イ 若年層のキャリア (若年者の新たなキャリアの可能性) これまでの若年者のキャリアは、学卒として企業に採用され、大企業等では、 企業内の昇進を通してキャリアを形成していくことが一般的であった。 しかしながら、産業構造の大きな変動等により、業界秩序や大企業中心の企 業系列が崩れる中で、ベンチャー企業等の中小企業やIT化を背景としたSO HO等の活躍する余地も生じている。 特に、新たに急成長する企業の創業者や経営のトップの中には、30代の若 手の経営者も少なくなく、今後の若年者のキャリアを考える上で新たな可能性 を示している。 この点、アメリカにおいては、学生の段階から企業家精神を吹き込まれ、大 学の学生のかなり多くがベンチャービジネスの起業を志向しており、こうした マインドとベンチャーを生む社会経済環境とが相俟って、旺盛な企業活力につ ながっている。 我が国の若年者は、リスクを回避する意識が強いが、情報通信革命や知識社 会化がこれから本格化の段階を迎えること、ベンチャーキャピタルも徐々に育 ちつつあることを踏まえると、起業も重要なキャリア選択の一つと考えられる。 また、閉塞感の強い若年者キャリアの活性化を図るためにも、若手で経済界で 活躍するキャリア状況を示したり、起業に向けた教育やSOHO等の働き方の 整備を含め起業に係る環境整備を進めることは重要な課題である。