<事例2> セクシュアルハラスメントについて相談したことを理由に、契約更新しないと いわれた例 −会社の対応が形式的で、相談・苦情窓口が機能せず− (相談内容) 契約社員で勤務する女性労働者Cは、直属の上司Dから身体への接触を受ける 等のセクシュアルハラスメントを受け、人事部に設置されている相談・苦情窓口 担当者に相談したところ、対応を一任するように言われた。しかし、その後経過 説明がないまま放置され、Dからのセクシュアルハラスメント行為はなくなった ものの、Dから「セクシュアルハラスメントについて会社に相談したことにより 職場の秩序を乱したので契約更新しない」と告げられた。 セクシュアルハラスメントを相談したことを理由に、契約更新されないのは納 得できないとして、Cは都道府県労働局雇用均等室に相談した。 (都道府県労働局雇用均等室の対応) 都道府県労働局雇用均等室が、会社に対して事情聴取を行ったところ、相談・ 苦情窓口担当者が当事者双方から事実確認を行った際、Dからは、セクシュアル ハラスメント行為の事実を認めCに謝罪し、Cを契約期間満了によって雇い止め することとしたとの報告を受けたので、問題は解決したとの認識であったことが 判明した。 都道府県労働局雇用均等室は、会社がDの謝罪の内容を事実確認していないこ と、セクシュアルハラスメントについて会社に相談したことを理由に契約を更新 しないことはCへの不利益な取扱いと考えられることを指摘した上で、会社の対 応が形式的であり、相談・苦情窓口が機能していないことから、適切な対応を行 うよう助言した。 (会社の対応) 相談・苦情窓口担当者が、当事者双方に改めて事実確認を実施したところ、D の一連の行為はセクシュアルハラスメントに対する認識の低さが原因であったこ とが判明したため、人事部からDに対して注意喚起を行った。また、相談・苦情 窓口担当者の前で、DからCへの謝罪が行われた。さらに、再発防止のため、全 社員に対する啓発研修を実施するとともに、相談・苦情窓口が機能するよう、相 談・苦情窓口担当者の外部研修への参加、相談対応マニュアルの充実を行うこと とした。 また、Cと改めて雇用継続について話し合った結果、Cの契約を更新すること とした。