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(別添)
短時間労働者の均衡処遇に関するガイドライン案
第3 パート社員の方々へ
確認1 パート社員であっても、常用フルタイム社員と基本的に同じように
労働基準法・最低賃金法等の労働関係法令が適用されます。
・ パート社員であっても、常用フルタイム社員と基本的に同じよう労働基準法・最
低賃金法等の労働関係法令が適用されます。あなたを取り巻く法律や制度を正確に
把握していれば、いざという時に自信を持って対応ができます。
(事例)
「週3日パートで働いていますが、『パートは有給休暇はない』と事業主に言われま
した。」(製造業)
→ パート社員であっても、(1)6ヶ月間継続勤務し、(2)全労働日の8割以上出
勤したという適用要件を満たせば有給休暇が取得できます。
「パートなので『産休がない』と人事課長に言われました。本当ですか。今、妊娠5
ヶ月なのですが辞めるしかないのでしょうか。」(小売業)
→ 産前産後休業は、パート社員であっても取得できます。また、産前産後の休
業中と産後休業が終わった後の30日間は、女性労働者を解雇することはでき
ません。
「最初に約束したのと時給が違って困ったというパートの話を聞きました。こうなら
ないためにはどうすればいいのでしょうか。」
→ 契約は、何かトラブルが起きたときのために書面にしておくことが重要です。
『言った』『言わない』を証明するのはとても難しいことです。労働基準法で
は、使用者に契約締結時の労働条件書面明示を義務づけています(労働基準法
第15条)。契約締結の際には、仕事の内容、労働条件を確認し、書面でそれ
を明示してもらってください。労働条件通知書のモデルもありますから、これ
に書いてもらってもいいでしょう。
「年収103万円を超えると損すると仲間から聞きました。現在103万円ぎりぎり
なので、使用者からの時給アップの申し出も労働時間増加の申し出も断っています。」
(流通業)
→ 税制上は年収103万円を超えても世帯の実収入が減ることはありませんが、
世帯主の会社の配偶者手当の停止水準が103万円に設定されている場合には、
それを超えると実収入が減ることになります。ただ、平成13年の21世紀職
業財団の調査によると、103万円で就業調整している人の約4分の1はそれ
を超えても手取りが減少しないにも関わらず、減少すると思い込んで就業調整
していることがわかっています。あなたも誤解に基づいて、時給アップを断っ
てしまっているのかもしれません。
いずれにしても税・社会保険制度や配偶者が勤めている会社の家族手当制度
の内容などについて、一度確認した方が良いでしょう。制度は変更されること
もありますから、世の中の動きにも注目しておくことが重要です。
法律や制度を知らないと、自分自身が損する結果になってしまいます。
・ ただ、いろいろな疑問や不満があっても、なかなか上司に言い出すのは難しいも
のです。あなたにも以下のような経験がありませんか。
・ 年休を取得できないのはおかしいと思ったが、事業主の機嫌を損ねては契約を更
新してもらえなくて困ると思って諦めた。
・ 正社員と全く同じ仕事をしているのに賃金は半分以下で、納得がいかないと思っ
たけれど、言っても無駄だと思い、黙っていた。
・ 契約締結時には、「1年経過したら正社員になるチャンスを与える」と言われた
のにいつまで経ってもチャンスを与えてもらえないが、波風を立てるのも嫌なので
何も言い出さずにいる。
・ 一方で次のように、上司との人間関係を損なわずに、うまく問題を解決した事例
もあります。
(事例)
「労働条件に納得がいかない点があったので、疑問点をノートに整理して、都道府県
労働局の総合相談コーナーに相談に行きました。相談の結果、私自身の誤解にも気づ
いたし、自信を持って使用者に問題点を指摘できました。」(外食産業)
「年休や休憩時間の取扱い等おかしいと思うところがあったので、自分で調べた上で、
会社の苦情相談窓口にお話してみました。何人か同じように考えていた人がいたよう
で、みんなで一緒に職場の上司に申し出ました。状況は・・・改善されましたよ!」
(製造業)
「職場でパート同士で集まるとすぐ、不満やグチばかりで、これでは良いサービスも
できないと思いました。そこで『陰で不満を言ってないで前向きな提案をしよう』と
呼びかけ、みんなで話し合って『職場活性化提案』として施設長に渡したところ、前
向きな姿勢が評価され、いろいろ改善されました。これまで、掃除はやる気のある人
が時間外にやるという実態でしたが、きちんと当番制を敷き、時間内にやるなどのル
ールができました。」(介護施設)
勇気を出して、職場の上司に、または相談機関に相談してみませんか? 職場に労
働組合があれば、あなたが組合員でなくても、組合に相談してみませんか? 自分だ
けで悩んでいても問題は解決しないはずです。
確認2 働くうえでの心構えを持つことが大切です。
・ パート社員も、会社と労働契約を結び、その契約内容に沿って勤務し、報酬を対
価として受け取っているという点においては、常用フルタイム社員と何ら異なるこ
とはありません。ただ、企業の人事担当者から、以下のような指摘があるのも事実
です。
(事例)
「日頃から業務の状況を説明しているにもかかわらず、年末に就業調整するパートさ
んがたくさんいるんです。当社は接客業なので、一度に大量に休まれる12月に備え
日頃から業務のやりくりをしなければならず大変です。」(流通業)
「子供の学校行事で急に休むパートさんがいます。年休で休むのは仕方がないと思う
のですが、当日に『休む』という連絡だけで何の引継もなされないので、とても困り
ます。」(建設会社)
「パートさんにも教育訓練の機会を付与していますが、新しいシステムを導入しても
慣れようとしません。職場のモラール低下を招いて困っています。」(製造業)
・ 「突然来なくなったので、電話してみたら、『別の仕事がみつかったのでやめる
ことにしました』ということでした。シフトの関係もあるし、1カ月くらい前にき
ちんと相談するのがルールだと思うのですが・・。」(小売業)
それだけの給料しか出してないからそうなるのだ、という見方もあります。しか
し、こうした行動がパート社員全体に対する会社の評価を低め、「パートだから安
くて当然」という誤った認識に結びついている面もあるのではないでしょうか。
・ 一方で、パート社員の責任感や仕事ぶりを評価する人事担当者はたくさんいます。
一生懸命働いているパート社員に対して、働きに応じた処遇をする企業も増えてい
ます。
(事例)
「今までパートさんは管理職に登用していなかったのですが、一生懸命働いてくれる
労に報いたいと思い、主任や店長に登用し常用フルタイム社員と時間比例の処遇をす
る制度を導入しました。まだ始めたばかりですが、結果は上々です。もっと上位の役
職につける仕組みも考えたいと思っています。」(小売業)
「頑張ってくれるパートさんと意欲の乏しいパートさんが同じ処遇では申し訳ないの
で、パートさんに細かいキャリアアップ制度を設けました。資格等級の上位と下位で
は、時給もかなりの差があります。」(外食産業)
会社が働きに応じた公正な処遇をする気持ちになるか否かは、パート社員の働き方
にも大きく左右されます。企業にとって存在価値のあるパート社員になることが大切
です。「こんなに頑張っているパートさんには、処遇を引き上げないと。」「このパ
ートさんに辞められては、うちの企業は立ち行かない。」そう会社に思わせることが
できれば、会社での様々な疑問も自信をもって正すことができるのではないでしょう
か。
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