<事例5> 上司からのセクシュアルハラスメントはなかったとし、対応が行われなかった例 −防止対策が講じられず− (相談内容) 契約社員で勤務している女性労働者Iは、上司Jから、以前より身体を触られ るなどのセクシュアルハラスメントを受けていた。Iは、Jに行為をやめるよう に訴えたが、反省している様子も見えないので、支店長に訴えた。しかしその後 も行為が続いたので、支店長に対応状況を確認したところ、「Jから事情を聞い たが、そのような事実はないと言っているので、そのままにしている。」と言わ れた。会社のこのような対応に納得ができず、Iは都道府県労働局雇用均等室に 相談した。 (都道府県労働局雇用均等室の対応) 都道府県労働局雇用均等室が会社から事情聴取したところ、 (1)当該支店では防止対策が講じられていなかったこと (2)支店長はJに対して注意をし、その後Jの行動を見守っていたが、問題 がなかったのでそれ以上の対応はしなかったこと が判明した。 都道府県労働局雇用均等室は、セクシュアルハラスメントに関する方針の明確 化、相談・苦情窓口の設置及び従業員に対しての周知・啓発を行うよう行政指導 を行った。 また、本事案についても、事実確認を行い適切な対応を図ること、Iに対して 会社の対応を説明するよう助言した。 (会社の対応) 都道府県労働局雇用均等室の指導を受け、会社は、事業所の運営基本方針に 「セクシュアルハラスメント防止」を追加した。また、相談・苦情窓口について は、担当者を決め、社内メールでの相談もできるようにした。 本事案については、本社人事部が、I、J、支店長の3者から事情を聴取し、 その結果、Jに対し厳重注意をするとともに、JがIに謝罪することとなった。