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        働きに応じた公正な処遇のための6つのルール

     〜「短時間労働者の均衡処遇に関するガイドライン案」より〜





        パート社員の処遇についてどう考えていますか?

    総合的な雇用管理の見直しが、組織全体としての活力を高めます。





[雇用管理における透明性・納得性の向上]



 ルール1

   パート社員の処遇について常用フルタイム社員との違いやその理由について十

  分な説明を行うこと。



  ○仕事の内容やキャリア管理の仕方の具体的な違い、それに伴う処遇の違いなど

   について、採用時やパートから求められたときに説明し、パート社員の納得性

   を高めるよう注意を払って下さい。





 ルール2

  処遇の決定プロセスに、パート社員の意思が反映されるよう、工夫すること。



  ○パート社員に適用される就業規則の制定・改訂にあたっては、パート代表者の

   意見を聞くことが事業主の努力義務となっています(パート法第7条)。



  ○賃金改定の際にも、労働組合を経由して、あるいは職場で直接意見を聞くなど

   の手順を踏むよう工夫して下さい。





 ルール3

   パート社員についても、仕事の内容・役割の変化や能力の向上に伴って、処遇

  を向上させる仕組みを作ること。



  ○パート社員についても常用フルタイム社員と同じような視点で「やる気」を引

   き出すような処遇制度上の配慮が必要です。パートの昇進昇格制度のある事業

   所は約3割です(21世紀職業財団調査平成13年)。







 ※パート社員の資格制度導入事例



   「『発注業務を担当できるようになったら、この資格等級に昇格できる』など、

  明確な昇格基準を設定し、昇格に伴って時給がアップする制度をパート社員にも

  導入しました。資格制度の導入でパート社員も仕事のレベルアップに励むように

  なり、コストアップ以上の成果が出ています」(小売)。





 6つのルールと仕事の同一性等との関係図



  ※合理的理由:異動の幅、頻度などキャリア管理実態の違いが明らかであること

   注)図の濃い部分は、ルールの内容についてより強く実行が求められることを

     意味します。







[雇用管理区分間の行き来を可能にすること]



 ルール4

   パート社員の意欲、能力、適性等に応じて、常用フルタイム社員(あるいは短

  時間正社員)への転換の道を開くこと。



  ○パート社員が常用フルタイム社員になることを希望した場合には、これに応募

   する機会を優先的に与えることが事業主の努力義務となっています(パート法

   第8条に基づく「事業主が講ずべき雇用管理の改善等のための措置に関する指

   針」)。



  ○パート社員の正社員登用制度のある事業所は約3割で、それら事業所において、

   最近3年間に登用された人数は一事業所あたり平均3.6人となっています。





[雇用管理における公正なルールの確保]



 ルール5

   フルかパートかの違いだけで、現在の仕事、責任が同じであり、また異動の幅、

  頻度などで判断されるキャリア管理実態の違いも明らかでない場合は、処遇決定

  方式を合わせること。



  ○雇用管理区分が違えば、仕事の内容、責任、働き方が違うのが普通です。しか

   し、以下のようなケースもあります(21世紀職業財団調査平成13年)。



   ・正社員と同じ仕事で責任の重さも同じパートがいる事業所はパート雇用事業

    所の約3割。



   ・これに加えて、配転・転勤・残業などの取扱いも含めて正社員と同じパート

    がいる事業所は4〜5%。



   → 後者のようなケースでは、現在の仕事のみならず、キャリア管理実態の違

    いも明らかでないため、処遇決定方式を合わせ、いわば同じ土俵の上で評価

    することの必要性が特に高いと考えられます。





  Q:常用フルタイム社員は長期的キャリア形成を前提とした職能に基づく賃金制

    度、パートは別の賃金制度を適用しています。特に若手のころに仕事も責任

    も同じという場合がありますが、問題となりますか。



  A:異動の幅、頻度などからみて、確かにキャリア管理の実態が違うと説明でき

    るかどうかが決め手になります。その違いも説明できなければ、パートの納

    得を得るのは困難と考えられます。





 ルール6

   ルール5に照らして、処遇決定方式を異にする合理性がある場合でも、現在の

  仕事、責任が同じであれば、処遇の水準の均衡に配慮すること。



  ○異動の頻度、幅などキャリア管理の実態は常用フルタイム社員と明らかに違う

   としても、現在の仕事がほとんど同じであれば、処遇水準の均衡を図ることが

   必要と考えられます。



  ○ただ、その方法としては、直ちに、パート社員の処遇水準を引き上げるのでな

   くても、



   ・パート社員の声を処遇決定プロセスに反映させる仕組みを作る、

   ・パート社員に昇進昇格制度などその能力・経験が反映される処遇の仕組みを

    作る、

   ・意欲と能力に応じて常用フルタイム社員への転換の道を開く、



   などの方策を着実に講じ、処遇水準が均衡に向かう道筋を確かなものとしてい

  くことが重要です。



  ○どのくらいなら均衡がとれていると判断されるのかはもちろん一概には言えま

   せん。ただ、ちなみに平成13年の21世紀職業財団調査によると、正社員と

   同様の仕事をしているパートが納得できると考えている水準は、パート、正社

   員、事業所いずれも、平均的には正社員の約8割と回答しています。







  パート社員の処遇が問題化して裁判になった例もあります。



  (例)丸子警報器事件

    (長野地裁上田支部 平成8年3月15日判決、ガイドライン本文参照)

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