4.格差解消への取組み 〜労使への提言と行政の課題〜 (1)賃金制度に内在する問題と対応の方向 a 賃金管理 (公正・透明な賃金制度の整備) ・賃金決定基準が不明確であったり、賃金表が未整備である場合には、男 女賃金差別の温床となるため、公正・明確・透明な賃金制度の整備を進 めるべきである。 (公正・透明な人事評価制度の整備と運用) ・不透明で曖昧な人事評価制度は賃金、昇進・昇格における男女差別の温 床となる。評価基準を明確で客観的なものにするとともに、評価者訓練 や評価結果のフィードバック等も必要である。 (生活手当の見直し) ・家族手当、住宅手当といった生活手当は、格差解消の観点からは、それ が男女間賃金格差を生成するような支給要件で支払われている場合には 廃止することが望ましく、男女間賃金格差に影響しないよう、時間をか けてでも制度変更することが必要である。具体的には、家族手当のうち の子どもに対する手当や住宅手当は維持するにしても、生活手当の廃 止・縮小に伴う影響を緩和しつつ配偶者に対する手当は廃止する等、で きるだけ縮小することが望ましい。 b 雇用管理 (ポジティブ・アクションの実践) ・企業トップが先頭にたってポジティブ・アクションを推進することが望 ましい。また、その実践においては中間管理職の果たす役割が大きいこ とから、中間管理職の意識改革を図ることも大切である。 (業務の与え方や配置の改善) ・偏った業務配分や配置を改善するため、個々の労働者の意欲や適性、職 務遂行能力を基準とした配置を進めるべきである。自己申告制度や社内 公募制度、社内フリーエージェント制度の導入など、従業員の意思や適 性を重視する制度の整備も、女性の配置改善に寄与するであろう。 (コース別雇用管理制度及びその運用の改善) ・コース別雇用管理制度について、上記3(2)eのような観点からコース 区分決定方法など制度そのものを点検することが大切である。なお、コ ースの内容について従業員に十分な説明がなされることが望まれるが、 併せて、総合職の男女労働者を含め、企業は転勤を命ずるに際し、育児 や介護の状況に配慮すべき責務があることにも留意する必要がある。 (ファミリー・フレンドリーな職場形成の促進) ・育児・介護休業制度を利用しやすくするなどの職場環境の改善に努め、 短時間勤務制度、フレックスタイム制など柔軟な労働時間制度を採用す る等、家庭生活と職業生活が両立するような業務運営に努めることが必 要である。