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II 仕事と子育ての両立



 4 男女が仕事と子育てを両立するために



   こうした中、男女が仕事と子育てをバランスよく両立しながら、安心して子ど

  もを産み育て生涯を通じて就業することが可能となるよう、今後の課題をまとめ

  た。



  (1) 男女が子育て期に仕事と家庭のバランスをとることへの取組



     子育て期にあたる30歳代男性の就業時間が最も長い反面、30歳代の女性は

    働きたくても働いていない者、短時間就業で子育てとの両立を図っている者

    が多い。

     30歳代の男性も、仕事よりも家族団らんに充実感を感じている者は多く、

    特に子育て期の男性の長時間就業に対して就業時間の偏りを見直し、仕事と

    子育ての両立が可能となる柔軟で多様な働き方ができるよう就業環境を整備

    することが必要である。これは、女性だけでなく若年層や高齢層へ雇用機会

    を与えることにもなり、男女間、世代間でのワークシェアリングにつながる

    ことになる。また、子育ての最も大変な時期に夫が育児を分担できることは、

    専業主婦層の子育て負担感や不安の解消にも役立つことになる。





  (2) 職場や地域における両立支援の充実



     既婚の女性労働者の仕事と子育ての両立のストレスは大きく、さらに、働

    いていない場合でも子育ての負担感は大きい。こうした負担感を解消するた

    めには、職場、地域における両立支援の充実が必要である。

     職場における両立支援対策については、平成13年の育児・介護休業法の改

    正により、育児休業から復帰した後に子育てをしながら働き続ける労働者の

    負担を軽減して子育ての時間をいかに確保するかという観点から、勤務時間

    の短縮等の措置義務の対象となる子どもの年齢が1歳未満から3歳未満に引き

    上げられた。また、子どもの看護のための休暇を導入することが努力義務と

    されたところであり、改正育児・介護休業法の定着を図る必要がある。

     特に、子育て期の労働者を対象とする短時間勤務制度を導入する企業が増

    加し、短時間勤務の正社員の働き方が普及することは、子育て以外の理由も

    含めて「短時間で働くこと」の有効性を高める契機になると期待できる。

     さらに、職場における両立支援制度を利用しやすいようファミリー・フレ

    ンドリー企業を目指す取組を促すための広報啓発や、地域においても、多様

    な保育ニーズを充足するなど、新エンゼルプラン等に沿った取組を実施する

    ことが望まれている。





  (3) 子育て期の男性の育児の分担



     男性の子育て意識は高まっているが、実際の家庭責任は女性がより重く負

    っている。

     家事、子育てをどう分担するのかは夫婦の価値観の問題であるが、特に子

    育て期の女性に偏る家庭責任の分担、仕事の面における女性の能力発揮、さ

    らに子どもの健全な発達のためには、父親である男性も家庭生活に責任を果

    たすことが求められている。長時間就業の実態を踏まえ、年間総実労働時間

    1800時間の早期達成、所定外労働時間の削減はもとより、子育て中の男女労

    働者に対しては家庭の状況を配慮した就業時間の管理、さらに、男性の育児

    休業取得の阻害要因を把握し、取得促進に向けた意識啓発などを積極的に行

    うことが必要である。





  (4) 再就職への支援



     子育てのために就業を中断している者で、再び労働市場に参入することを

    目指す者に対しては、再就職のために必要な情報提供や仕事に有用な能力を

    身につけることができるよう支援体制を整備することが求められる。

     また、企業に対しても、再就職女性を雇用する場合の留意点や活用の好事

    例などノウハウを提供することや、再就職が難しい年齢層に対し、求人の年

    齢制限を緩和し年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう求めていく必要

    がある。





  (5) ライフプランやキャリアプランへの支援



     働く女性にとって、結婚、出産・子育てといった各ライフステージにおい

    て、どのような働き方をするのかというプランの策定に役立つよう、行政は、

    両立に関する労働関係の法令や支援制度、女性が働きやすい制度をもつ企業

    や業界に関する情報、また地域において提供される保育サービスの情報、さ

    らには妊娠・出産等に関する健康情報等を幅広く提供していくことが必要で

    ある。

     さらに、幅広い職業選択ができるよう、職業教育との連携により、女子学

    生、女子生徒に対して啓発を行っていくことが重要である。





  (6) 男女が仕事と子育てにともに参加できるよう固定的な性別役割分担の解消



     子育ての最も大変な時期である30歳代においては男性で長い就業時間、女

    性で長い家事時間といった男女間での役割分担がみられた。このような役割

    分担は、働く女性にとって「女性は仕事も家事も」と大きな負担がかかり、

    男性にとっても「男性は仕事」という役割分担を前提とした雇用管理が根強

    いことから家庭責任を果たすことが難しい環境となっている。こうした固定

    的な役割分担の解消に取り組むことや、家庭や職場においても男女がともに

    仕事と子育ての両立が可能となるような風土をつくっていくことが必要であ

    る。

     また、次世代を担う子ども達に対しても、男女がともに職業生活と家庭生

    活の責任を分担することや、働くことの意義、子どもを育てることの意義を

    正しく理解させることが重要である。

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