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5 労働市場の構築





 (1)労働市場の枠組みの官民による形成



  ロ 職業能力評価制度



   (ロ)我が国における評価制度のあり方



      我が国においては、公的職業能力評価制度として、技能検定制度が機械、

     建設等の技能分野を中心に137職種にわたって設けられている

     (資料27)ほか、ホワイトカラー系については、営業、法務、会計、経

     理等10分野についてユニットに分けて認定を行うビジネスキャリア制度

     がある。また、直接、職業能力の評価を目的としたものではないが、各分

     野について451もの公的職業資格が存在している。一方、民間企業もそれ

     ぞれに職能資格制度や社内検定制度等を持ち、独自に評価を行っている。

     さらに民間資格も3000種類程度存在するといわれ様々な評価・資格制度が

     存在するが、統一基準がなく、労働市場における共通用語とはなっていな

     いのが現状である。



      今後、我が国においても本格的に労働市場の枠組みとして、NVQ等を

     参考として、公的職業能力評価制度を整備する必要があるが、その場合、

     特に次の点に留意する必要がある。



      第一に、これらの評価制度は、民間の事業主団体等により担われること

     が望ましい。しかし、現実問題として、こうした評価制度を民間団体が自

     主的に構築する動きは現在のところ十分なものではない。そこで、欧米諸

     国の方法を参考にして、適切に官民が協議・連携・役割分担を行いつつ、

     合同で職業能力評価制度を構築することが現実的であると考える。たとえ

     ば、混在する評価・資格制度との調整や、企業・個人への広報・浸透、初

     期的なコスト負担、協議の場のイニシアティブ等は国が取り、実際の個別

     の能力基準の設計や教育訓練の実施、評価基準の更新等は民間が行うとい

     った関係である。

      このように官民協力を進めることにより、より実践的かつ柔軟な制度と

     なり、人材育成や採用等の場面で活用しやすいものとなるのである。





      第二に、職業能力評価制度は、実際の教育訓練の場と連動していること

     が重要である。

      企業内のOJTやコーポレートユニバーシティ等での人材育成プログラ

     ム、大学・専修学校・スクール等での講座、公共職業訓練機関における訓

     練などとの結びつきを強めていくことが、評価制度が実用に乗るための重

     要な要素となろう。



      第三に、評価制度の構築に当たっては、労働者個人の職業能力構造を念

     頭に置いて、実践的職業能力を評価できる仕組みを考えていく必要がある。

      この点について、労動者個人の能力としては、概ね、



       A 職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの潜在的なもの



       B 協調性、積極性等、職務遂行に当たり、各個人が保持している思

         考特性や行動特性に係るもの



       C 動機、人柄、性格、信念、価値観等の潜在的な個人的属性に関す

         るもの



     から成るものと考えることが出来よう。

      これを図示すると次のとおりである。



   図

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