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6 法的問題点





  労働者のキャリア形成を促進していくために、法的な問題点を整理しておく必要

 がある。法的問題点としては、大別すると、政策的な根拠として、雇用政策等にお

 いて、どのように法的に位置づけるかという問題と、実際に労働者がキャリア形成

 を行っていく上で、どのような法的問題が生起するかという問題がある。

  前者については、平成13年10月に雇用対策法及び職業能力開発促進法が改正

 され、部分的ではあるが、キャリア形成促進の考え方が取り入れられている。



  

 (1)政策的な位置づけ



   第一に政策の理念的根拠としては、雇用対策法(第3条)や職業能力開発促進

  法(第3条)において、「労働者の職業生活設計が適切に行われ」、「その設計

  に即した能力の開発及び向上」が効果的になされることにより、労働者の職業生

  活の全期間を通じて職業の安定が図られる」ものとされており、キャリア形成を

  念頭に置いて雇用政策の展開が図られることとなっている。



   第二に事業主の講ずる措置については、次のようになっている。

   まず責務として職業能力開発促進法第4条(関係者の責務)において、事業主

  は、労働者に対し、職業訓練等を行うほか、「職業生活設計に即して自発的な職

  業能力の開発及び向上を図ることを容易にするために必要な援助を行うこと等に

  より、能力開発及び向上の促進に努める」とされている。



   具体的には、同法第10条の2において、事業主は、必要に応じ、次の措置を

  講ずることにより、「労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及

  び向上を促進するもの」とされている。





    (1)労働者が自ら能力開発の目標を定めることを容易にするために、業務の

     遂行に必要な技能知識の内容・程度等に関し、情報の提供、相談その他の

     援助をすること、



    (2)労働者が実務の経験を通じて、自ら職業能力の開発を図ることができる

     ようにするために、労働者の配置その他の雇用管理について配慮すること。

     また、こうしたキャリア形成に関わる措置については、一部の企業におい

     て積極的に講じられているものの、全体的には未だ緒についたばかりであ

     る。

     このため、厚生労働大臣は、これらの措置に関して、「その有効な実施を

     図るために必要な指針を公表する」こととしており、平成13年10月に、

     上記(1)、(2)の内容を中心とする指針が公表されている。



     事業主は、こうした指針等を受け、雇用する労働者についての職業能力開

     発計画を策定するとともに担当者として職業能力開発推進者を任命して、

     能力開発と合わせ、キャリア形成を促進することとなっている(同法第

     11条及び第12条)。

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