1 キャリア形成の意義 近年、労働市場の変化や労働者等の職業意識の変化に伴い、「キャリア」や「キ ャリア形成」等の言葉が個人の職業生活を論ずる場合のキーワードの一つとなって いる。 国の施策においても、昨年、職業能力開発促進法が改正され、「キャリア形成」 という言葉は使用されていないものの、「労働者の職業生活設計に即した自発的な 職業能力の開発及び向上」を促進することが基本的な理念として盛り込まれ、事業 主が講ずる措置に関する指針(厚生労働大臣告示)も定められている。 また、法改正とともに、昨年策定された第7次職業能力開発基本計画においても、 今後の職業能力開発施策の展開の中心に労働者のキャリア形成促進が挙げられてい る。 このように、「キャリア」、「キャリア形成」という言葉は、かなり広く使われ るようになってきたものの、その意味や広がり、さらには、「キャリア形成」支援 を中心とする施策体系、展開の有り様については、未だ十分理解されているとは言 い難く、改めて、これらの点について内容を明確にするとともに、その可能性を示 す必要がある。