した後の処遇が明確でないこと等 が、自己投資として能力開発に向かうことを躊躇させている。 ○今後、社会人が高度な教育を受けられるようにするためには、企業側の送出 しや受入れ体制の確立、大学院等修了による専門的能力についての社会的な 格付けの確立、大学側のカリキュラムの質の保障や社会人向けを含めた奨学 金制度の整備等が必要。 ○近年の企業間競争の激化や急速な技術革新の進展、顧客ニーズの変化により 壮年層の雇用やキャリアも不安定化し、絶えざる変化にさらされる。労働者 個人として、キャリアを自分の知的財産として捉え、常に磨き、足りないも のを補うような意識が必要であり、企業や社会も、個人の「失敗」を許容し 「敗者復活」等を容認する環境を作る必要。 (3)中高年齢層のキャリア ○中年層から高齢層になるにつれ、職業キャリアの蓄積によって形成された能 力(知識・技術、判断力、洞察力、人的ネットワーク等)を生かした働き方 をすることや、蓄積を後代に引き継いでいくことが重要。 ○また、個人のキャリアという点から、中高年齢期の働き方は、個人の健康、 意欲、生活環境等に応じ、年齢や雇用形態にかかわらず、多様な働き方が柔 軟に選択できるようにすることが理想。また、高齢者が人生の先輩として、 地域で、若年者指導や地域貢献等の活動をする機会をつくっていくことも重 要。