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(別添)

       短時間労働者の均衡処遇に関するガイドライン案





第1 このガイドラインの趣旨と使い方



(1)「多様な働き方」を活かせる組織運営が少子化に対応できる経営のカギ



 経済環境の変化や、就業意識の変化などの下で、パート労働者や派遣労働者の増加

にみられるように、就業形態の多様化が急速に進展しています。企業にとっては、こ

うした多様な人材の能力を引き出し、組織全体の活力を高めていくことが新たな課題

となってきています。特に、少子高齢化が進む中で、女性や高齢者など短時間の働き

方(パート就業)を望む層を有効に活用しつつ、組織運営を円滑にし、生産性を高め

られるかが、今後、企業として競争に耐え抜いていくためのカギになると言っても過

言ではありません。



(2)パート社員も企業の重要な一員。働きに応じた公正な処遇を



 すでにパート労働者は雇用者全体の2割を超える大きな存在となっています。企業

経営の観点からみて、これらの層の活性化、戦力化が重要なことは言うまでもありま

せんが、その前提としてまず「パート社員も企業の重要な一員」という認識を持つこ

とが重要です。経験・能力のあるパート社員に、他の社員に劣らぬ役割を期待する一

方で、処遇については「パートだから低くて当然」というアンバランスな考え方に陥

ってはいないでしょうか。企業として、パート社員の真の活性化、戦力化を目指すな

らば、パート社員も企業の重要な一員として「働きに応じた公正な処遇」が確保され

るような取り組みが必要です。



(3)常用フルタイム社員の働き方や処遇も含めて、総合的な雇用管理の見直しを



 もちろんパート社員の処遇を見直せばすべて問題が解決するわけではありません。

常用フルタイム社員のニーズも変化しています。従来の仕事一辺倒の働き方から、仕

事と家庭生活との両立をはじめ、ゆとりを実感できる働き方を求める層も増えていま

す。パート社員の処遇の見直しだけでなく、常用フルタイム社員の働き方や処遇のあ

り方も含めた総合的な見直しを行うことによって、組織全体の活力を高めていくこと

が重要です。



 このガイドラインは、このような基本的な考え方の下に、多様な働き方に対応した

雇用管理のあり方をできるだけ具体的に示すことによって、パート社員を雇用してい

る経営者が留意すべき基準として提供するとともに、パート社員、常用フルタイム社

員、労働組合にも考えていただく素材として提供するものです。このガイドラインを

きっかけに、今後個々の企業において働き方や処遇のあり方について検討が行われ、

関係者それぞれがメリットを享受できる具体的な方策が講じられることが望まれます。

あわせて、これにより、処遇格差に関する紛争が予め回避されることが望まれます。



  注)このガイドラインで「パート社員」及び「常用フルタイム社員」とは、短時

   間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「パート法」)第2条に規定

   する「短時間労働者」及び「通常の労働者」のことを想定しています。



   短時間労働者:(定義)1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通

              常の労働者の1週間の所定労働時間に比べ短い労働者。

              1日の所定労働時間は通常の労働者と同じであるが、

              所定労働日数が少ない者を含む。



   通常の労働者:(定義)いわゆる正規型の労働者をいい、社会通念に従い、当

              該労働者の雇用形態、賃金体系等(例えば、労働契約

              の期間の定めがなく長期雇用を前提とした処遇を受け

              るものであるか、賃金の主たる部分の支給形態、賞与、

              退職金、定期的な昇給・昇格の有無等)を総合的に勘

              案して判断する。



 なお、フルタイムで働いているにもかかわらず、いわゆる非正規型の労働者である

ためにパート、契約社員等の名前で呼ばれている方についても、「働きに見合った公

正な処遇」という観点から、以下の「パート社員」と同様な取扱いが必要です。

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