4 キャリア形成に係る政策展開 (3)労働者個人の支援 労働者のキャリア形成を支援するためには、後述の企業による支援の推進に併 せて、直接、労働者個人に対する支援を行っていくことが必要である。 これは、企業の支援を受けられない中小企業労働者や離転職者、無業者、フリ ーター等だけでなく、大企業等の労働者であっても、企業による支援を補足する 自己啓発や情報といった面、さらには、市場横断的な能力開発や評価を受ける機 会の確保という点で意味がある。 労働者個人に対する直接的支援としては、大別すると、情報やキャリア・コン サルティングによる支援、金銭面での支援、能力開発や能力評価面での支援が考 えられる。また、多様な働き方の認知や条件整備さらには、労働市場自体の整備 等は、間接的に労働者の働き方を支援することにもつながる。 (情報、キャリア・コンサルティングの提供) 職業等の情報の提供やキャリア・コンサルティングの公的な機会の確保は、 現在、ハローワークや雇用・能力開発機構都道府県センターにおいて離職者、 求職者を主たる対象になされている。 これらは、後述のようなキャリア・コンサルティングシステムの整備に先立 ち、暫定的な形で、職業選択に係るものについては、ハローワークで、能力開 発に係るものは機構都道府県センターでそれぞれ実施されている。また、離職 後、再就職に至るまでの職業等に係る情報の提供、相談、能力開発、職業紹介 の各サービスが密接な連携のもとに一体的に提供されるようハローワークにキ ャリア・コンサルタントを置くなどの措置を進めている。 また、これら公的施設に立ち寄らない無業者やフリーターについては、お仕 着せではなく、職業について、仲間同士のネットワークをつくり、情報や意見 の交換をしたり、先輩や知人の話を聴いたり、簡単なカウンセリングや相談を 受けたりできるような場や仕組みを工夫する必要がある。