イ 若年層のキャリア (無業者、フリーター等の増加、7・5・3問題) 近年、若年無業者・失業者の急増、フリーターの増加、若年者の就業後早期離 職の増加等の現象が生じ、若年者のキャリア形成上大きな問題となっている。 具体的には、厳しい学卒市場を反映して、各卒業年次において、高卒無業者 (9.8%、13万人)や大卒無業者(21.3%、11.6万人)が増加している(いずれ も13年3月卒業者、資料1)。 また、失業率も、若年層(15〜24歳)において、4.3%(平成2年)から12.1 %(平成14年3月)に急増しており、しかもその4割が長期失業者である(資 料2)。 さらに、学卒の就職後3年以内の離職率も近年高まっており、それぞれ、中卒 約7割、高卒約5割、大卒約3割となっている(いわゆる7・5・3問題、資料 3)。特に1年内の早期離職率が高くなっている。 このほか、正規従業員としての働き方でない、いわゆるフリーター層も平成9 年の151万人から平成12年の193万人へと急増している(資料4)。 このような、若年無業者、離職者等の増加に加え、失業や漫然とフリーターで ある期間の長期化は、若年者の能力蓄積や就業意欲向上を妨げ、本人の雇用安定 上の問題を引き起こすだけでなく、将来的にも、経済社会を担うべき人材不足を もたらしかねない。 こうした現象の背景としては次のような要因が考えられる。 まず、環境要因として、 第一に、社会が複雑化し、職住分離した環境の中で、職業意識や自分の適職イ メージが描きにくくなっている上、豊かな社会の中で正規従業員として働くこと のインセンティヴが弱まっている。 第二に、厳しい学卒市場で、そもそも就職自体が困難となっている上、仮に就 職できたとしても、自らの能力・適性に合致した就職先に遭遇する確率は低下し ている。逆に、アルバイトは、求人も多く、サービス業などで広範にみられる不 可欠な労働形態となっている。 次に、システムの問題として、 第一に、これまでの過度に一律かつ集団的な教育・就職システムがもはや機能 しなくなっているにもかかわらず、新たなシステムが形成されていない。特に、 個人のキャリアを重視し、キャリア意識を涵養する職業教育や就職に当たっての 職業情報の提供、指導・助言等の機能が欠けている。 第二に、企業においても、学卒者の受け入れ、育成体制が弱まり、即戦力指向 のところも多くなっている。また、企業の求める人材要件が変化しているにもか かわらず、こうした情報が学校や学生に的確に伝えられていない。