ハ 中高年層のキャリア (年齢にかかわりない働き方) 高齢者の能力を生かして、主体的に働いていく上で問題となるのは、働く年齢 の上限の問題である。 日本の高齢者の高い就労意欲に応じて、能力を生かした働き方を進めていくこ とは、本人が健康で活き活きと生きる上では勿論、社会的にも少子化により、今 後労働力不足が顕在化する中で、社会の活力維持にとっても重要である。 定年制は、ある意味で、これまでの一律かつ集団的な働き方の象徴的な制度で あり、今後は、基本的に本人の能力・意欲と健康に応じた年齢にかかわりない働 き方が模索されるべきであろう。 他方、定年制は、雇用保障や長期雇用のメリットを維持する上で重要な役割を 果たしており、また、定年制がなくなった場合の雇用調整の方法、その前提とし ての公正な能力評価制度が確立されていない。現状では、定年制を維持しつつ、 将来へ向けて企業において、能力・成果を基準とした処遇のあり方や高齢者が自 己の意欲や能力に応じ、主体的に退職年齢を選択できる人事管理のあり方等のモ デル的な取組みを進めていくことが重要であると考えられる。